やー、見事なまでの不意打ち。僕の周辺で「ヤバいね、WONDER HEADZ」とその噂は聞いていたものの、まさかこれほどとは…。

ヴィンテージシンセのしなやかな音色とミドルテンポのミニマルなディスコビート、そこに自らの演奏による生音を見事に融合させた独自のサウンドスケープは、地上から大気圏に突入して、一気に宇宙までジャンプアップ。僕らが思い浮かべる宇宙は果てしない真っ暗闇の空間だけれども、WONDER HEADZの音像は宇宙飛行士が宇宙空間から地球を俯瞰しているイメージが近い。そのニュアンスが、彼らの特徴のひとつである「デジタルと生音の融合」なのだと思う。基本的に黒ベースの音世界であるものの、所々で聴こえる温もりを感じさせるメロディは、彼らのホームグラウンドであるNabowaのオーガニックなサウンドと地続きになっている。そう、WONDER HEADZの川上優と堀川達は、京都を拠点に活動する4人組インストゥルメンタル・バンド、Nabowaのリズム隊メンバーなのだ。

2014年2月12日(水)にリリースするWONDER HEADZのデビュー作であり1stアルバム『wonder wanderer』には全13曲を収録。一曲一曲のクオリティは然ることながら、そのうちの3曲のリミックスをQeticでもお馴染みのKenji TakimiとTomoki Kandaによる「Being Borings」をはじめ、プリンス・トーマスとALTZが手掛けていることでもリリース前から大きな話題を呼んでいる。個人的な肌感覚で言うと、インタビュー中でも挙げられているDUB SQUAD、ダフト・パンク、スミス&マッド以外にcro-magnon辺りの人力ダンスミュージックが好みのリスナーにはたまらないサウンドだろう。

今回、ウェブメディアではQeticのみメールインタビューに答えてくれた。ユニット結成の経緯、爆笑のユニット名の由来、『wonder wanderer』にまつわるエピソード以外に、今年10周年を迎えるNabowaとの比較論も展開されているので、ぜひ熟読していただきたい。

Interview:WONDER HEADZ

WONDER HEADZ『wonder wanderer』Official Trailer

ーーまずはWONDER HEADZの結成の経緯から伺いたいのですが、どんな背景があって生まれたユニットなのですか?

川上優(以下、川上) 2013年はNabowaのスタジオ音源のリリース予定がなかったので、以前から構想のあったこのプロジェクトを進めてみようと思いました。弦楽器ができるミュージシャンと組んだら面白いものが出来るかなというイメージはあったので、達(堀川)に「ダンスミュージックをやってみない?」と何気なく持ちかけたら「分かりました。いいですよ。」となって。

堀川達(以下、堀川) すごく軽いノリで誘われたので、気がついたら僕も同じノリでOKしてました(笑)。

ーー(笑)。では、 WONDER HEADZの由来を教えてもらえますか?

川上 去年の2月に次松大助くんのツアーに僕と達が同行していたときに、彼に今こんなことをやろうとしていてユニット名がまだ決まってないという話をしたら、「じゃあ2人とも髪型が特徴的だしWONDER HEADZとかどう?」という提案をいただいて、いい! と思って即採用しました。シンガーソングライターの方ってほんと言葉のチョイスがうまいなーと感激した一幕でしたね。

ーートーキング・ヘッズ的なノリだと思ったら、まさかの髪型だったんですね(笑)。WONDER HEADZの特徴として「デジタルと生音の融合」が挙げられますよね。WONDER HEADZをやる上で、川上さんと堀川さんの音楽的な共通言語・認識には、どのような固有名詞がありますか?

川上 出来るだけシンプルに、叙情的になりすぎないように、というのがアルバム(『wonder wanderer』)を作る上でのコンセプトでした。リファレンスとなったアーティストは、国内だとDUB SQUAD、海外だとダフト・パンク、スミス&マッド等です。Nabowaを組む前からDUB SQUADみたいなシーケンスされた打ち込み主体で、リアルタイムにギターやシンセを演奏するようなことをやりたいと思っていて、今回やっとそれが具現化できたという感じです。M-3の“mudd echo”が最初に着手した楽曲なんですが、イメージとしてはスミス&マッドの『Blue River』というアルバムの“24/7”という曲のようなミニマルで多幸感のある音楽を目指して制作していきました。

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