――昨年11月、ミルウォーキーでレッド・ホット・チリ・ペッパーズのライブで前座を務めた際、フリーに「サンダーキャットはヤバい!」と紹介されステージに登場し、あの”Give It Away”をベースで弾いてしまったというのは、まさに驚くようなエピソードですが、その時のことを詳しく教えて下さい。正直、どのような心境でしたか?
俺自身、とても圧倒されていて本当にぶったまげたよ(笑)! レッチリと一緒にプレイしていたときは、毎晩が違った経験だった。観客は、俺が何をプレイしても、非常に敏感で、そしてとてもオープンでいてくれた。オープンだったし、批判的態度を全く見せなかった。俺がプレイするものに対して、とても柔軟なマインドで聴いてくれた。俺は毎晩、速く、またクレイジーにプレイしていたんだ。ステージから降りると、フリーから大きなサポートが感じられた。時々、フリーとランチやディナーや朝食に一緒に行ったんだけど、その時も俺たちは音楽やその他の色々なことについて話し合った。すげえクールだったよ。だって普通、フリーみたいな大物に会ったら圧倒されちゃうだろ? でも彼は俺に心を開いてくれた。そのことは一生忘れないし、本当に感謝している。フリーは俺のクリエイティブな面にも大きな影響を与えてくれた。彼はとてもワイルドなベースプレイヤーだ。そのワイルドさというのは必要な要素だ。俺たちにはフリーが必要なんだ。俺がどんなことをして、どんなプレイをしても、彼が手を大きく広げて受け止めてくれる、ってことは本当に素晴らしいことだ。音楽に対して非常に包容力がある。時々彼はステージの脇で俺のプレイを見てるんだ。俺は一瞬、自分のベースをフリーに渡してプレイしてもらいたくなったよ。「これを弾いてください!」ってね。でも彼は俺の音楽を気に入ってくれていたってことなんだ。とても感動したよ。
――あなたのプレイは、時に「超絶技巧とも言えるペース・プレイ」とも表現される程、独創性溢れるものだと強く感じるのですが、ベースという楽器を始めることになった経緯や、これまでどのようなベース・プレイヤーに影響されてきたのかを教えて下さい。
様々な人に影響を受けたよ。ジャコ・パストリアスにはもちろん影響を受けた。スタンリー・クラークにも大きな影響を受けた。アドリアン・フェロー、マシュー・ギャリソンも。俺の一番好きなミュージシャンは、ベースプレイヤーではないが、ジョン・マクラフリンだ。それから、日本人のベースプレイヤーで櫻井哲夫という人がいる。俺は彼の作品の大ファンだ。俺は色々なものに影響されてミックスされている。音楽的に影響を受けたのはベーシストからだけじゃない。
――ベースはどういう経緯で始めることになったのですか? ベースから始めたのですか?それともギターから?
俺の記憶によると、俺はいつもベースを弾いていた。一時はバイオリンも弾いていた。だがほとんどの時はベースだ。子どもの時は4弦を弾き、それから徐々に5弦、6弦と移っていった。
――特に、ベーシストにまつわるエピソードとして、16歳の時にスタンリー・クラークのジャパンツアーにも動向していると伺いましたが、スタンリーは、ジョージ・デュークとのユニット『クラーク / デューク』や、チック・コリアとのトリオ等でも6月初旬に来日が決まっていたりと、日本でも幅広い年齢層のジャズファンから常に注目されている存在です。彼との出会いや、ベーシストとして彼から受けた影響等があれば、教えて頂けますでしょうか。
スタンリー・クラークは俺にとってものすごい影響を与えた人だ! 真の大物だよ。彼が演奏したもの全ては、俺にとっていつでも関連性のあるものだと感じていた。俺がスタンリー・クラークと会えたのは俺の兄のおかげなんだ。俺は特にジャズの世界の人間でもないし、スタンリー・クラークのようなビッグな人にどのようにしてアプローチしていいかなんて分からないから、一人じゃ絶対無理だった。俺はジャズを演奏して育ったけど、兄がいたからこそジャズの世界をのぞき見することができた。スタンリー・クラークと初めて会ったときはまともに目を合わせられなかった。「やべえ、スタンリー・クラークだ」って思ってさ。スタンリー・クラークは俺に「大丈夫。あんまり気張らなくていい」と言ってくれたからだんだん打ち解けていくことができた。彼に自分の音楽を聴いてもらったときがあった。どう思われるか分からなかったからとても緊張したよ。彼は俺の音楽を聴きながら分析し始めた。最高にクールな瞬間だったよ。「スタンリー・クラークが俺の音楽を本当に聴いてくれてる!!」ってね。それ以来、彼は俺にとって伯父みたいな存在だ。いつも「最近どうしてる?」とか「元気か」とか「どこにいる?」みたいなことをメールしてくれる。俺のことをいつも気にかけてくれているんだ。すごく嬉しいよ。彼が俺の人生と関わりを持ってくれることがすごく嬉しい。彼には感謝している。今後、彼と一緒にプレイしたり作曲したりする機会がたくさんあることを願っている。
――アルバムのラストを飾る “A Message for Austin / Praise the Lord / Enter the Void” は、そのタイトルからも、故オースティン・ペラルタへの追悼の意が込められていることがわかりますが、この曲に対する想いを教えて頂けますか? また、この曲では、坂本龍一の代表曲 “El Mar Mediterrani” がサンプリングされています。この曲を選んだ経緯、理由を教えて下さい。
