「TOSHI-LOW君のキャッチ―で明るい部分とスカパラホーンの明るさで独特な感に仕上がった」(沖)

【インタビュー】東京スカパラダイスオーケストラが語る、次なる黄金期(GLORIOUS)の幕開けを高らかに鳴らす、新要素&新機軸たっぷりのニューアルバムについて interview180312_tokyoska_05

——フィーチャリングですが、“野望なき野郎どもへ”でBRAHMANのTOSHI-LOWさんが登場したのには驚きました。そう言えば、BRAHMANの最新アルバム『梵唄 -bonbai-』の“怒涛の彼方”にも、スカパラホーンズが参加してましたよね?

GAMO そうそう。今回のは、ある日TOSHI-LOW君が僕らの練習スタジオに谷中の忘れ物をわざわざ届けに来てくれたんです。で、その後、この曲のボーカルの話になった時に、TOSHI-LOW君の名前が出て。速攻で連絡して参加してもらったんです。彼も武道館が控えていて、そのリハ等で忙しい中、参加していただいて。ホント、ありがたかったです。

——BRAHMANやTOSHI-LOWさんの強靭さや雄々しい部分が上手く採り入れられて、面白い融合が味わえますね。

GAMO しかもTOSHI-LOW君は、激しく歌うだけではなく、実は凄く歌が上手い方で。だけど本人は、「もっとアダルトな感じのモテそうな楽曲で歌いたかった(笑)」なんて言ってましたよ(笑)。

——BRAHMANも根底には哀愁性があるので、そことスカパラ元来の哀愁性のマッチ具合が最高でした。

NARGO そうですね。激しいだけじゃないですからね、僕らも彼らも。

 メキシコでめちゃくちゃウケそう。メロディは哀愁なんだけど、TOSHI-LOW君の声って、どこかキャッチ―で明るいんですよね。それがスカパラのホーン隊の明るさと合わさって独特な感じになったかなって。

——”Believer feat. Emicida and Fioti FPM Remix“には、ブラジルのNo.1ラッパーEmicidaも参加していますね。

 彼は日本のマンガを始めとしたジャパンカルチャーに詳しかったですよ。ポルトガル語の中に、急に知っている日本語が出てきますからね。歌詞は完全にお任せだったんですが、あれには一同、驚きました。

NARGO いきなり、「ありがとう」が出てきましたからね。日本のアニメを見て覚えたらしいです。

——“Te Quiero con Bugalú (テ・キエロ・コン・ブガルー) feat.iLe”は?

GAMO iLeさんは、かつてお兄さんとデュオで歌っていて、その際にグラミー賞を受賞した経験もある実力派のシンガーで。彼女とは去年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で知り合ったんです。この曲は彼女のアルバムに入っている曲をスカパラがカバーした形で。ラテン語と日本語が融合された歌詞なんですが、間の日本語部分は彼女からのリクエストで入れたんです。実際、「もっと日本語で歌いたかった」と言ってもらいましたね。

 この曲も当初は、もう少しいなたい感じだったんですよ。それを転がしていくうちに、今回のようなラテンmeetsスカみたいな音楽性になっていったんです。

「どんなに上手く採り入れ真似しても、気づけば自分たち風になっているのが僕らの特性」(NARGO)

【インタビュー】東京スカパラダイスオーケストラが語る、次なる黄金期(GLORIOUS)の幕開けを高らかに鳴らす、新要素&新機軸たっぷりのニューアルバムについて interview180312_tokyoska_04

——先程沖さんがおっしゃってましたが、曲が転がって行く感じの曲が多いのも今作の特徴かなと。

NARGO それはあります。最近は、それこそ1曲の中でリズムをどんどん変えていったり、これまでの1番のAメロ、Bメロ、サビ、2番のAメロ、Bメロ、サビみたいなオーソドックスなものはあえて避けていて。「ただじゃ終わらないぞ!」みたいな(笑)。

——それは今の日本のロックフェスを意識してのことでもあったり? 今、フェスでツカめるバンドって、割とこのように、曲の展開がどんどん変わっていく楽曲構成が多いじゃないですか。

GAMO 正直言って、その辺りも含めてのことです。若いバンドに影響を受けたり、感心したりして、「ああ、こういった発想って今までの自分たちには無かったな……」「だったら自分たちもそれを試してみよう」って。そういった部分では、未だに若いバンドたちにも、影響も受けたり、刺激を受けたりしてますよ。

——みなさんほどのベテランにして、そのフレキシブルさは凄いです。みなさんぐらいのキャリアだと、ややをもすると一徹気味になりがちじゃないですか。

NARGO ずっと凝り固まって同じことをやり続けても脳みそが固まっちゃうだけですからね。時たまびっくり水的に、これまで無かった要素をぶち込むことで更なる活性化が生まれるわけで。それも自分たちのこれまでやってきた特徴でもあるし、そこから新しい活路や方向性が生まれたことも多々ありましたからね。どんなに上手く採り入れたり真似したりしても、気づけば自分たち風になっているのが、僕らの特性だし、言い替えるとオリジナリティでしょうから(笑)。

——分かります。今作は、これまでのみなさんの作品の中でも最も若い印象を受けたのですが、その辺りも、それらがあってのことでしょうから。

 「最も若々しい作品」、その感想は嬉しいですね。自分たちでもそれを意識して作ったところもあったし。

NARGO いつもそうなんですけど、「この服、似合わなさそうだな……。だから着ない」って僕らの中では無いんです。とりあえず似合おうが似合うまいが着てみる。それでここまでやってきましたから。

——今作も新しい要素が沢山ながら、どれもかなりみなさんに馴染んでます。

NARGO 振り返ると、毎回そうとう色々なことにチャレンジしてきた感はあるんだけど、結局、作品を聴き返してみると、「ああ、スカパラっぽいな……」って思うんですよね。もちろん今回も同じことを思いました。

【インタビュー】東京スカパラダイスオーケストラが語る、次なる黄金期(GLORIOUS)の幕開けを高らかに鳴らす、新要素&新機軸たっぷりのニューアルバムについて interview180312_tokyoska_06

RELEASE INFORMATION

GLORIOUS

2018.03.14(水)
東京スカパラダイスオーケストラ

【CD】
¥3,000(+tax)
CTCR-14937
【CD+DVD】
¥5,200(+tax)
CTCR-14935/B~C
【CD+Blu-ray】
¥5,600(+tax)
CTCR-14936/B

収録内容
-CD-
01. Glorious
02. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)
03. The Battle of Tokyo
04. Te Quiero con Bugalú (テ・キエロ・コン・ブガルー) feat.iLe
05. 恋して cha cha cha
06. Believer feat. Emicida and Fióti FPM Remix
07. 野望なき野郎どもへ feat. TOSHI-LOW (BRAHMAN / OAU)
08. True Heart
09. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN) MONDO GROSSO Remix
10. The Ring

-2DVD & Blu-ray-
・From 2017 Hall Tour “TOKYO SKA Has No Border” at 中野サンプラザ/東京エレクトロンホール宮城
・LATIN AMERICA TOUR 2017 “NO BORDERS” ライブドキュメンタリー(完全版)

詳細はこちら

interview & text by池田スカオ和宏
photo by 大石隼土