Nujabesらとともにこの国のメロウ、ジャジー・ヒップホップのシーンをリードしてきたShinSight Trioのトラックメイカーのひとり、Shin-Skiがアルマ・デ・ステラという新たなプロジェクトを始動させていることをご存じだろうか? 実は昨年10月におこなわれたATATAによる「9 SONGS LP」ツアーのファイナル公演にて、アルマ・デ・ステラはライヴ会場限定でデビュー・アルバム『Earthbound』を発表している。当然ながら、その作品は会場に足を運んだ熱心なファンだけが手にすることができていたわけだが、その内容があまりに素晴らしかったので、これがより多くの人の耳に届くようになればいいのに……と思っていた人間は僕だけではないはずだ。そんな中、『Earthbound』から再選曲、リマスタリング、更に未発表曲を追加した「Earthbound EP」がiTunes限定で2月6日より配信開始となるというニュースが飛び込んできた。

アルマ・デ・ステラの音楽性は、ワールドクラスの巧みなサンプリング・センスを聴かせたShinSight Trioでのサウンドとは一転、DE DE MOUSEあたりと共鳴するようなファンタジックでドリーミーなエレクトロニック・ミュージックを展開する。「宇宙人が地球に旅行に来る夢を見ている」というShin-Ski自身が見た夢をモチーフに作られた『Earthbound』は、ファンファーレが高らかに鳴り響く“Technopolitan Bustle Song”で賑やかに幕を開け、“Jump On The Moon”で月へひとっ飛び、バグパイプのような音が飛び交う華やかな祝祭の曲“Fiesta Under The Moonshine”、どっしりとしたビートに幻想的なメロディが加わる“Northern Cross”、今回新たに収録されたコズミックなラテン・ハウス“Samba De Stella”と続き、宇宙から地球を眺めているような不思議な気分にさせる“Gaia’s Rapture”でこの楽しい旅は幸福なフィナーレを迎える。様々なダンス・ミュージックをブレンドしたエクレクティックなビートも楽しいが、曲のタイトルからもうかがえるように、まさに宇宙人が旅をしているかのようなワクワク感が全編を通して注入されており、ちょっと奇妙でユーモアたっぷりのその世界観にどっぷりとハマってしまう。

ジャケットも素晴らしい。これを手掛けたのは「大友克洋GENGA展」のメイン・ヴィジュアルや「ERECT Magazine」のアート・ディレクション・デザインなどで話題の気鋭のデザイナー、Kosuke Kawamura。「Earthbound EP」のSF的なヴィジョンを独自にヴィジュアライズしており、リスナーが本作をより楽しむためのイマジネーションを喚起させる材料としても一役買っている。

ちなみに本作をリリースする〈Imperial Records〉が配信のみのリリースに踏み切ったのは、実は今回がはじめてのこと。音楽が配信で供給されるようになって以降、マーケットの動向が大きく変化する中で、どのようなフォーマットでリリースするのがその作品にとってベストであるのか、その議論にはさまざまな意見、見解があると思うが、〈Imperial Records〉にとっても今回のリリースがひとつのテストモデルになることは間違いない。筆者としてはまずは配信で手に入れつつも、その後、(ジャケットもいいし)パッケージでも手に入れたい……と思ってしまうのだが、それはやはりCDかアナログで手に入れないとなんか落ち着かないおっさんの発想だろうか。レーベルのみなさん、ぜひご検討を(笑)。

まあ、いずれにしても音源とジャケットは本日からインターネットさえ繋がれば、iTunesにてどこからでも手に入れることができる。きっとあなたを楽しい宇宙旅行へ連れ出してくれるはずだ。ぜひチェックしていただきたい!

(text by Naohiro Kato)

▼Qetic限定!ジャケット写真をクリックで全曲試聴スタート!

2013.02.06 on sale!
iTunes限定配信

Artist:ALMA DE STELLA(アルマ・デ・ステラ)
Title:Earthbound EP(アースバウンドEP)
Imperial Records
¥900(tax incl.)

Track List
01. Technopolitan Bustle Song
02. Jump On The Moon
03. Fiesta Under The Moonshine
04. Northern Cross
05. Samba De Stella(未発表曲)
06. Gaia’s Rapture