Interview:ジェシカ・スチュアート、加藤豊紀(Creators’ Lounge)
——まずは加藤さんにお聞きしたいのですが、Creators’ Loungeを発足させた経緯を教えてもらえますか?
加藤豊紀(以下:加藤) そもそもはワーキングホリデーでトロントに来まして、縁があってイベントをやるための場所を借りることができたんです。最初は日本人、もしくは日系二世三世の方たちと留学生たちのために何かきっかけを与えたいと考えて、次世代のクリエイターやアーティストのための場所を提供するということで、毎月一回Creators’ Loungeを開くことになりました。それが去年の9月のことなので、ちょうど1年前のことになりますね。
——ホームページ上では40人以上のアーティストやクリエイターが関わっていますが、1年前ということを考えると、かなりのペースで活動が進んでいますね。
加藤 最初は現地でスカウトすることから始めましたが、今は知人の紹介が増えましたね。Creators’ Loungeを立ち上げる当初は、留学生をメインに考えていたんです。彼らがクリエイターやアーティストとしてのきっかけを海外で得て実績を積めば、日本に帰ってから意識的に活動を続けられるんじゃないかと。個人的には日本のアーティストを海外にアテンドできたらいいなという想いと、日本にカナダのアーティストを紹介できたらいいなという想いもあったので、まずは1年間Creators’ Loungeを続けることによって、今回のザ・ジェシカ・スチュアート・フューの日本ツアーを実現することができました。
——アーティストとクリエイターの活動支援として、表現するための場所を提供する以外に、Creators’ Loungeはどのような取り組みをしているんですか?
加藤 基本的にはウェブのプロモーションですね。あとは現場での交流です。トロントには、OCAD ユニバーシティという有名な芸術大学があるんですが、毎月一回のイベントを通じて、お互いに交流を深めてもらっています。
——加藤さんはCreators’ Loungeの主宰者であり、そこに関わるアーティストの一人であるジェシカさんとは、どのようにして出会ったのですか?
加藤 トロントでやっている<Next Music From Tokyo>という音楽イベントがありまして、去年はZAZEN BOYSやgroup_inouが来ていたんですね。その会場でタバコを吸っているときにジェシカと出会って、彼女がアーティストであり、日本ツアーをやりたいという話を聞いて、「じゃあ、やりましょう」ということになりまして。
——ジェシカさんと一緒にやりたいと思わせられたのは何が大きいですか?
加藤 今回のジェシカの来日ツアーは日本とカナダの文化交流イベントとして企画していて、音楽とアートをきっかけに文化交流をしたかったんですね。彼女は琴を弾けますし、特に今の若い世代には琴を知らない人たちも多いと思うので、ジェシカのような海外アーティストが来ることによって日本の素晴らしさに気付いてもらえるのかなと。
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