ビーチ/サーフ・カルチャーをルーツに持つフェスティバルとしてスタートし、今年15周年を迎える<GREENROOM>。海を見渡すロケーションでありつつ、渋谷から直通で1時間かからない利便性の高い都市型フェスとして独自の進化を果たしてきた。街着のままフラッと出かけられる気軽さ、夏のおしゃれを一足先に試せる楽しさも。また近年は親子連れも目立ち、安心して過ごせるポスピタリティも嬉しい限り。
加えてアートや映画、参加型のワークショップの多彩さが多様な参加者のニーズを受け止めてくれる。がっつりライブを見るもよし、芝生でまったり過ごすもよし、横浜の夜景と音楽と美味しいお酒に酔いしれるもよし。もちろんフルコースも可能だ。
横浜赤レンガ広場という、広すぎず狭くはないスケール感の中で、国内外の旬のアーティストや、ネクストカミングなアーティストのライブを横断的に見られる満足感。年々、R&Bやヒップホップ、エレクトロニックやさらにそれらをハイブリッドしたアーティストと、ジャンルの垣根がなくなり、今見たいラインナップが充実していることも音楽ファンの琴線に触れる理由だろう。
出演アーティストをご紹介
あなたが観たいアーティストは?
年々多彩になる<GREENROOM>のラインナップ。5つのカテゴリーで今年特に注目したいアーティストをピックアップしていこう。
DAY1 5月25日(土)
見逃したくないアーティスト:Leon Bridges、King Gnu
Leon Bridges – Coming Home(Official Video)
誰もが本物の愛を求めている時代だからこそ、ジャンルを超えてLeon Bridgesが人々の心を震わせるのだろう。第61回グラミー賞「最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス賞」を受賞したタイミングでもあり、また2016年の<FUJI ROCK FESTIVAL>でRobert Glasperとの被りに泣いた人も今回はぜひ。
King Gnu – 白日
ゆるくて心地いい<GREENROOM>に暴れん坊降臨!? 今や飛ぶ鳥を落とす勢いのKing Gnu。ワンマンのチケットが取りづらくなること必至な今、極上のトーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイルを見逃す手はない。
おすすめアーティスト:FISHBONE、Allah-Las
Fishbone – Ma and Pa
80年代から活動する元祖ミクスチャー軍団、FISHBONEがオリジナルラインナップで登場。色褪せないファンクやロックの掛け合わせ感はリヴィング・レジェンド級。
Allah Las – Tell Me(What’s On Your Mind)(Official Video)
<GREENROOM>の軸にあるサーフ・スピリッツにぴったりなのが、LAのサイケ/サーフバンド、Allah-Las。2017年にはコーチェラにも出演し、音楽性が認められている彼らだが、この不思議な酩酊感を初夏の横浜で味わうのもオツ。
注目のネクスト・ブレイク・アーティスト:中村佳穂、SIRUP
中村佳穂 “きっとね!”(Official Music Video)
2018年にリリースされた作品の中で突出した新しさで様々な賞を総なめにした中村佳穂の『AINOU』。見るたびに変化する音と言葉、彼女の感覚と身体性がビビッドにシンクロするライブはまさに体験的。
SIRUP – Do Well(Official Music Video)
ラップとメロディのスムーズな行き来がオリジナリティ溢れるリリックとともに必然的に存在している印象のSIRUP。今年に入り、各種サブスクリプションや全国のFM局でネクスト・ブレイク・アーティストに選出されている。
ヒップホップ:KICK THE CAN CREW
KICK THE CAN CREW「千%」MUSIC VIDEO
言わずもがなポピュラーな存在だが、今年の<GREENROOM>は初日にKICK THE CAN CREW、2日目にKREVAが登場するのも見どころ。スキルフルなラップをポップに落とし込んだ3MCの醍醐味を堪能したい。
子どもと一緒に見たいアーティスト:Nulbarich
Nulbarich – Kiss You Back(Official Music Video)
大人が魅了されるのはもちろん、親子ファンも多いNulbarich。身体に優しいグルーヴとナイスメロディで耳の肥えた今の子どももノリノリ。
DAY2 5月26日(日)
見逃したくないアーティスト:Tom Misch、Corine Bailey Rae
Tom Misch – Disco Yes(feat. Poppy Ajudha)[Audio]
新世代ジャズ、R&B、ヒップホップからロックバンドのミュージシャンまで、これほど数多くの同業者がフェイバリットに挙げたアルバムはなかったのでは?と思しきTom Mischの『Geography』。メロウなソングライティングと卓越したギター、そしてトラックメーカーとしても抜きん出た才能はまさにオンリーワン。
