Report:electraglide2013
2013.11.29(FRI)@幕張メッセ国際展示場
NOSAJ THING(ノサッジ・シング)x真鍋大度 x堀井哲史 x比嘉 了
先鋭的なビートと映像の素晴らしきコラボレーション!
2013年のエレグラがいよいよ開演!!
2013年の<エレグラ>はLAを拠点に活動する天才ビートメイカー、ジェイソン・チャングことノサッジ・シングのライヴに真鍋大度×堀井哲史×比嘉了という日本屈指の映像クリエイター3名が映像を加えるというスペシャルなオーディオ・ヴィジュアル・ライヴで幕を開けた。開演直後ということもあり、まだそれほどには密集していない(ある意味ではとても贅沢なシチュエーションの)フロアにジェイソンの先鋭的なビートが投下される。最新アルバム『Home』からの楽曲が中心で、あの幻想的でスペーシーなサウンドが会場を異空間へと変えていく。
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スクリーンには彼の手元の映像が映し出され、さらに果たしてどんなプログラミングが施されているのか、ジェイソンの繰り出すビートに連動して、まるで命を吹き込まれたように色とりどりなポリゴンや幾何学図形がいくつも生成され、独自に動き回る。真鍋大度が手掛けたPVがYouTubeで100万ヴューを超える快挙を成し遂げた“Eclipse/Blue”をはじめ、フライング・ロータスの“Camel(Nosaj Thing Remix)”、ザ・エックス・エックスの“Islands(Nosaj Thing Remix)”なども盛り込まれた濃密でストーリー性のあるセットで開演直後のフロアを大いに盛り上げた。
Factory Floor/ファクトリー・フロア
ファクトリー・フロアの壮絶ライヴ!
ノー・ニューヨークとインダストリアルとアシッド・ハウス!
続いてはファクトリー・フロアだ。何を隠そう、僕はこれを観るために今回のエレグラに足を運んだといっても過言ではない。そう、最前列で紅一点の美女、ニック・コルクを一目拝むためである。まだ時間が早かったためか、それほどの混雑はなく、最前列を容易くゲット。するとすぐにステージにゲイブ・ガーンジー(ドラム)、ドミニック・バトラー(シンセサイザー)、そして紅一点の美女、ニック・コルク・ヴォイド(ヴォーカル/ギター)が姿を現す。ニック、やっぱりめちゃめちゃ美人! 早くも興奮はクライマックス……のはずだったが、ニックは僕が陣取った左側ではなく、ステージの右側に。決定的な凡ミスに落ち込む間もなく、壮絶なサウンドが鼓膜を擘く。
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モジュラー・シンセを操るドミニックがトリッピーな電子音を響かせたかと思うと、ニックがドラムスティックでギターの弦を叩きつけノイズを重ね、そこにゲイブが肉感的なリズムを加えていく。ヒリヒリとした質感の鋭利なノイズはDNAやティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークスなどノー・ニューヨーク一派を思わせ、アシッドでパンキッシュな電子音は初期のアシッド・ハウスの衝動にも通じるものがあるし、また冷ややかでインダストリアルなビートはスロッビング・グリッスルやキャバレー・ボルテールあたりを連想させる。さすが〈DFA〉の総帥、LCDサウンドシステムことジェームス・マーフィーが惚れ込んだ連中というだけあって、サウンドもパフォーマンスもむちゃくちゃっかっこいい! ニック・コルクも噂に違わぬ素晴らしい美貌であった。近い将来、ぜひとも単独公演を観てみたい。
Machine Drum/マシーンドラム
変幻自在のビート・ミュージックを披露した、
パーティ番長マシーン・ドラム!
ファクトリー・フロアの衝撃の余韻に浸るまもなく、逆サイドのステージにはマシーンドラムことトラヴィス・スチュアートが降臨! シンドローン、セパルキュア、ジェッツといった名義を使い分け、アンダーグラウンドからメジャー・フィールドに至るまで様々なビートを模索/探求し続けてきた求道者は、最新作『ヴェイパー・シティー』を引っさげてこの大舞台でいったいどんなサウンドを披露してくれるのか!? たち上がりはメロディアスなロービートものでじわりじわりと攻めるも、早々にギアをグッと上げると、近年のポストダブステップやジュークへのアプローチはもちろん、野性味のあるジャングルやドラムンベース、さらには攻撃的なエレクトロやヒップホップなども巧みに織り交ぜ、完全にレイヴ仕様の超アグレッシヴなセットで会場を一気にヒートアップさせる。
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会場ではジューク的なフットワークで応戦するオーディエンスの姿も見られた。ある意味ではジュークのような正真正銘のストリートのサウンドが、<エレグラ>のような大会場でも十分にその威力を発揮することを証明したとも言えるだろう。中盤、自らマイクを握りオーディエンスをアジテートしたり、見事なパーティ番長っぷりを見せつけた。
Sherwood & Pinch/シャーウッド&ピンチ
圧巻の重低音!
さらなる進化を遂げたUKベース・ミュージック界のドリーム・タッグ!
うおおお! これまでのアクトとは明らかに異質の超高密度の低音が鳴り響き、会場がどよめいた。バックの巨大なスクリーンには馬鹿でかい水パイプをくゆらす男たちの写真が映し出される。気のせいかどこからともなく香ばしい匂いが漂ってきたような……。さあ、〈On-U Sound〉の総帥エイドリアン・シャーウッドと、〈Tectonic〉を率いるブリストル・ダブステップの王者ピンチによる最強タッグ、シャーウッド&ピンチの登場だ。筆者は今年4月に開催された<SónarSound Tokyo 2013>にて彼らのパフォーマンスをいちど体験済だが(その時もその時で興奮したのだが)、正直、比較にならないほど全てが強靭にグレードアップしている。
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<SónarSound Tokyo 2013>の時はその重戦車の如き圧倒的な音圧にただただ圧倒されたが、今回はそれを上回る音を放出しながらも、強烈に中毒性が高く、ズブズブと音の奥の方に引きずり込まれていくような感覚があった。また非常にダンサブルでもあり、マシーンドラムのアッパーなセットの直後であったにも関わらず、フロアの動きを止めなかった。エイドリアンのライヴはこれまでも数々観てきたが、ベストの類に入るものだったような気がする。
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