フランツ・フェルディナンドやアークティック・モンキーズを筆頭に多くのインディ・バンドを送り出してきた英〈ドミノ〉発。レザー・ジャケットで決めたルックスやフルスロットルで突っ走るロックンロール・チューンで人気を集める英エセックスの4ピース、ザ・ボヒカズ。元スワントン・ボムズのドミニク・マクギネス(Vo,G)とブレンダン・ヒーニー(Dr)を中心に、ドミニク・ジョン(G)とエイドリアン・アコラツェ(B)が加わって結成された彼らは、昨年アルバム・リリース前ながら<Hostess Club Weekender>で初来日。今年は<フジロック>最終日のレッド・マーキーに出演すると、サウンドチェックに逐一歓声が上がり、なんとマイクチェックの時点で「オーオオ」「オーオオ!!」と巨大なコール&レスポンスに発展。開演後もタイトなリフとグルーヴで会場を湧かせていった。
そんな彼らが8月19日(水)にリリースするデビュー・アルバム『ザ・メイキング・オブ』は、ロックンロール・バンドとしての魅力はそのままに、これまでは見えづらかった4人のさらなる多様性も閉じ込めた一枚。デビュー両A面シングル“XXX”、“スワーム”を筆頭に人気を獲得してきたシングル群の一方で、アルバムには流麗なコーラスが降り注ぐ“オンリー・ユー“や、90年代のUSオルタナ風メロディが印象的な“レッド・ロウ”など新機軸も収録。従来の魅力と新たな要素とが混ざり合い、アルバム・タイトルの雰囲気そのまま、彼らがよりバンドとして完成されていく過程を垣間見るかのような作品になっている。
取材日は<フジロック>でのパフォーマンスの翌日。当日のライヴのこと、いよいよ完成したアルバム『ザ・メイキング・オブ』のことについて、4人に話してもらいました。
Interview:The Bohicas
[Dominic McGuinness(Vo、G)、Dominic John(G)、Adrian Acolatse(B)、Brendan Heaney(Dr)]
――<フジロック>のステージでは、開演前にメンバー自ら行なっていたサウンドチェックに観客が反応して、それが会場一体となったコール&レスポンスに発展していましたね。
全員 (口々に)そうそう(笑)。
――あんなことってなかなかないと思うんですが、当日のライヴはどうでしたか?
ドミニク・マクギネス(以下、ドミニク) あれは最高だったな。お客さんの熱気もすごかったし、天気もよかったし、終わった後はぐったりするぐらい疲れきってた。そもそも、始まる前はあんなに沢山の人が観てくれるとは思ってなかったし、君も言ったようにすごく盛り上がってくれたんだ……サウンドチェックからね(笑)。終わった後も、興奮が冷めるまでにしばらく時間がかかったよ。
――<フジロック>は自然が美しいフェスでもあります。会場の雰囲気も楽しめたんじゃないですか。
ドミニク・ジョン(以下、ドミニク・J) うん。本当にその通りで、とても美しかった。行く前は「ただ街から移動して山に辿り着くだけかな」と思ってたんだけど、会場に着いてからもさらにその奥へと進んでいって、トンネルをくぐって(恐らく関係者用通路にあるトンネルのこと)、「途中に村さえあったんじゃないか?」と思うくらいで。
ドミニク あんな景色を見たのは初めてだったよね。山が大きくて、壮大で、目の前にそびえたつかのような感じで……見渡す限り一面緑で溢れていて、本当に最高だった。
――当日のライヴを観ていて感じたんですが、昨年の<Hostess Club Weekender>での来日時と比べても演奏がかなりタイトになっていて、まるで別のバンドのようでした。
エイドリアン・アコラツェ(以下、エイドリアン) 実際、ライヴの数がどんどん増えているところなんだよね。それで経験を積めた部分は確実にある。それに、色々なところに呼んでもらうことで、アルバム収録曲をお客さんの前で演奏するテストにもなっていて。色んなことがうまく進んでると思うよ。
ブレンダン・ヒーニー(以下、ブレンダン) サポートじゃなくて、ヘッドライン・ツアーを組めてることも大きいよね。単純な話、サポートだとプレイできる時間はせいぜい15~30分ぐらいだけど、それより演奏時間を長くもらえることで、更に経験を積むことが出来てきてるんだと思う。
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