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コーネリアス(Cornelius)が2018年10月8日(日)、東京国際フォーラムにて<Mellow Waves Tour 2018>を行なった。

本公演は、2018年10月3日(水)の福岡県・福岡国際会議場を皮切りに、全国8ヶ所+台湾にて開催されるツアーのうちの一つ。昨年6月に通算6枚目のスタジオ・アルバム『Mellow Waves』をリリースしたコーネリアスこと小山田圭吾が、同年末から年明けにかけてバンド編成で行なったツアー<Mellow Waves Tour 2018>の第二弾である。

Cornelius “Mellow Waves Tours 2018” Documentary Part 1 ~digest~

Live Report:コーネリアス
2018.10.08@東京国際フォーラム

前回はライブハウスを会場としていたが、本ツアーはホール公演となり、「音」と「映像」と「光」の演出を楽しむコーネリアスの「ショウ」にとって、着席スタイルでの鑑賞は非常に相性が良い。この日のパフォーマンスも、アルバムのリリース以来40本近いライブやフェスをこなしてきただけあり、まさに「コーネリアスの独自の世界観」を凝縮したような素晴らしいものだった。

コーネリアスの独自の世界観とは、一体どういうものだろうか。まず筆頭に挙げられるのが楽曲の構造だ。小沢健二と共に活動していたデュオ、フリッパーズ・ギターを1991年に解散した小山田は、ソロ・プロジェクトであるコーネリアスを始動。初期の彼は、後期フリッパーズ・ギターの延長線上にあるような、過去の音源をサンプリング、引用したシミュレーショニズム的なサウンドを奏でていた。しかし通算4枚目のアルバム『POINT』辺りから、現在の作品につながる楽曲構造やサウンド・プロダクションへと大きな変化を遂げていく。

すなわち、音数を極力少なくして、それぞれの音を幾何学的に配置していくというもの。例えば、通常のバンド・アンサンブルであれば、小節の1拍目にキックが鳴り、それと同じタイミングでベースや金物(ハイハットやシンバル)が鳴らされるといった具合にグリッドを揃えていくわけだが、小山田はそこをあえてズラし、それぞれの音がバラバラのタイミングで鳴るようにしている。特に、同じ帯域で鳴っている楽器は同じタイミングでは極力鳴らないような構造になっているため、各楽器の音がより生々しくハッキリと聴こえてくるのだ。

そうしたアレンジは、例えばこの日のライブでも披露した「Point Of View Point」(『POINT』収録)や、“Fit Song”(『SENSUOUS』収録)などを聴くとよく分かる。極めつけは“あなたがいるなら”(『Mellow Waves』収録)。エレピや歌、ドラム、ベースなどがそれぞれ微妙にズレていて、そのモアレ状のグルーヴに身を委ねていると拍の表/裏が分からなくなってくるような、不思議な感覚に陥るのだ。

CORNELIUS – Point Of View Point

CORNELIUS – Fit Song

Cornelius 『あなたがいるなら』If You’re Here

そして、そのユニークな楽曲構造を際立たせているのが、コーネリアスのライブにおいて非常に重要な要素となっている映像である。映像そのものにクリックを入れ、それをモニターしながら演奏するというスタイルは、すでに『FANTASMA』の頃から確立していたが、その映像と音のシンクロ率は、アルバムを出すたびに上がってきている。

例えば、先日リリースされた編集盤的な内容の新作『Ripple Waves』に収録されている“Audio Architecture”は、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで2018年10月14日(日)まで開催されていた企画展、<AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展>用に書き下ろされた楽曲だが、大西景太による映像は、楽曲の中で鳴らされている全ての音を、個別のモーショングラフィック要素に翻訳し、それを一つの画面の中で構成するというものだ。形を持った音たちが、画面の中で規則正しく(特にカオティックに)うごめいているのを見ていると、「音楽は、様々な音で成り立つ構造体なのだ」ということを、まざまざと思い知らされる。

【ライブレポ】コーネリアスがツアー<Mellow Waves Tour 2018>を通して作り上げた世界観とは? Cornelius_01-1200x800

AUDIO ARCHITECTURE (Studio Live Version)

また、“Fit Song”や“あなたがいるから”では、私たちが普段目にしているモノたちが、音に合わせて飛び回るポルターガイストのような映像が流れるが、これらを観る前と観た後では、世界の様相が変わってしまったような(あらゆるものには全て意味があるような)感覚になる。まさしくサイケデリックな体験といえよう。

