TK from 凛として時雨
大森靖子とのレコーディング秘話も明かす

【ライブレポ】「大森靖子」と「TK from 凛として時雨」が<TOKYO CUTTING EDGE Vol.00>で示したお互いへのリスペクト music_cuttingedge_1-700x467

入念なサウンドチェックの後、TK from 凛として時雨がステージに登場。バイオリンを含む4人をバックに従え演奏を始めると、セットチェンジ間の弛緩した空気が一変して、会場中が張り詰めた緊張感に包まれる。

オープニングを飾ったのは、2014年リリースの2ndアルバム『Fantastic Magic』から、タイトルトラックの“Fantastic Magic”。TKのハイピッチなヴォーカルと複雑なアレンジのバンド演奏がオーディエンスの熱量をグッと上げる。続く“Abnormal trick”でもスリリングな展開を見せ、一気にTKの世界観へと引き込んでいく。

「大森さんとカッティングでエッジな夜を過ごせるとは思ってなかったです」と、このイベントの名前に引っかけたMCで会場を和ませた後は、最新3rdアルバム『white noise』収録の“Wonder Palette”を披露。ドリーミーなサウンド・エフェクトから始まるこの曲は、スピーディーで予測不能な展開にTKらしさを残しつつ、新しい音色も取り入れた彼の最新モードを開陳する一曲だ。

TK from 凛として時雨 『Wonder Palette』

その後も、バイオリンやピアノの流麗な音色を活かしたミドル・テンポの楽曲から、激しいストップ&ゴーを繰り返す攻撃的なロック・ナンバーまで、これまでのキャリアからバランス良く楽曲をセレクトしたセットリストが続いた。

柔らかなアンサンブルから超絶技巧のピアノ・ブレイク、シューゲイザー・ギターと次々に表情を変えながら、真っ白な美へとオーディエンスを誘う最新3rdアルバム『white noise』収録曲“Wonder Palette”。感情の高まりに合わせるようにバイオリンとギターが激しく絡み合う最新シングル“Signal”。ブルーを基調としたライトが均整の取れたバンドの姿をステージ上に映し出す。オーディエンスは時に手を上げて踊り、時にうっとりと見つめながら、その激しくも美しい音世界に酔いしれていた。

曲間では、「振るところないかもしれませんけど、全然ペンライトとか振ってもらっていいんで。」「大森さんはレコーディングの時あまり目を合わせてくれなかったんで、今日の打ち上げでは目を合わせたいと思います」等と話し、対バン相手の大森靖子についての逸話を交えながらオーディエンスとコミュニケーションを取り、親密な空気を作り上げていた。

【ライブレポ】「大森靖子」と「TK from 凛として時雨」が<TOKYO CUTTING EDGE Vol.00>で示したお互いへのリスペクト music_cuttingedge_2-700x467

大森靖子のライブが赤く燃え盛る炎だとすれば、TK from 凛として時雨はまるで青く燃えるよう。前者がバンド・メンバーの個性と大森靖子の強烈な存在感がぶつかり合うように転がっていくのに対し、後者のライブはTKが全てのサウンドをコントロールして、完璧に統制の取れた独自の世界観を構築していく。ライブでは、そのムードは正反対のようにも見えたが、どちらもフロントパーソンの音楽家としての理想を体現しているという点で相通じるものがある。

TKのライブは、アニメ『東京喰種トーキョーグール』のオープニングテーマに起用され自身最大のヒットとなった“unravel”から、最後のMCへ。「自分の曲を見るのは初めてだったんですけど、みんなが演奏してくれているのが嬉しくて、しかも一番後ろには僕のマイメンがいて涙がちょちょぎれそうになりました。」と、両者の交流から生まれたシングル“draw(A)drow”と、凛として時雨のドラマーで大森靖子のバンドにも参加しているピエール中野の話も飛び出し、会場は温かい笑いに包まれていた。

TK from 凛として時雨『unravel (short version)』

この日最後を飾ったのは、TKにとってソロ・キャリアの始まりとなった記念すべき一曲“film A moment”。映像作品として2011年にリリースされた同曲は、TKの楽曲の中でも一際シアトリカルでダイナミックに展開する、彼の魅力が凝縮された楽曲だ。TKの世界観に染め上げられた会場の余韻は時間が経っても止むことなく、観客からは終演後もしばらく拍手が鳴り止まなかった。

終演後、会場後方の2階を見ると、そこにはTKのライブを見ていた大森靖子がオーディエンスに向かって熱心に手を振る姿も。“draw(A)drow”でのコラボレーションをきっかけにして深く繋がった大森靖子とTK from 凛として時雨。お互いへのリスペクトと愛情、音楽家としてのそれぞれの矜持が強く感じられる一夜となった。

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text by 青山晃大
photo by Masayo