バンクスとは一体何者なのか?
BANKS(バンクス)をご存知だろうか? 美しい髪、大きく凛とした瞳、華奢な体つき。まずその美貌に目を捕らわれるに違いない。ジャケット撮影用のモデルかと思いきや、その写真が本人だと知った時には驚いたものだ。音楽をやっていなければモデルや女優にだってなれただろう。バンクスことジリアン・バンクス(本名かは定かではない)は、LAを拠点に活動するシンガー・ソングライターだ。音源を世に公開したのは2013年に入ってからではあるが、サウンド・クラウドに公開してきたいくつかの楽曲、それらを束ねた『London EP』はブログメディアを中心に急速に評価を獲得しつつある。
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フロアで激しくステップを踏むには不十分だが、微睡むには最適なBPM、ダークなエレクトロニック・ビートにPJハーヴィーやフィオナ・アップルを思わせる物憂げなボーカル。引き合いに出されそうなアーティストは恐らく・・・、RHYE(ライ)辺りだろうか。もしくはラナ・デル・レイのR&B版とも言えなくもない・・・。ちなみにこの音楽を海外メディアでは「ゴシックR&B」、そして「PBR&B(※)の亜種」などとも呼ぶ向きもあるようだ。メディアが新しい名前をつけあぐねているとき、それは新しい何かが生まれるときでもある。
(※)PBR&Bとはアメリカのビール・ブランド「パブスト・ブルーリボン・ビール(PBR)」とR&Bをくっつけた造語。一度は低迷したPBRが都市部のヒップスターを中心に再評価が高まり、エポックメイキングな復活を遂げたことになぞらえて、学者/ライターのエリック・ハーヴェイ氏がツイッター上で命名した。
まぁ、端的に言ってしまえば僕の好みなだけでもあるのだが、それでバンクスの紹介を片付けるのも何なので、近年一気に英米共に顕在化してきた新たなR&Bの動きを踏まえつつ、改めてこのバンクスを「イギリスのR&B/ソウル・エクスプロージョンへのリアクション」と「アメリカにおける新たな女性R&Bのスター」という2つの視点から眺めてみた。