ーーお2人が所属するNabowaは、基本的にスタジオ中心の楽曲制作に取り組んでいると思いますが、その一方でWONDER HEADZの楽曲は、どのようにして作られているのでしょうか?

川上 M-3“MUDD ECHO”、M-4“TABIGARASU”、M-5“One Make”は生ドラムを主体にして作りましたが、この素材とエレキギターはいつも使っている練習スタジオで録音機材を持ち込んで録っています。それ以外は自宅の作業場で作りました。M-7“既成楽器を使わないアンサンブル”はタイトルの通り、いわゆる楽器といわれているものは使っていません。自宅の階段を歩く足音を加工してキックを作り、リモコンをテーブルに落とす音でクラップ、他にはリビングの扉、部屋の照明スイッチ、ペットボトル、電子レンジ、咳、コップ等身近にあるものの音を素材として使っています。音程のあるベースラインはゴムを弾く音を加工して5つの音階にしたものをエディットしています。それらを全部並べた後にDJ用のエフェクターRMX-1000でエフェクト処理しています。この曲の制作中にどんどんアイデアが浮かんできたので、シリーズ化して既成楽器を使わないアンサンブルをいくつか作っていきたいですね。

堀川 基本的にWONDER HEADZでは家での細かい作業でした。2人でデータを交換し合って、電話で話したり、会ったときに「こうした方がいいんちゃう?」とか意見を言い合って。そしてまた机に向かうという繰り返しでした。その過程で生楽器にするかしないかが見えてきて、録ってみてうまくいったら採用、うまくいかないときも多々ありました。

ーーM-11、M-12、M-13では、Being Borings、ALTZ、プリンス・トーマスといった豪華な面々が収録曲のリミックスを手掛けています。リミックスについて、彼らにはどんなことをオーダーしましたか? それともお任せでしょうか?

川上 僕たちではまずこのアイデアは出てこなかったなというアレンジが御三方ともに感じられて非常に勉強になりました! リミックスが上がってきて最初に聴いたときのあの、目から鱗感がもうたまりません。リミキサーの方々にはこの場をお借りして御礼申し上げます。

堀川 リミックスしてください、という曲は僕たちで指定させてもらいましたが、内容に関しては完全にお任せしました。どの曲も想像以上にかっこよく上がってきて、いやーほんま、一本取られたなって感じでした。

ーーコラージュ調のアートワークについても聞きたいのですが、こちらはYOSHIROTTENさんが手掛けていますよね。アートワークをデザインしてもらう上でどんなイメージを伝えたのか、彼に依頼した理由とあわせて教えてください。

川上 レーベルスタッフさんからYOSHIROTTENさんを紹介していただいて、彼の作品を見て僕たちの音作品と、とてもリンクするだろうなと思ったので、やっていただけるのであれば是非お願いします、ということで進めてもらいました。プロフィールを見たときに、1983年生まれ魚座と書いてあったのがトドメの一発でした(僕も1983年生まれ魚座です)。昨年お伺いした西麻布CALM&PUNK GALLERYでの個展も素晴らしかったですね。

ーーNabowaでは、WONDER HEADZ以外に、景山さんがTHE BED ROOM TAPE、景山さんと山本さんがデュオ編成として活動していますが、こういったソロや別名義での活動を精力的に行なうのはなぜですか?

川上 僕の場合は、単に今やりたいことがNabowaという枠組みでやるよりも別のユニットを始動させて新しい秩序の中で作っていくほうが世界観をうまく反映することができるんじゃないかなと思ったからです。Nabowaは今年10周年ですが、これからもクリエイティヴな作品を出し続けて行くには、4人の個性をもっと高めていくことが重要かなと思っています。その方法は様々だとは思いますが、個人的にはNabowa以外での制作活動や他のアーティストのサポート活動等で得た経験を最終的にバンドに還元できればと思っています。

堀川 今までNabowaは毎年アルバム制作をしていたので、各々やりたいことをやってみる期間を作ったんです。元々、メンバー全員が今まで聴いてきた音楽だったり好きな音楽が違うというのもあるかと思います。

ーー今のお話を踏まえると、ダンスミュージック主体のWONDER HEADZと生音主体のNabowaは対極的な音楽じゃないですか。WONDER HEADZからNabowa、あるいはその逆、それぞれにフィードバックされる要素としては、どのような影響がありますか?

川上 今年に入ってからはNabowaの曲制作に取り掛かっているのですが、今までよりも効率よく進められています。それは去年お互いがバンドとは違う別の活動を経験したことによってNabowaに立ち返ったときに、個人のやるべきことのビジョンが明確になったのではないかと思っています。迷いがなくなったというか。より少ない時間でより満足いくものを作れれば、そのぶん作品を発表する頻度も上がってくるだろうし、とても健全なことだと思うんですよね。今後また別のユニットなりソロなりをやっていくとは思いますが、あくまでも本家Nabowaの音楽をより豊かにするために別プロジェクトを進めていくというスタンスではやっていきたいですね。

Wonder Headz Live@shizuoka 18/Aug/2013

ーーYouTube上にWONDER HEADZのライブ映像がアップされていますが、楽曲によって担当するパートが異なりますよね。お2人がライブで担当する役回りは、どれくらいのバリエーションがあるのでしょうか?

川上 去年、実験的に僕はトラックの制御、ミキシング、ドラム、シンセ、鍵盤ハーモニカを、達はエレキベース、エレキギターを演奏しました。今年は精力的にライブ活動もしていこうと思っていますが、去年のパフォーマンスを踏まえて各々のパートを整理していって、もう少しスマートなパフォーマンスができるよう目下思案中です。

ーーでは最後に、WONDER HEADZとNabowaの今後の活動について教えてください。

川上 Nabowaは今年10周年という節目の年なので、いろいろ面白いことを企んでいますので楽しみにしていてください。その合間をぬってWONDER HEADZもいろんな場所で演奏していきたいと思っていますので、音源を聴いていただいて現場にも足を運んでいただけると嬉しいです。ありがとうございました。

(interview&text by Shota Kato[CONTRAST])

Release Information

2014.02.12 on sale!
Artist: WONDER HEADZ(ワンダー・ヘッズ)
Title:wonder wanderer(ワンダー・ワンダラー)
AWDR/LR2
DDCB-12063
¥2,500(tax incl.)