世界を代表するビッグフェスへの出演やワンマンライブ。さまざまな出会い、メンバーとの過ごし方……ヨーロッパツアーを改めて思い返して。そしてツアーの中にあったソイルの”命題”とは。
――今回のヨーロッパツアーでは4カ国、11公演をこなしてきましたが、特に重点を置き、意識をしたイベントはありましたか?
なにかに重点を置くことや、どのイベントを意識するというよりかは、今回は5年ぶりのヨーロッパツアーです。5年という月日を経て、ソイルのことを知らない人も多くいると思います。しかし、その間にもソイルは音を出し続けて進化をし、そしてデスジャズを続けているということを、あらためてヨーロッパでアピールし、存在感を示すことがこのツアーの命題だということが僕の中では強くありました。
――今回、<グラストンベリー>では、ウェストフォルツ・ステージという大舞台で、ソイルは日本人唯一のアーティストとして出演しましたが、「国内を代表する。」そのような意識などはありましたか?
日本を代表していくというより「”SOIL&PIMP SESSIONS”の名前をそこに刻んでくるぞ。」その意識の方が強かったですね。
――その意識の中、<グラストンベリー>を終えた時になにか感じることはあったでしょうか。
やはり2回呼ばれたということは、自信へと繋がりました。演奏を終えた直後は考えていませんでしたが、今思い返してみて、今回も次につながるステージができたと信じて、またオファーが来た時のために準備をしなくてはならないと、改めて気合いが入りました。それと、今回は僕たちの前が、ヴィンテージ・トラブル、後がグレゴリー・ポーターというタイムテーブルでブッキングがされていた中でパフォーマンス。これは嬉しいことでしたね。
――今回のヨーロッパツアーでは、現在進行形のビッグネームたち、そして<グラミー賞>受賞アーティストたちと同じステージに立ち、グルーヴを作りあげる……ここまでの実績を持った凄いバンドが日本国内にいるというのは、日本人として誇りですね。
今回僕たちは海外フェスで、日本でも注目をされているヴィンテージ・トラブル、グレゴリー・ポーターや、ファーサイドやパブリック・エナミーなどのレジェンドたちと同じスロットにいて、ステージを作って行くことができました。このようなアーティストたちとタイムテーブルで並んだら、そのアーティストたちと同等……もしくはそれ以上のパフォーマンスを求められていると思いますし、しなくてはいけないわけですよね。そのシチュエーションの中で、一流のアーティストたちと一緒に音を出し、見てもらうことで「ソイルというバンドがいるんだ!」と、ツアーへ行く前に個人的に思っていた、「しっかりと存在感を示してくる。」ということはクリアできたと思います。
――以前から気になっていたのですが、ジャイルスというロンドンを中心にカルチャーやシーンを作り、発信してきた大きな影響力のある方が、どうやって日本でデビューしたばかりのソイルのことを知り、そして出会うことになったのでしょうか?
元々ジャイルスと知り合いだったDJの松浦俊夫さん、そして〈MUKATSUKU RECORDS〉のDJニック・ウエストンがソイルのことをジャイルスに紹介してくれたのがきっかけです。それからジャイルスがやっていたBBCの『Worldwide』で、“WALTZ FOR GODDESS”と”A WHEEL WITHIN A WHEEL”をものすごくかけてくれて、「すぐにヨーロッパに来い!」とオファーをくれて付き合いがはじまり、その年の夏の終わりにロンドンとベルリンで公演することになったのが、ヨーロッパでの活動のはじまりにもなりました。これは2005年のことです。今の活動の糧となり、夢を与えてくれるきっかけになったのはジャイルスですね。
――最後に今回のツアーを終えて得た感触、そして今後のSOIL&”PIMP”SESSIONSの活動について教えてください。
間違いなくバンドの演奏技術、パフォーマンス力はアップしたと思います。今回のヨーロッパツアーは、よりアコースティックなサウンドに拘った<JAZZ UNLIMITED TOUR>の間にあって、帰国してすぐにその最終公演がブルーノート東京であり、その公演をライブ録音してリリースをするという大きな命題がありました。そのフォーマットを見据えてのヨーロッパツアーでもあったので、普段のデスジャズだけではなく、少し繊細なジャズチューンもセットに入れながらヨーロッパツアーを回っていました。ステージでの楽器の鳴りや、ダイナミクス、曲の細かいディテールに気を配りながら、スタンディングでお客さんを煽っていくようなスタイルだけではない、座って聴き込めるソイルの”新しいたくましさ”を生むきっかけにも繋がったと思います。
RELEASE INFORMATION
Live Album 「A NIGHT IN SOUTH BLUE MOUNTAIN」
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