独特な視点で心の機微を切り取った歌詞の世界観や、ギターを中心にしながらも楽曲ごとに様々な要素が垣間見える多彩なサウンドで人気を集めるシンガーソングライター、あいみょん。彼女が2018年の第一弾シングル「満月の夜なら」を完成させた。昨年はシングル「愛を伝えたいだとか」「君はロックを聴かない」に続いてメジャー・デビュー・アルバム『青春のエキサイトメント』をリリースし、TV番組やファッション誌にもフックアップされるなどブレイクの年に。そんな彼女が今回鳴らすのは、これまで同様ギターのストロークを生かしつつも、ボトムを強調したイントロのビートやラップを自己流に解釈した歌が新鮮なアッパーチューンで、距離が縮まりきらない2人の関係を「満月の夜」を舞台に描きつつ、これまでも作品ごとに新鮮なサウンドを見せてきた彼女らしい楽曲に仕上げている。今回は彼女の最近の興味や、これまで影響を受けてきたものが分かる9枚の写真を通して、「満月の夜なら」の制作時を含む“今のあいみょん”について語ってもらった。
INTERVIEW:あいみょん
――今回は最近のあいみょんさんの興味や、影響を受けてきたものが分かる写真を用意してもらいました。まずは可愛い猫の写真ですが、これはどんな意味で選んだものですか?
最近実家が猫を飼いはじめたんですけど、大きく言うと「動物」ですね。動物って私の人生の中に必要なもので、「人間以外の生き物ってかわいいな」と思うんです(笑)。たとえば、赤ちゃんもまだ人間じゃないから可愛いんじゃないかと思うんですよ。この仔は雄の黒猫のウニくんで、まだ1歳ぐらいですけど、すごくかわいい……! 猫は純粋というか、神秘的ですよね。冒険家はワンちゃんと一緒にいることが多くて、文豪は猫と一緒にいることが多いイメージ。距離感を保ってくれるので、机に向かってワーッとなっている人でも一緒に居やすいのかな、と。小さい頃、ずっと動物を買いたかったんですけど、当時は「ダメ!」と言われていて。でも、私たちが父親と母親の手を離れてから、お姉ちゃんが拾ってきた猫を実家で飼うことにしたみたいです。私はすでに上京してるので、「あの頃ダメやったのに、今はいいんや……!」って(笑)。これは私が撮った写真で、めちゃくちゃかわいく撮れた1枚だと思います。ウニは段ボールに入るのが好きで、一緒に写っているのはよくAmazonの箱についているふわふわの緩衝材ですね。
――家族の話が出たので聞かせてもらいたいんですけど、次の写真はどうでしょう?
この字は私が書きました(笑)。昔、書道をやっていたんですよ。家族のことは絶対に挙げたいけど写真を載せるのは……と思って、自分で書いて撮りました。私は今一番音楽を頑張っていますけど、それ以上に家族は大切で、家族がないと生きていけない。もともと、父親がいなければ音楽もやっていなかったですしね(注:あいみょんさんは音楽好きの父親が作ってくれたCD-Rなどを通して音楽に興味を持っていった)。ひとりだけ東京に来ているので、「誰かが欠けてしまったらどうしよう?」と不安もあるし、みんなが好き過ぎて、リリースされていない曲には家族の歌もいっぱいありますね。お父さんとお母さんに感謝したいし、妹とお姉ちゃんはもう母親で、2人もすごいと思います。私の姪っ子と甥っ子を生んでくれるのはとても幸せなことで、最近は「妹とお姉ちゃんには逆らえへんな」って。
――めちゃくちゃいい話ですね。
何があっても味方でいてくれるんやろうなぁと思いますし、「何かがあったときに帰れる場所がある」という安心感はすごく大きいですね。
――次の写真は大好きな岡本太郎さんの写真ですね。
作詞/作曲はもちろん、人生において勝手に色々とお世話になっている人です(笑)。もちろん絵も大好きですけど、色んな言葉を残している人で、生き方や恋愛観、結婚観もすごく面白いので、この人の魅力を伝えるためには「絵がいいよ」というより「言葉がいいよ」と言う方がいいと思ってて。好きな言葉は「今日の芸術は美しくあってはならない」とか……色々ありますけど、短いものがあまりないんですよ(笑)。この人は私が生まれた次の年に亡くなっていて、同じ時代を生きてみたかったけどそれができなかった人。これは太陽の塔にある施設で撮ったものですね。ここにはしょっちゅう行っていて、最近撮った写真です。ずっと好きですけど、知れば知るほど面白いし、まだまだ知りきれてないですね。
これはこの間のワンマンライブでいただいたドライフラワーと、自由が丘で買ったサボテンと、二子玉川で買ったカンガルーポケットという可愛い植物。カンガルーポケットはコケ玉みたいな感じですね。最近は植物に癒されていて、お花屋さんで可愛いと思ったものを買ってます。これは一人暮らしをするようになってからですね。ライブでいただいたお花を持って帰ることもありますし、お花屋さんでは「どこで摘んできたんやろう?」と考えたりもして。同じ癒しとういう意味で言うと……これもそうですね(といって次の写真を出す)。
Photo by Kohichi Ogasahara