かねてから話題を集めていた海外製の機器に加えてここ日本でもPlayStation®VRの発売が10月に予定されるなど、いよいよ盛り上がりつつある「VR(=Virtual Reality:仮想現実)」を使ったエンターテインメントの世界。その魅力をVR専門の劇場で新気鋭のアーティストたちが表現する、音楽と映像表現の複合イベントが横浜で開催された。
VRDG+H#1 (short version)
電子音楽と映像表現の融合を模索する「BRDG」が初めて「VR」を使用したこの日のイベントは、それに連動して名前も<VRDG+H>。会場となった世界最高峰の3DCGライブホログラフィック施設「DMM VR THEATER」は、多元レイヤーのホログラム投影装置と9.1chサラウンドの音響設備によって観客がVR効果を体験出来る最新施設。簡単に言えば、フライング・ロータスのライブで使用されている3Dセットが常設された劇場となる。
今回はそこで、オールドスクール・ヒップホップ~ダブステップまでを横断したHIFANAのKEIZOmachine!×HEX PIXELS、3Dアニメキャラが拡張する様子が面白いDAIMAOU ×wk[es]など、音楽と映像の様々なコラボレーションが実現。中でも海外のポップ・ミュージックの最先端と共振しながらユニークなステージを披露したのが、RiRiとLuLaによるマネキン・ダンス&ラップデュオ、FAR EAST MENTION MANNEQUINS=FEMM。彼女たちは2月にメジャー・デビューEP『PoW!/L.C.S.+Femm-Isation』を発表しての出演となった。
FEMM – Live at BRDG #6 feat. Fz(sfpr) & Invaderous × Vj Keijiro Takahashi
*今年1月に行なわれた過去の「BRDG」でのライブ映像
<VRDG+H>:FEMM
暗くなったステージに直立不動のメンバーがひとりずつ運ばれると、急にスクリーンがカラフルに変化し、「You are allowed to take photo for 10 minutes」とアナウンスが。そうして観客がスマホを取り出して撮影する様子が、そのままライブのオープニングの演出になる。本編はボーイズ・ノイズがプロデューサーを務め、この日のライブでVR-VJを務めた柴田大平がMVを担当したエレクトロ・ヒップホップ“L.C.S.”でスタート。ブリーピーで強烈なサウンドに合わせてポリゴンが弾け飛んでいくVR演出とお互いが同期するように人工的な動きを見せるFEMMの対比が鮮やかで、途中からメンバーが躍動すると、殴ったポリゴンが弾け飛ぶ“L.C.S.”のMVを踏襲した世界観で観客を魅了していく。
FEMM – L.C.S. (Music Video)
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