スマホで仮想ライブ体験！amazarashi最新作レビュー

個々の存在だった曲を束ねた小説『スターライト』終章が加筆されて同梱

プレミアムライブ＜千分の一夜物語　スターライト＞と分かちがたい表現がスペシャルサイトに５章まで掲載されていた書き下ろし小説だ。今回の初回限定盤特典にはさらに終章が加筆されたものが同梱されている。飽くまでフィクションである『スターライト』は、秋田の作詞家としての筆力とはまた違うイマジネーションと文才を十二分に堪能できるものだ。架空の世界でありながら、どこか引きこもりになってしまった人物や現代社会、もしくは震災後の福島を想起させる描写などもあるが、秋田が何故、そして誰に向けてこの小説を書いたのか？　その理由は終章で明らかにされる。

ライブ映像を360°で体感できるVRscopeの新鮮さ

加えて初回限定盤には「VRscope」で映像コンテンツを楽しめる特典も付属している。スマートフォンに配信した動画や静止画を専用のビューアーをセットすることで立体感や臨場感のあるヴァーチャルリアリティ体験ができるのが、「VRscope」。

amazarashiと言えば紗幕にさまざまな映像やタイポグラフィが投影される迫力ある演出が毎回楽しみなわけだが、「VRscope」でライブ動画を視聴してみると……
ライブ映像とも異なり紗幕に投影されるビジュアルが目の前に飛び込んでくるような近さで迫ってくることに驚く。加えて１点を凝視することで紗幕上の映像がまるで直接自分の脳裏に投影されているような錯覚に陥るのも不思議な感覚だ。そして「VRscope」の面白さはビューアーを覗きながら回転してみると、なんと止まって見ていた時には見えなかったライブ会場の客席、上を見上げると天井や２階席などを含む、まるでその場にいるような立体的な視野を得られるのだ！　用意するのはスマートフォンかタブレット端末。特設サイトから視聴用アプリをダウンロードし、3Dメガネ状の「VRscope」で見ることができる。言わばステージ上にいる秋田たちの視点も疑似体験できているのでは？　と思うと何度もグルグル回りながら見てしまうし、むしろ現実で目視しても見えないパノラミックな体感は、まさに「VRscope」ならでは。イヤホンを付けて大音量で楽しめば自分だけのライブ体験ができ、楽曲の世界に没入できるという楽しみも新しい。

見えない存在であるamazarashiだからこそリスナーが自由に想像を膨らませることができる。『千分の一夜物語　スターライト』に秘められた”仕掛け”にどっぷりハマりたい。

（※VRscopeのライブ動画はアコースティックではなく、通常のセットでのもの）