時々、この曲について話すのが辛いときがある。オースティンはすごく良い奴で、ピアノを弾かせたら本当に独創的で創造的だった。彼の死を受け止めるということは、俺にとって不思議なことだった。坂本龍一の曲を選んだのは、実はテイラー・グレイヴスと一緒にこの曲を作ったからだ。テイラーは”Daylight”も一緒に作った奴だ。テイラーと”A Message for Austin”を作る以前に、テイラーの弟キャメロンに「坂本龍一の作品はすごいから聴いてみろよ」と言われて”El Mar Mediterrani”を聴いた。”El Mar Mediterrani”を聴いたときは、マジでにぶったまげたよ。あれほど壮大なスケールの音楽に出会うのは、そう頻繁にないからね。あの曲には感情移入できたし愛着も湧いた。あの曲は全部で20分くらいあるんだけど、それを通しで聴いたんだ。本当に美しくて圧倒された。曲の終盤では涙が出そうになったくらいだ。そして、たまたまテイラーがその曲のサンプルを作っていたところだった。俺はそのサンプルを繰り返し聴き続けた。また、坂本龍一が作曲したコードの動きをライブで演奏することもあった。始めのうちは、それに歌を付けるなんてしていなかったよ。とにかく美しい曲だったからライブでも演奏していた。オースティンが亡くなってから、その曲に歌詞が自然に加えられた。実は、この曲(”A Message for Austin / Praise the Lord / Enter the Void”)の一番最後の部分(Enter the Void)は最初にレコーディングされたんだ。最初の部分は最後にレコーディングされた。最初の部分(Enter the Void)はオースティンが亡くなる前に作られた。結局、曲のパーツはパズルみたいにしっくりはまって最終的にこういう3部制の曲が出来上がったんだ。この曲を最初から最後まで通しで聴くのは、自分ではまだ難しいことなんだ。彼はこの世からいなくなってしまった、という曲だから、まるで俺が彼にさよならを告げているみたいに感じる。しばらくの間はそういう気持ちになると思う。
――いよいよ6月後半には来日も決定し、ドラマーを含めた3ピース・バンドでのツアーを行うとのこと。今回来日するバンドメンバーについて、またどのようなライブをイメージしているかを教えて下さい。そして、来日を楽しみにしている日本のファンへ、メッセージをお願いします!
たしかジャスティン・ブラウンが同行してくれる予定。だが、俺と一緒に来日するメンバーのプレイを聴いて、俺の音楽にどんな貢献をしてくれているかをみんなに見てもらいたい。彼らも一人一人がアーティストとしてすごい人たちだから。彼らが俺と同じステージに立ってくれて俺はとても幸運だ。トリオとして演奏すると、アルバムのメッセージはより伝わると思う。そしてトリオで演奏することによって、アルバムでは表現できなった以上のことが伝えられると思う。日本のお客さんには、そこを感じとって音楽に身を任せ、楽しんでほしい。
俺は日本の人達のことを心から愛している。俺のファーストアルバムが出た時、一番最初に行ったのが東京だ。オースティンと一緒に行った。俺は日本へ行くたびに日本に対する尊敬や愛情を感じる。日本の観客のことは大好きだ。俺のことをいつも応援してくれて本当に感謝している。
(interview & text by Yasumasa Okada[DESTINATION MAGAZINE])
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BRAINFEEDER 3
●東京公演
2013.06.28(金)@代官山 UNIT
OPEN/START 23:00
ADV. ¥4,000/DOOR ¥4,500
※20歳未満入場不可。入場時にIDチェック有り。
TICKET:BEATKART、ローチケ(L:74963)、イープラス、 tixee、代官山UNIT
●大阪公演
2013.06.29(土)@梅田 CLUB KARMA
OPEN/START 23:00
ADV. ¥3,000/DOOR ¥3,500(w/1d)
GUESTS:VJ halwo sakamoto (51h) and more
TICKET:KARMA、NEWTONE RECORDS(06-6281-0403)
●金沢公演
2013.06.30(日)@金沢 MANIER
OPEN/START 19:00
ADV. ¥3,500/DOOR ¥4,000(ND)
GUEST DJ:YOSHIMITSU/PPTV/FRANKKK/MIKI/DANNY HAZE
INFO: MANIER
Release Information
2013.06.19 on sale! Artist:THUNDERCAT(サンダーキャット) Title:Apocalypse(アポカリプス) Brainfeeder / Beat Records BRC-383 ¥1,980(tax incl.) |
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