–––『ピカピカふぁんたじん』のアートワークについて聞きたいのですが、ジャケットは全部で3種類ありますね。

これ(初回限定盤A)が一番好きですね。

本邦初公開資料も。きゃりーぱみゅぱみゅのアートワークを手掛けるSTEVE NAKAMURAが彼女の魅力を語る interview140709_kpp_pikapika-syokaia

『ピカピカふぁんたじん(初回限定盤A)』

–––今作に限らず過去作品に共通している特徴のひとつとして、ビビッドな色使いが挙げられますよね。

色は人の気持ちを動かすものだから、あまり使い過ぎると安っぽく見えてしまうし、一番大事なのは彼女に合う色を選ぶことですね。髪の毛とか洋服とかが可愛く見えないとダメなので。僕が意識していないことだけど、パステルの世界イコールきゃりーぱみゅぱみゅというイメージがあるみたいなんですよね。今回は夏にリリースするということで、夏っぽい感じを出すためにプールを使ってみました。

–––パステルといっても色の階調は沢山ありますよね。

そうそう。色の淡さと強さを出すならば一色か二色に絞ります。色を全面に出してしまうと何を見ればいいのか分からなくなるから、少なく使ったほうがいい。自分の家にモノを置くとしたら色のある家具や雑貨を使い過ぎませんよね。それと同じ考え方です。

–––『ピカピカふぁんたじん』という言葉からは光沢感のあるキラキラしたイメージを連想させますけど、その分かりやすい形には落とし込んでいませんよね。

それをやるのは嫌ですね。誰でも想像できる文字のように作ったら、僕が作る意味がないと思うから。きゃりーの場合にひとつ言えるのは、写真が本人と衣装を含めてすごく派手だから、文字周りを派手にするとぶつかってしまう。全体のバランスが重要ですね。

–––きゃりーさんの手にカメレオンが乗っていますが、髪の毛の色はカメレオンの擬態とリンクさせていますよね。

そうそう。カメレオンを使ったことには深い意味はなくて、単純に面白そうだなと思ったから。いつも意識しているのは可愛さとかグロさとかですね。カメレオンは彼女らしいところがあって、アドリブっぽいところと色がグラデーションで変化していくところは、いろんな意味があると思うんですよ。彼女がペットとして飼っていても不思議じゃないし、グロさと可愛さもある。最初はびっくりしていたけど、遊んでいく中で良い写真になりました。

–––舌を出した表情は意外でした。

パーティースナップとかの舌を出したりする写真は個人的に大嫌いなんだけど(笑)、カメレオンだから舌を出すのが面白いなと思ったんです。なので、これはパーティースナップのような感覚で捉えないでほしいですね。どこかでポージングするだけじゃなくて、何かと絡むことでいろいろと生まれてくるんですよ。場所とスタイリングさえ組み上がれば、残っているのは彼女がその中でどう遊んでくれるかということなんです。

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