――すごく面白いというか、結構ぶっ飛んでいるコンセプトですよね。
コムアイ そもそも面白い形態にしよう、世の中がビックリするようなものにしよう、というのは一番の約束ごとのようになっていて。それは曲じゃなくても大事なことなんですよ。
――みなさんはそのコンセプトを訊いて、どう感じましたか?
上岡拓也(以下、上岡) 最初はやっぱり、「何ぞや?」という感じで(笑)。
全員 ははははは(笑)。
上岡 内容は白玖さんとかが調べてくれたんで、最初はそれで自分でも咀嚼して、という感じでしたね。
コムアイ 私、なかなか言葉が出てこなくて。それで画像検索したものを並べたりして、ざっくりした資料を作ったんです。
白玖ヨしひろ(以下、白玖) (資料を出しながら)実は今日、その資料も持って来たんですよ。今回、制作前に初めて資料があったんですけど……。
コムアイ (笑)。いつも私が仕事をしなくて、白玖さんたちが困っていたんで。
白玖 でも、コムさん(コムアイ)は、いつもこれを見せたからって、この通りにしてほしいという感じではないんですよね。
コムアイ そうなんです。
白玖 ただ、会話する際の共通言語として、今回みんなで共有したのがこの資料だったということで。
――(砂漠や川の風景画像などがまとまった資料を受け取って)おおおお! なるほど……。ここから、アートワークを担当したみなさんの仕事としては、「どうしていったらコムアイさんたちが喜ぶんだろう」ということを汲み取っていく作業になると思うんですけど、その辺り、どんな風に考えていったんですか。
白玖 シルクロードって3本の道があると思いますけど、そこで僕らが汲み取ったのは「じゃあ、僕らは4本目の新しいシルクロードを作ればいいんだな」っていうことで。
コムアイ クゥーーッ!
――かっこいいですね……。
白玖 (笑)。それで、シルクロードって世界地図で見た時に、基本的に横移動じゃないですか。だから、僕が勝手に思ったのは、上下の天地移動を意識しよう」ということだったんです。それでジャケットや歌詞も縦開きにしようという風になっていったんですよ。
――なるほど。そこにイラストを乗せた上岡さんは、どんな風に内容を考えていったんですか?
上岡 コムアイ本人から「これとこれと、これを入れて」というのが全然なくて、世界観をワーッと言って「あとはそっちで作って」という感じだったんです。だから自分としても、「それを昇華して面白いものにしてくれていいよ」って言ってくれているんだろうなと勝手に解釈したんですよね。
コムアイ 「これを作ってください」って言って作ってもらっても絶対面白いものにならないと思うんですよ。「何も言わない方がいいのかな?」とか、実はすごく悩んだりもして。
――この話もそうだと思うんですが、水曜日のカンパネラの活動を見させてもらっていると、みんなで大喜利をやっているような感じがありますよね。ひとつのお題にみんながせーので答えを出し合って、結果、予想もしていないものになったらゴール、というか。
全員 はははは(笑)。
コムアイ でも、それは本当にそうですね。
――じゃあ、上岡さんはどんな風にディテールを詰めていったんでしょう。
上岡 まず、ジャケットは油絵で、このタッチで描きたかったんです。コムアイが俺の作品から「こんな感じで」と挙げてくれていたものもそういう感じだったんで。あとは、ジパングの成り立ちを調べて、それをそのまま絵にしても絶対に面白くないと思って、普通じゃないように、ありえないものがあるようにしよう、ということを考えていきましたね。
――(ジャケット裏面に描かれている)トイレの絵とかもそうですよね? 唐突にここにトイレがあってビックリしたんですけど(笑)。
コムアイ お肉とかもビックリした(笑)。私は龍が好き。龍とかは、私からは全然何も言ってなくて。
上岡 うん、最初から描きたいと思って決めていたんです。単純にそういうのが好きっていうのもあるんですけど(笑)。
コムアイ でも、実はベトジャン(ベトナムジャンパー)着ているから合うよね。私の顔はアンニュイめにしよう、っていう話はしていました。それで資料も得意のアンニュイめの写真を送って(笑)。
――アンニュイ顔、得意ですよね(笑)。
コムアイ (笑)。でも、そういう感じのものに、隣で龍が「アーッ!!」って言っていることで、バランスがすごくよくなっていると思うんです。バカな顔がバランスを取っているというか、それって(ギャップがあるという意味で)カンパネラっぽいですよね。
次ページ:コムアイ「拓也さんってじゃあここはこういうことになるのかな、みたいなことを自分でイメージできる人」