初ソロ作はビートの才人ならではの「ダンス・ミュージックではないダンス・ミュージック」
とはいえ、最新作『エターナル・サムシング』は一筋縄ではいかない内容になっている。ブラント・ブラウアー・フリックでは主にドラムやカホン、スティックなどを使ったビート面を担当する彼は、当初「シンバルでアルバムを作ろう」と思いつき、様々なタイプのシンバルを揃えて父親が所有する森の中の小屋で制作をスタート。
ところが3日間籠り制作に没頭したところアイディアが広がり、ほぼすべてを彼が演奏しつつも、最終的にはゲスト・ミュージシャンも加えてピアノ、トロンボーン、チェロ、ドラム、アナログシンセを導入している。
まず全編を聴いて感じるのは、何と言ってもビートを重視した作品ならではのリズムの多彩さ。ブラント・ブラウアー・フリックやその大きな影響源であるスティーヴ・ライヒ、もしくは今回レーベルメイトとなったニルス・フラームにも通じるミニマルでクラシカルな雰囲気はあるものの、先立って公開された“Chaparral Mesa”や洗濯機の音から着想を得たという“Kale Me”を筆頭に、細かく手数の多いビートが1曲の中で徐々にうねり、躍動し、最終的にはタイヨンダイ・ブラクストンが在籍していた頃のバトルスにも通じる強烈なインパクトを生み出していく。
Daniel Brandt – Chaparral Mesa
また、サウンドテクスチャーは生っぽい質感が残されているが、これはカリフォルニアに2週間滞在した経験が影響を与えているそうだ。そうして立ち上がる全編は、生の質感を大切に残した色とりどりの幾何学的なビート・パターンが音響的な上モノとサイケデリックな高揚感を生み出す「ダンス(クラブ)・ミュージックとは全く別の方法論を持ったダンス・ミュージック」。日本流通盤のみボーナストラック“Pleasuredome”と“Endless Refill”の2曲がダウンロードできるクーポンも付属。この機会にポスト・クラシカル屈指のビート感覚を誇る才人のソロ作に触れてほしい。
RELEASE INFORMATION
エターナル・サムシング
NOW ON SALE
ダニエル・ブラント
AMIP-0101
Erased Tapes
¥2,300(+tax)
日本流通盤のみボーナストラック2曲のDLクーポン付き
Track List
01. Chapparal Mesa
02. FSG
03. The White Of The Eye
04. Turn Over
05. Kale Me
06. Eternal Something
07. Casa Fiesta
08. On The Move
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