Interview:The Horrors(ザ・ホラーズ)
[ファリス・バドワン(Vo.)、リース・ウェッブ(B)]
––––新作は完成までに15ヵ月もかかったそうですね。今はどんな気分ですか?
リース 長い時間をかけて作ったアルバムだから、やっと肩の荷が下りた感じだよ。僕としては「ああ、ようやく解放された……!」って気分だね。
ファリス でも今回のアルバムは、僕らの自信作だと思うよ。実際のところ、これまでの作品の中で世に出すのが最も楽しみなレコードなんだ。
––––あなたたちは今回のアルバムを「楽しく」「踊れる」レコードだと表現していますが、もともとホラーズには馴染みのない要素だけに、驚きを感じる部分もありました。
リース 僕らにとってレコーディング作業というのは、バンドを前に進めるための新たな発見、新たなジャーニーだからね。毎回何もないところからスタートするし、前もって構成を決めたり、方向性を決めたりはしないんだ。みんなで集まって演奏しているうちに、方向性の方が僕らを見つけ出してくれる感じでさ。そうやっているうちに「これいいね。こういうのが楽しいね」って全員で納得できる曲が必ず出てくるんだけど、今回に関して言うと、それは作業をはじめたばかりの頃に出来た7曲目“I See You”だった。この曲が出来た時、僕らイースト・ロンドンのスタジオでもの凄く興奮してさ。「そうか、今回の僕らはこういうのがやりたいんだ!」って理解したことから、今回のレコーディングが動き出したんだと思う。そうやって「次の曲、次の曲」って作業していったんだ。
––––具体的には、“I See You”のどんなところに魅力を感じたんでしょう?
リース この曲はとても自然に、素早く仕上がった曲だった。創作意欲の高まりに任せるままに作ったという感じでさ。僕が覚えているのは……本当に自分たちが心地いいと思えるテリトリーを探検するような感覚を味わえたということ。変な言い方になってしまうんだけど、「音楽が僕らに求めているものを実現してあげられたんじゃないか?」っていう感覚になったんだ。そして、それが今回の制作の大きなモチベーションに繋がっていった。……ファリスはどう? ちょっと、絵なんて書いてないで助けてよ(笑)。
ファリス (笑:イラストを一旦中断する)僕としては、“I See You”が出来た時に自分たちが一つになれたような気がしたんだと思う。この曲には、沢山の人を一つにするようなフィーリングがあるよね? 前作『スカイング』を出してから長いことツアーをして、当時の僕らはまたスタジオで作業できることにすごく喜びを感じてた。既にツアー中に溜め込んだ色んなアイディアが湧いていたし、まずはそれを持ち寄って、僕らのサウンドがどうなるかを見てみようって感じで作業をしていったんだ。でも、この曲が作業を始めてすぐに出てきたのは無意識的なものだから、何も考えずにやったことがよかったんだと思う。
ザ・ホラーズ – “I See You”