2013年にリリースした6作目『オポジッツ』は、バンドのバラエティ豊かな音楽性を余すところなく楽しめる2枚組で、遂に全英チャート1位を射止めた。全20曲という大ボリュームゆえ、初心者には他のアルバムからの入門を薦めたいが、こちらにも“サウンズ・ライク・バルーンズ”や“ブラック・シャンデリア”、“ヴィクトリー・オーヴァー・ザ・サン”といったキラー・チューンが収録されている。ちなみに『パズル』から『オポジッツ』までのアルバム・カヴァーはあの名匠、ストーム・ソーガソンが手がけているので、レコジャケを愛する諸兄はこちらもチェックしてみてほしい。特に『オポジッツ』はソーガソンの遺作となった作品だ。同作リリース後、バンドは<フジロック>に初出演しホワイト・ステージで白熱のパフォーマンスを披露したのは冒頭にも記したとおりだ。

Biffy Clyro – Sounds Like Balloons (Official Music Video)

そして7月8日にリリースされた最新作『エリプシス』であるが、彼らのアグレッシヴなサイドとメロウなサイドがバランスよく織り込まれており、粒ぞろいの楽曲がずらりと並ぶ構成は曲順も文句無し。まず試聴してほしいのはリード・シングルの“アニマル・スタイル”だ。シャープで中毒性のあるギター・リフにキャッチーなコーラス、そして「そこでそういう音程にする!?」という、予想の斜め上をいくメロディ展開。ビッフィの武器と魅力が端的に表われた1曲と言えるだろう。プロデューサーは今回初めてビッフィ作品を手がけたリッチ・コスティ。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやミューズ、フランツ・フェルディナンドらを手がけたヒット・メーカーであるが、彼らのオッドでアグレッシヴな部分を殺すことなく、とっつきにくさのないロック・アルバムに仕上げた。個人的には今年の年間ベストの1つに内定した、充実の作品だ。

ビッフィ・クライロの魅力を余すことなく紹介!フジロックの予習は完璧? music160711_Biffyclylo_1

『エリプシス』ジャケット写真

Biffy Clyro – Animal Style (Official Video)

ライブにおける彼らの魅力といえば3人のパートがぶつかり合うことで生まれるラウド・ナンバーでの痺れるような緊張感と、シンガロング可能なビッグ・ナンバーの包容力。近年では日本でもUKポストロック愛好家の間で人気があったオーシャンサイズの元メンバー2人がギターとキーボードでサポートに加わり、ますますそのスケールがアップした。タトゥーだらけの上半身を晒して髪を振り乱し、汗まみれになって歌うサイモンの姿に男気を感じる男性が多い反面、女性にはちょっと引かれがちだが、彼は筆者がこれまでに取材で会った100人を超えるミュージシャンの中でもNo.1のハンサムであったことは強調しておきたい(ついでに言うとオフステージの彼は高そうなコロンのいい匂いもした)。ちなみに常にライブで上半身裸の理由は「気合が入るから」の他に「服を着てライブをするとすぐに服が傷んでダメになってしまうから」だそうだ。そのストイックなプレイ・スタイルは、たとえ照明などの効果があまり及ばない昼間であろうと、我々を魅了してくれること間違いない。それでは初日の金曜日12時50分、グリーン・ステージでお待ちしています。

ビッフィ・クライロの魅力を余すことなく紹介!フジロックの予習は完璧? music160711_Biffyclylo_3

RELEASE INFORMATION

[amazonjs asin=”B01EWHYD22″ locale=”JP” title=”エリプシス”]