――かつてバンドをやっていたゆう姫さんは、後にJEMAPURとYoung Juvenile Youthで作ることになるエレクトロニックミュージックのどういう部分がお好きですか。

元々生ドラムが激しく入ったような音楽はあまり好きじゃなくて。アメリカ留学時代の影響もあってテクノやハウスも好きだけど、静かな音楽や、サイケデリックなサウンドだったり、丸くて硬いビートが大好きです。 まぁ、そういう好みも時と共に徐々に変わりつつあるんですけどね。

【インタビュー】Young Juvenile Youth・ゆう姫が見据える「ポップミュージック」の新境地。映画・アート・音楽、異なる世界を繋ぐ存在へ interview161031_yjy_1

――サイケデリック・フォークというと、例えば、アニマル・コレクティヴはエレクトロニックミュージックの要素もありますよね。

まさに。アメリカでは、アニマル・コレクティヴしか聴いてなかった時期もあるくらい大好きですね。音楽的な影響を受けたというよりは、例えば2007年の“Fireworks”を初めて聴いた時のようなワクワクするというか高揚感を感じられる音楽を自分も作りたいと思う、だからそういういう意味では影響されたかもしれないですね。

――そして、ゆう姫さんがプロデューサーからJEMAPURと組んで再び表立って音楽活動を始めた経緯というのは?

彼とSkypeでやりとりしていく中で、自分で作った曲を聴いてもらったりしていて、 ある時、JEMAPURから「良い声をしているから一緒に作ってみようよ」って言われて。そして、実際に東京で会って、会ったその日に曲が出来て、「これは面白くなりそうだね」ってなって。その後も東京と静岡で曲のデータをやりとりするようになったんです。彼がトラックを送ってくると、電車に乗っていようが、バスに乗っていようが、アイデアが浮かんだらすぐスマートフォンでメロディーや浮かんだ歌詞をメモ録音しました。バスが走るガーッっていうノイズもそのまま入ってしまっていたりしてましたけど。そうすると JEMAPURからまた音が返ってくるっていう。そのやり方があまりにスムーズで、本当に衝撃的でした。バンドをやっていた頃は、自分のアイデアが全く想像してない形で返ってくることがなかったので、やっていても意味ないなって思って止めてしまったんですけど、JEMAPURとのやり取りには求めていたマジックがあったんですよ。

――そして、2013年にはYoung Juvenile Youth初めての作品“Anti Everything”と“More For Me, More For You”が2枚のヴァイナルでリリースされましたが、現在の作風よりもダンストラックに寄った内容ですよね。

そうですね。初期衝動だったり、今と比べて、2人が遠慮がちだったり、離れた距離感で探り合っている感じが曲に表れているような気がするし、トライアルとしてはちゃんと歌が乗っているヴォーカルテクノが作りたかったんですよね。そんなこともあって、自分たちもその2作は、Young Juvenile Youthのファースト・ジェネレーションと呼んだりしてます。

――そして、それから1年半後にリリースされたミニアルバム『Animation』は、iTunesの「NEW ARTIST スポットライト」に選出され、大きな話題になりましたが、この作品はポップでいて、ミニマルでディープな作風にまとまりましたよね

そうですね。まだまだ発展途上ですけど、JEMAPURと曲のやり取りを延々と続けたことで、Young Juvenile Youthの色が徐々に統一されはじめた、そんな手応えを感じた作品でしたね。私としては、基本的にダンスミュージックを作りたいわけではなく、ポップミュージックを作りたいんです。そういう曲を作るのか、それとも世間にそう評価してもらうのかは分かりませんけど、自分のなかではポップミュージックであることを常に念頭に置いていますね。

Young Juvenile Youth – Animation (Music Video)

――JEMAPURのトラックそれ自体は非常にエッジーなものだと思うんですけど、ゆう姫さんがそこに加えようとしているポップ感覚とはどういうものなんでしょうね?

分かりやすさっていうことかな。私は抽象画を見る時に、試されるような気分になるというか、自分とかけ離れ過ぎた感じがなんか苦手なんですけど、シュルレアリスムは現実と繋がっている部分が垣間見られて、想像が膨らみやすい気がします。そういう分かりやすさが好きなんですよ。一方で分かりやすくても、想像が掻き立てられるものでなければそれは芸術じゃないと思うので、私としてはその絶妙なところを追求したいと思っているんです。

――5月に配信のみでリリースした「Hive / In Blue –EP」の“Hive”は非常にポップ度の高い1曲でしたよね。

そうかもしれない。あのEPを作った頃は『Animation』をリリースした後、ライブの機会が増えて、もっとお客さんとつながりたいっていう思いが強くなっていた時期だったんですよね。だから、ライブで盛り上がるというか、もっと話しかけるように歌える曲を作りたいと、2人で話ながら作ったものです。

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