ーー本作の曲作りは何時頃、どのようなきっかけで始まったのか教えてください。
コンピレーションの『ペイオラ』を2013年の始めに出して…その時期は、〈Wichita〉との契約も切れる時だったし、この先どうなるのかが見えていない時だった。契約が定まってなかったから、スタジオに入ってレコーディングも出来なかったし、何も行動出来なかったんだ。だから、休暇をとるしかなかった。だから2013年の夏は休暇をとって、そのあと少しそれぞれに曲を書き初めて、クリスマス休みがあって……で、2014年にはクルーズでのバンドセッションに参加して……あれは2月だったかな?そのあと全員ポートランドに集まって、俺の家の地下でデモを作り始めたんだ。で、イギリスのスタジオでリックと一緒に作業を始めた。だから、曲を作ってたのは2013年と2014年の間だな。
ーー曲作りの上で、今までにはないスタイル、新しく試してみたことがあったとしたら?
やっぱりポップ・ミュージックをここまで前面に出すってことだろ思う。作っている間は、子供の頃を思い出してた。当時はそういう音楽を沢山聴いていたからね。ダサいとわかっていながら聴いてしまう音楽とか。デモを書いている時も、多分そういったポップ・ミュージックが影響してたんだじゃないかと思う。そういった音楽をリプレイスメンツみたいなパンク・ロックと混ぜ合わせて曲を書いたんだ。
ーーたとえば本作にあなたが新たにもたらしたサウンドのエッセンスがあるとしたらそれは? 逆に「これはライアンのアイディアだった」と言えるようなものがあるとしたら?
いや、それはあまりない。パンク・ロックもポップも元々クリブスにある要素だし、これは俺のアイディアだった、これはライアンのアイディアだった、っていうのは得にないね。二人の役割はイコールだった。
ーー先ほども話題に出ましたが、昨年デビューから10年の節目を迎えたザ・クリブスですが、デビュー以来ずっと在籍していた〈Wichita〉から新たに〈Sony RED〉へと移りましたよね。どうなんでしょう、10年の節目を意識した部分もあるんでしょうか。『フォー・オール・マイ・シスターズ』は次の10年の出発点の作品とも言える訳ですが。
いや、ただ契約が切れただけ。その後どうするか考えてなかったから、他のレーベルに移るか、〈Wichita〉に残るか悩んでたんだ。でも、〈Wichita〉と話していくなからでもう契約を結ばない流れになっていって……正直悲しかった。そんなことが起こるとは思ってなかったし。彼らは家族みたいな存在だからがっかりさせたくもなかったし、2013年はなかなか次に進めなかったんだ。俺たちにとって難しい時期だった。1年も活動が出来ないって、すごくフラストレーションだったよ。でも今は、今自分たちが置かれている状況でハッピーだし、出来上がったレコードにも満足してる。早く日本にも行きたいね。日本は世界で一番好きな場所だから。
ーーUKロック・バンドで10年キャリアを積み重ねることができるバンドは本当に稀ですよね。それが出来ている秘訣とは? インディ・ロック冬の時代とも呼ぶべき今、そういう状況の中でクリブスはどういう存在でありたいと考えていますか?
何がインディだとか、何がメインストリームだとか、何がトレンドだとか、ムーヴメントとか、そういうのを全く気にしてないからさ。インディとメインストリームの違いもわからないし(笑)トレンドにとらわれてしまうと、かならずガタがくる。でも俺たちは、そんなの関係なく活動してる。それでいいんだ。何かにとらわれないからこそ、色々な人たちがそれを理解して付いてきてくれてるんじゃないかな。俺が好きなバンド、ラモーンズやリプレイスメンツ、ソニック・ユースも、自分たちを好きで来てくれる人たちのことだけを考えて演奏していた。だからこそ皆がずっと彼らについていったんだ。自分たちもそういうバンドで居続けられたらいいね。
ーーありがとうございました!
ありがとう。また日本に行って皆に会えるのを楽しみにしているよ。
The Cribs – I’m A Realist(from CD/DVD of For All My Sisters)
Release Information
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