寒い冬のアウトドア体験において重要な役割を果たすのが、様々な防寒ウェア。
そのアウトドアウェアにおいて、フリース素材を筆頭に様々な生地を取り扱って人気を誇るのが、米ボストン郊外に本拠地を持つ生地メーカー『ポーラテック(Polartec)』だ。
今回は日本で『ポーラテック』を取り扱うSCT JAPANにうかがい、『ポーラテック』の歴史や、人気を支える様々な技術について聞いた。
創業は1906年。ポーラテックのこれまでと、画期的な新素材=フリースの誕生秘話
『ポーラテック』の起源は1906年。ボストン郊外のローレンスで創業された会社だった(当時の名称はモールデン・ミルズ社)。
当初紡績工場を営んでいたこの会社は、第二次世界大戦後にポリエステル繊維の取り扱いを開始。1950年代のフェイクファー・ブームで業績を上げるも、1970年代後半にはブームの終了を受けて業績が悪化していた。
しかしその頃、ひとりの若者が同社の素材を求めて訪れる。それが『パタゴニア(Patagonia)』の創業者社長、イヴォン・シュイナードだった。両者は共同で新たなアウトドア素材の開発に着手。そして開発されたのが、保温性が高く、軽く、通気性も高い素材=ポリエステル・フリースだ。
81年に『パタゴニア』のラインナップに登場したフリースは世界を席巻し、『ポーラテック』はその第一人者に。以降も様々な新素材を世に送り出している。
中でも『ポーラテック』の大きな特徴は、ベースレイヤーからアウターシェルまで、重ね着して使用するすべての生地を手掛けていること。そのため、実際に重ねた際の通気性や軽量性、そして上質な着心地を総合的に考えることが出来る。
高度な技術によって実現した独自性。
ポーラテックのフリースが他と違うのはなぜなのか
text by 杉山仁
photo by 大石隼土