――前作をリリースしてからの2年間はどんな生活を送っていたのですか? また、その生活が今回の創作に何か影響を与えましたか?

ずっと独身生活を続けているから、ここでは言えない色々な経験もしてきた(笑)。でも、その経験も曲に表れるからラッキーといえばラッキーだ……よね(笑)?

――新作のテーマを教えてください。

PファンクとGファンクへのリスペクト、そして、僕が生まれ育った場所、LAへの愛情だね!

――タイトルからあなたが自信に満ち溢れているのが伝わります。このタイトルはずっと頭にあったものですか? ちょっと洒落っぽいとも思ったのですが。

アルバムとコンセプトに関しては「自信アリ」だね(笑)! さっきも言ったとおりPファンクとGファンクに強く影響されて育った僕のバックボーンを表す意味も含めて、『ジー・ファンク・エラ』と名付けた。これは、そういう過去の音楽へのリスペクトと、これまでとは違う新しい音楽への挑戦の、両方の意味が込められたタイトルなんだ。

極上のR&B!ザック・ウォータース新作インタビュー interview150907_zakwaters_3

――レコーディングは主にどこで行われましたか? どんな環境で作業すると、こんなに開放的な音楽が出来上がるのか知りたいです。

すべてLAにある僕のホームスタジオでレコーディングされたんだ。毎朝起床すると同時にコーヒーを煎れて、スタジオに入ってトラックを作る。これを8ヶ月ずっと続けたんだけど、こんなにも一つの事に集中して取り組んだ経験は人生で初めてじゃないかな。「自分はもっと出来るはずだ!」って常に言い聞かせながら(笑)、新しいトラックを作り続けた。気持ちを切らさずやりきったことは自分にとって素晴らしい財産になったと思うよ。

――レコーディング中に起こった出来事のなかで、大きなターニングポイントになったものがあれば教えてください。

新作のなかで最初に制作した曲は“Come To LA”で、これは僕が今までやってきた雰囲気とは違うし、『リップ・サーヴィス』のサウンドともかけ離れていたけれど、「これもザック・ウォータースだ」って素直に思うことができた。この曲がきっかけで、今作にサウンドの幅を出すことができたと思う。

――前作に引き続き、一部プロデュースにジャラッド・Kが参加していますが、彼の性格のどんな部分があなたとそこまでウマが合うのでしょう?

今作では2曲に参加してもらったんだけど、ジャラッドとは常に気持ちよく仕事ができる。もし作っている曲がダメだったら、すぐに作業を中断して他のアイデアを試したり、その日に何も作れなかったとしても「別にいいじゃん」って切り替えられたりするから、彼には変な気を遣わなくていいんだ。

――一曲目“Galactic Appeal”ではカナダのエレクトロポップバンド、ドラゴネット(Dragonette)とコラボレーションしていますが、彼女たちのことを知ったきっかけを教えてください。

僕は以前から彼女たちの事を知っていたけれど、お互いのマネージャー同士が元々知り合いだった事もあって、それで「セッションしてみたら?」っていうことになって、スタジオに入ったその日に“Galactic Appeal”が完成したんだ。あれは今思い出しても興奮する体験だったな……もちろん、曲の出来は完璧さ!

Zak Waters & Dragonette – Galactic Appeal (Official Video)

――一際ゴージャスな“My Jam”ではLDNノイズというロンドンのチームが参加していますが、どんな意図で彼らにプロデュースを依頼したのですか?

僕は彼らの音楽が大好きで、彼らも僕がどういうミュージシャンなのかを理解してくれていたんだ。今作ではあまり他の人にプロダクションを依頼するつもりはなかったんだけど、LDNノイズに関しては特別っていうことで(笑)。“My Jam”のインストを聴いた時点で、あまりに良かったから僕もすぐに曲を書いてみたんだけど、自分がプロデュースするのとは違って、ソングライティングに集中できたからこそ楽しめた部分が大きい。普段自分でプロデュースする時は、自分が書いた曲を2、3日かけて繰り返しチェックしながら作り上げていくのに対して、“My Jam”はわずか5時間で録音、その後は早速車の中でヘヴィープレイ! って感じだったね。

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