1996年当時、弱冠17歳にして『タイダル』を世に送り出し、過去に発売されたアルバム全てがビルボードチャートのTOP10入りを果たしている稀代のシンガー・ソングライター、フィオナ・アップル(Fiona Apple)。グラミー賞にもノミネートされた前作『アイドラー・ホイール』から8年間の沈黙を破り、通算5作目となるニューアルバム『Fetch The Bolt Cutters|フェッチ・ザ・ボルト・カッターズ』を4月17日にデジタル配信にてリリースした。
前作の発売以来、新作について表立った活動をしてこなかったフィオナ・アップルだが4月2日に非公式のファンサイトにて今作のリリースを突如発表し、彼女のキャリア史上異例の速さでのデジタル配信となった。
タイトルには「声を上げることを恐れないで」というメッセージ
タイトルである『Fetch The Bolt Cutters』とはイギリスのTVシリーズ『The FALL 警視ステラ・ギブソン』でゲラン・アンダーソンが演じた性犯罪を取り締まる警察官のセリフから着想を得たそうで「声を上げることを恐れないで」という気持ちをこめたとThe New Yorkerの独占インタビュー内で語っている。
2012年の初頭から何年もかけてレコーディングされたという本作はインディーロックドラマーのAmy Wood、サウンドエンジニアであるJohn Would、バンドSoul CoughingからベーシストのSebastian Steinberg、シンガーソングライターでありギタリストのDavid Garzaが参加しており、LAにあるフィオナの自宅内を泥まみれのオイル缶や、海の藻屑など音を自由に慣らして歩きまわって作ったそうだ。収録されている楽曲のうち、“Newspaper”ではフィオナの実の姉が、“Fetch The Bolt Cutters”では女優、モデルのカーラ・デルヴィーニュがコーラスを担当している。
Fiona Apple – Fetch The Bolt Cutters(Audio)
本作は、Kanye Westの『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』以来10年ぶりに、米音楽メディアPitchforkが、作品のレビューにて滅多に出す事のない10点満点をつけたことでも話題になっている。感情や情景を抉り出すフィオナお得意のサウンドメイキングに加えて、よりパーカッションのリズムが効き、生々しく響くサウンドとなっている本作はジャケット写真にも使われている愛犬ジャネットの遺骨さえも楽器として使用し、自然な形での音作りにこだわりながら制作されたそうだ。8年ぶりの作品をじっくり聴いてみよう。
RELEASE INFORMATION
Fetch The Bolt Cutters|フェッチ・ザ・ボルト・カッターズ
Fiona Apple|フィオナ・アップル
全13曲
01. I Want You to Love Me|アイ・ウォント・ユー・トゥ・ラブ・ミー
02. Shameika|シャメイカ
03. Fetch The Bolt Cutters|フェッチ・ザ・ボルト・カッターズ
04. Under The Table|アンダー・ザ・テーブル
05. Relay|リレイ
06. Rack of His|ラック・オブ・ヒス
07. Newspaper|ニュースペーパー
08. Ladies|レイディーズス
09. Heavy Balloon|ヘビー・バルーン
10. Cosmonauts|コスモノーツ
11. For Her|フォー・ハー
12. Drumset|ドラムセット
13. On I Go|オン・アイ・ゴー