Corinne Bailey Rae – Put Your Records On
洗練と素朴が同居し、歌うことが彼女自身にとっても癒しのようでもあるステージに触れると、歌詞の意味がわからずとも涙が溢れる、そんな美しいステージを見せてくれるのがCorine Bailey Rae。そのパーソナリティにも魅了されたい。
おすすめアーティスト:Tommy Guerrero、TENDRE
Tommy Guerrero | the endless road(Official Video)
すっかり<GREENROOM>のリピーターとなったTommy Guerrero。カリスマティックなスケーターが今年は新作『Dub Session』を携えてかえってきてくれる。本作で共演しているBAD BRAINSにも在籍していたChuck Treece(Dr)らと届けるオリジナルで気張らないステージに期待したい。
TENDRE – DOCUMENT(Official Music Video)
マルチプレーヤーながら新曲「CHOICE」では生楽器を一切用いなかったり、音楽的にまだまだ天井知らずなTENDRE。洒脱なグルーヴとユーモアに満ちたMCのギャップも魅力。
注目のネクスト・ブレイク・アーティスト:RIRI
RIRI – That’s My Baby(Official Video)
16歳からLAで数々のプロデューサーと制作をスタートさせた、まさにミレニアルズを代表する19歳。Zeddから自身最大のヒット曲「ステイ」の日本語カバーのリクエストを受けたり、今夏の資生堂アネッサCMソング「Summertime」には小袋成彬のプロデュースで、ラッパーのKEIJUとともに参加。今が見どきのネクスト・ブレイク筆頭株だ。
ヒップホップ:KREVA
KREVA『存在感』Music Video+Trailer
前日のKICK THE CAN CREWとは異なるソロにおけるバンドセットでの生演奏が見所になりそうなKREVA。自身の代表曲をバンドアレンジで再録したアルバムのリリースも控え、日本語ラップ/ヒップホップのトップランナーが今見せるステージに注目。
子どもと一緒に見たいアーティスト:Chara
Chara -『愛のヘブン』MUSIC VIDEO
ダンサブルで90年代テイストの近作『Baby Bump』や、往年の名曲も披露してくれるとしたら、世代を超えて彼女の愛に包まれるはず。そしていつまでもオルタナティヴなその音楽性に、常に新鮮な女性像も見ることができそう。
ビーチ/サーフ・スピリットを感じることができる
アクティビティも満載!
<GREENROOM>がスペシャルなフェスティバルである理由は、ビーチ/サーフ・スピリットを様々なアートで表現し、会場のそこここで楽しめることにある。
身近な存在としてはスケートボードやスニーカーにおけるアートがあるが、<GREENROOM>の期間中は20名近いアーティストが作品を展示したり、リアルタイムで絵を描く場面に遭遇することもできる。今年はVANS、Gregory、BEAMSなどへのアートワークの提供も行うYusuke Hanai、「Surfer Magazine」の元アートディレクターで、アーティスト/フォトグラファーのMatthew Allen、日本人女性でNIKEとのコラボなどで独創的なペインティングを見せるKeeenueら、個性豊かで日常をインスパイアしてくれるアートが展開されそうだ。
Yusuke Hanai
Matthew Allen
また、サーフ・カルチャーや海への関心を自ずと高めてくれる映画の上映も<GREENROOM>ならではで、開催当初から軸を成す要素の一つだ。未知の海岸、まだ人が乗ったことのない地中海の波を探すサーファーを通して海という自然と人間を美しい映像で捉えた『NAUSICAA(ナウシカ)』。他にも女性スーパーサーファーのドキュメントなど、多角的に人間と海の関係や、サーフ・カルチャーを次世代に受け継いでいく作品が用意されている。
NAUSICAA
また、ワークショップは親子連れが楽しめる多彩なラインナップ。ライブにも登場するHYがプロデュースする「HeartY Village」では、自然の物や身の回りの物を工夫して作った楽器で、HYの曲をメンバーとセッションできる。また、うたうひげとおどるマリオネットのジャグバンド、The Worthlessと、ニジノ絵本屋がタッグを組んだスペシャルステージも。こんなものもあんなものも楽器になるんだ?という楽しさは大人も夢中になれるはず。他にも屋外でのヨガのワークショップもあり、潮風に吹かれながらのびのび身体を動かすことでフェス疲れを残さず、快眠できるかも!?
HY
都市型フェスでありつつ会場のデコレーションは木やオーガニックなムードのフラッグなど、穏やかなトーン。ナチュラルで面白いオブジェはこのフェスならではのフォトスポットでもある。また、日が落ちてからの照明も愛らしく、海を臨めば横浜の夜景もカーニバル・ムードを盛り上げてくれるだろう。
人の数だけ楽しみ方が存在する多様性に満ちた<GREENROOM>。5月最終の週末は<GREENROOM>に遊びに行こう!
Text by Yuka Ishizumi