・スタジオ作品とはぜんぜん違う?! パワフルでアグレッシヴなライヴの魅力

とはいえ、親しみやすくてポップ――それだけが、フォスター・ザ・ピープルの魅力じゃない。実は彼らの人気を支えるもう1つの魅力は、音源とはまったく別物と言えるほどエネルギッシュなライヴ。実際、ソールドアウト連発となった日本ツアーや<サマーソニック>でのステージでは、“Helena Beat”を筆頭にパーカッション合戦を繰り広げたり、“Pumped Up Kicks”では後半に怒濤のエレクトロ・ジャムに突入したりと鉄壁のライヴ・バンドっぷりを披露。汗だくのメンバーと共に観客も一緒になって大合唱し、会場を包む一体感がとにかくもの凄い(そしてライヴ後に音源を聴き返せば、彼らの楽曲がライヴでエネルギーを解放するために緻密に練られていることが分かるはず)。こうしたデビュー以降のツアーは、マーク・フォスターの宅録プロジェクト的に始まった3人の関係が、本物のバンドになるためのプロセスだった。

Foster The People“Coming of Age(Mural Time-Lapse)”

・待望の新作は、FTP流“刹那的な時代の、普遍的なポップ・ミュージック”

そして今回の新作では、前作で3曲を手掛けたポール・エプワースと共にモロッコ~マリブと場所を変えながら、ツアーでの経験を反映させてよりバンド・サウンドを追究。お得意の80年代ニュー・ウェイヴ風エレクトロを基調にしつつも、ギターの比重が上がってスケール感が増している。また、前作は“歌って踊れる陽性のサウンド”一辺倒だったのに対して、新作ではアフリカ音楽を取り入れたり、マーク・フォスターの弾き語りを加えたりと曲の振り幅がぐんと拡大。そして作品タイトルや歌詞ではアンディー・ウォーホルの名言「未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」に代表される今の消費社会や唯物主義の刹那性を、“スーパーモデル”などに象徴。そのうえで、彼らのポップな楽曲の力によって、時代が変わっても色あせることのない普遍的なポップ・ミュージックへの愛を表現している。その様子はまるで、10年前に同じような気持ちでスターダムを駆け上がったザ・キラーズのよう。このアルバムはきっと、3人を更に大きなステージへと連れて行ってくれるはずだ。7月には<フジロック>での来日も決定。その時までに、あなたも大合唱の準備をお忘れなく。

“Best Friend(Lyric Video)”

(text by Jin Sugiyama)


Event Information

FUJI ROCK FESTIVAL’14
2014.07.26(金)、27(土)、28(日)@新潟県 湯沢町 苗場スキー場

Release Information

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