――その他、今作に強力してくれたなかであえて1人貢献度の大きかった人物を挙げるとしたらそれは誰ですか? 理由もあわせて教えてください。

自分(笑)! だって、自分が一番働いたから(笑)。

――個人的には“All We Get”の静かに燃え上がるR&Bがグッときたのですが、この曲について解説をお願いできますか?

まず、この曲は僕自身も大好きな曲で、レーベルも凄く気に入ってくれたんだ。今まで書いた曲の中でもスペシャルな曲だから、この質問は嬉しいよ! 確かに、今までこういう曲は書いてこなかったかもしれないね。この曲のコンセプトは、良い時も悪い時も含めて、自分の人生を振り返った時に思い出される“瞬間”をイメージしたんだ。この曲の展開にはカーニバルの乗り物みたいにアップダウンがあるんだけど、だからこそある程度の快感も相まって、それってまるで人の一生みたいじゃない?

――前作の“Runnin Around”では自分の元ガールフレンドのことを歌っていましたが、今作でも自分に実際に起こったことを歌うというスタンスは変わっていませんか?

もちろん! “Girl From My Video”、“511’s”、“Thirsty”、“Friend Zone”は、全て一年前に体験したパーソナルなことばかりだしね。ちなみに“Drive”では、LAに引っ越したばかりの人が経験しそうなことについて歌っているんだ。

――Blue Sky Reality時代~前作、そして今作と、年々ヴォーカルの躍動感が増していますが、あなたにとって理想的な声とはどんなものですか? 具体的なアーティスト名を挙げて頂けると嬉しいのですが。

ありがとう! ベイビー・フェイスやファレル・ウィリアムスの声は好きだよ。だけど、彼らはプロデュース、ライティング、パフォーマンス、演奏まで、全てを手掛けているから、キャリアの面でも憧れるんだ。これまで自分の声についてはあまり気にしていなかったけど、 こういう風に褒められるとやっぱり嬉しいものだね(笑)。

――このアルバムをもっと楽しむために、聞いておくべきアルバムを教えてください。僕はカーティス・メイフィールドの作品が最低1枚は入るんじゃないかと予想しています。

まさに、カーティス・メイフィールドは外せないよね! あとは、ザップの『グレイテスト・ヒッツ』、スヌープ・ドッグの『ドギースタイル』かな。ディアンジェロの全作品も忘れずに!

――これまで聞かなかったけれど、最近聞くようになった音楽はありますか?

新旧問わず、僕は同じ曲をずっと聴き続ける事が多いんだけど、それは「どうやってこういう音を作ったのか?」を知りたくなるから。勿論、新しい音楽も沢山聴くけど、みんながやっていることはしたくないし、音楽と向き合う上で、常に“自分なりの解釈を持つ”ということを忘れないようにしているよ。

――あなたにとって「刺激的なサウンド」とはどんなものですか?

“Anything Funky(とにかくファンキーであれ)”! この言葉に尽きると思うよ。

――ファーストアルバムに収録されていた“Skinny Dipping in The Deep End”は『終わりで始まりの4日間』(04年)のシーンにインスパイアされてできた曲でしたが、今回のアルバムにも映画やファッションなど、音楽以外で影響を与えたものがあれば教えてください。

“All We Get”を作ったときは、映画『ジョー・ブラックをよろしく』(98年)を意識していた。アンソニー・ホプキンスとブラッド・ピットが演じるキャラクターの交流は、特にインスパイアされたところだね!

『ジョー・ブラックをよろしく』予告編(English)

――これまでの豊富なコラボレーション経験から察するに、あなたは世界中のシーンの動向に敏感だと思うのですが、最近気になる、もしくはコラボレートしてみたいアーティストはいますか?

沢山いるけど、特にディアンジェロと仕事をしてみたい! 突然のカムバックには本当に驚いたよね。この前、LAでもライブがあったんだけど、行けなかったことが今でも残念でならないよ(笑)。

――前回の<サマーソニック>では多くの日本の音楽ファンを熱狂させていましたが、今作はより多くの人に訴えかけられるポップミュージックに仕上がっていると思います。これから世界ツアーを行う予定はありますか?

常に世界制覇は企んでるよ! 今回は成功するかな(笑)? 今はベストタイミングを模索しているところさ。

――最後に、ザック・ウォータースとして今後どんな活動を行っていきたいと思いますか?

これからも自分らしい表現でチャレンジを続けていくよ。だから、新作で初めて僕のことを知る人も、これまでずっと聴いてくれていた人も、今後のザック・ウォータースにも期待していて欲しい。あとは……日本に引っ越すこと(笑)! これはあながち冗談でもないんだ。だって、前回来たときに熱心なファンがいることが分かったし、きっと住み心地は最高に違いないからね。

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