――マーク・ランキン(アデル、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ他)、クリス・ヒューズ(アダム&ジ・アンツ)、オリ・ベイストン(元キースのフロントマン、トイ他)という3人のプロデューサーはどんな基準で選んでいったんですか?
ブレンダン オリはシングルの段階から関わってくれていたよね。もともと僕が知り合いだったんだ。で、シングル曲の反応がとてもよかったから、アルバムでも彼との関係は保ちたいと思った。マークとクリスについてはレーベル経由で参加が実現したんだけど、それもハマったよね。
――作品の中で印象に残っている曲と、その曲にまつわるエピソードを教えてください。
ドミニク 僕は何と言っても“ガールフレンド”だな。この曲は完成までに本当に苦労したんだ。収録曲の中では一番新しい曲ということもあって、制作期間も限られていたしね。それに、最初から「この曲は特別なものになる」って確信はあったんだけど、具体的にどうしたら特別になるかが分からなかった(笑)。エイドリアンがかっこいいベースを作ってくれて、「さぁ、ここからどうしようか……」って感じでね。より考える時間が必要だと思って、色々試行錯誤した曲なんだ。
ドミニク・J 僕は“レッド・ロウ”が印象に残ってる。他と比べてスロウな曲だよね。歌詞も素晴らしいと思う。“XXX”や“スワーム”はかなり勢いがある曲だから、作品の中でもライヴでも、僕らの違った側面を見せられる曲でもあると思うよ。
ブレンダン 僕は“アップサイド・ダウン・アンド・インサイド・アウト”。ライヴで演奏するのがとても楽しい曲だね。なにせこの曲には(スタジオ音源にはないものの)4分間のドラム・ソロがある……。
The Bohicas – Swarm (Official Video)
――ドラム・ソロ、やっぱり叩きたいんですね(笑)。
エイドリアン (笑)。僕は作品として聴くには“オンリー・ユー”が好きだね。コーラスに太陽みたいなフィーリングがあって、他の曲と違うように感じられるんだよ。ただ、違うんだけれども同時に自分たちっぽい部分もある。それって今のボヒカズならではだと思うね。
エイドリアン・アコラツェ
――『ザ・メイキング・オブ』というタイトルはどうやって決めたんでしょう?
ドミニク 僕がいつも好きな言葉を書き留めているリリック・ブックがあるんだけど、もともとはそこにあった言葉で、ずっと何かに使いたいと思っていたんだ。もちろん、5曲目の曲名でもあるわけだけど、曲名とアルバム・タイトルとではつけた意味が若干違ったりする。曲名としては「イメージが定まっていない」というか、「ぼんやりしている印象」があってこのタイトルを付けたんだ。でも、アルバムにこのタイトルをつけることの方がよりしっくりくるような気がしていて、つまり、自分たちの最初のアルバムとしてすごく合うかなと思ったんだよね。『ザ・メイキング・オブ』という言葉には何かの始まりを連想させる響きがあって、人によって色々な想像が可能だし、壮大な雰囲気もあって……すごくクールだと思ったんだ。
――これがゴールではなくて、ここをきっかけにバンドがまた進化していく、というニュアンスですか?
ドミニク そうそう、そういうイメージだね。
――トマー・ハヌカが手掛けたアートワークについても教えてください。今回お願いすることにしたのはなぜだったんでしょう。また、何かリクエストをした要素はありますか?
ドミニク トマーはツアーでドキュメンタリーを撮ってくれたクルーが薦めてくれた人なんだ。実際に作品を見て「素晴らしいな」と思って、それでお願いすることになったんだよ。
ドミニク・J 僕は以前から彼の作品を知っていたんだけどね。でも名前は知らなかったから、作品を見てみて「ああ、この人か!」ってことになった。有名な人だし、コミックストアに行けばみんなも作品が買えると思うよ。
ドミニク それで、彼にだいたいのインフォメーションを送ったら、女の子が書かれた印象的なイラストが返ってきた。アルバムには女の子の歌も出てくるし、そういう意味でも繋がりがあって面白いかなと思ってね。その後、色を黄色と黒にしてほしい、とかいくつかリクエストを送って完成したんだ。
『ザ・メイキング・オブ』ジャケット
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