【ライブレポ】コーネリアスがツアー<Mellow Waves Tour 2018>を通して作り上げた世界観とは? Cornelius_02-1200x800

【ライブレポ】コーネリアスがツアー<Mellow Waves Tour 2018>を通して作り上げた世界観とは? Cornelius_03-1200x800

レコーディング段階では、「ライブで演奏する」ということを度外視し、ひたすら「構造体」としての精緻なデザインを追求するコーネリアスの音楽。それを映像とシンクロさせながら、生演奏で完璧に再現しているサポート・メンバー、コーネリアス・グループの貢献も忘れるわけにはいかない。あらきゆうこ(ドラムス)、堀江博久(キーボード、ギター)、そしてバッファロー・ドーターの大野由美子(ベース、シンセ)による鉄壁のアンサンブル。一人一人、拍のタイミングや裏/表が全く違うフレーズを演奏するだけでも相当なテクニックが要るはずだが、さらにその演奏とはまた違うタイミングで、コーラスまでしているのだから脱帽だ。

また、コーネリアスの音楽をバンド演奏で観ていると、楽器のフレーズとメロディ、そしてコーラスが、全て等価で鳴らされていることがよく分かる。どのエレメントを省いても成り立たない、ジェンガのような絶妙なバランスも、コーネリアスの魅力といえよう。

さらに、コーネリアスの重要な要素は「ユーモア」である。例えば、“The Spell of a Vanishing Loveliness”や“Mellow Yellow Feel”で、音楽に合わせて粘土のようなものが様々な形を作っていく映像は、可愛らしくもどこかグロテスクで、コーネリアスの音楽が持つ「ユーモア」を上手く引き出している。

Cornelius – The Spell of a Vanishing Loveliness

とりわけ圧巻だったのは、今回のツアーで新しく生まれ変わった“Another view point”だ。夥しい映像素材を、それぞれの意味が剥ぎ取られるまでコラージュし、楽曲にも新たなサンプリング素材を大量に加えて再構築したパフォーマンスは、まるでエイフェックス・ツイン(Aphex Twin)のように悪趣味でユーモラス、そして小山田らしいポップでチャーミングな仕上がりになっていた。

最後に、「光」による演出についても触れておきたい。新曲“Sonorama 1”で、メンバー1人1人にスポットライトを当てたり、“Star Fruits Surf Rider”や“あなたがいるなら”で、ステージ中央に置かれたミラーボールを輝かせたり、照明も効果的だった。中でも圧巻だったのは、インスト曲“Surfing on Mind Wave Pt2”だ。まるでマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)のノイズ・パートをアップデートしたような凄まじいノイズとともに、目も眩むような光が降り注ぐ。

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Cornelius – Surfing on Mind Wave Pt2

モノクロをコンセプトにしたヴィジュアル・イメージや、小山田の死生観を反映した歌詞の世界など、『Mellow Waves』はどこか「死の匂い」を感じさせる作品だが、この時は一瞬「黄泉の世界」へと迷い込んでしまったような気持ちにさせられた。

音」と「映像」と「光」によるアーキテクチャを作り上げた彼が、この先どのような世界を私たちに体感させてくれるのか、今から楽しみでならない。

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RELEASE INFORMATION

Mellow Waves

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EVENT INFORMATION

Mellow Waves Tour 2018

2018.10.19(金)
岡山・岡山市立市民文化ホール
OPEN/18:30 START/19:00
¥7,800(税込)
INFO:FIASCO 086-222-1015

2018.10.21(日)
愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
OPEN/17:15 START/18:00
指定席 ¥7,800(税込)
INFO:JAILHOUSE 052-936-6041
 
2018.10.24(水)
北海道・札幌市教育文化会館 大ホール
OPEN/18:30 START/19:00
指定席 ¥7,800(税込)
INFO:WESS 011-614-9999
 
2018.10.27(土)
宮城・電力ホール
OPEN/17:00 START/18:00
指定席 ¥7,800(税込)
INFO:ジー・アイ・ピー 022-222-9999

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Mellow Waves Tour 2018 – Taipei


2018.11.09(金)
Legacy 台北

OPEN/19:00 START/20:00

NT$ 2,000(前売)/NT$ 2,200(当日)
你好我好有限公司 http://www.btpbtp.com/Cornelius.html 
*日本からはメールでの予約が可能。


Clockenflap 2018


2018年11月9日(金)~11月11日(日)(※Corneliusは11日に出演)

Central Harbourfront Hong Kong

オフィシャルHP http://www.clockenflap.com/

チケットインフォメーション https://www.ticketflap.com/clockenflap2018

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Text by黒田隆憲
Photo by Ryo Tanahashi

黒田隆憲

黒田隆憲

ライター/カメラマン

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