サブスクリプション型(定額制)音楽ストリーミングサービス「AWA(アワ)」でDJの原島“ど真ん中”宙芳がプレイリストを公開した。
DJの原島“ど真ん中”宙芳にとって、音楽ストリーミングサービスは「まだ馴染めていないけど、悪い奴ではないっぽい」
DJの原島“ど真ん中”宙芳(ハラシマ・ドマンナカ・ミチヨシ)がAWAでプレイリストを作った。彼は、都内のクラブを拠点にDJとして活動し、唯一無二の存在感を醸し出している。地元の友達であるPUNPEEとはDJコンビ板橋兄弟や、ライブのバックDJをほぼ専属(?)でおこなうなど、その活動は多岐にわたる。そして去年、話題を呼んだPUNPEEの1stアルバム『MODERN TIMES』の12曲目“夢のつづき”でラップを披露し周囲を驚かせた。去年の年末には恵比寿BATICAで、85名の完全予約制の板橋兄弟のワンマンパーティー<Still Dreamin’>を開催し、話題となった。
筆者と原島“ど真ん中”宙芳の出会いは良いものではなかった。去年10月に書いた記事 「PUNPEEのThe Journey into Mystery Tour@赤坂 BLITZ を振り返る」が原因だ。この記事のなかで 「まさか、いつもバックDJをしている原島“ど真ん中”宙芳がラップするなんて想像もしなかった(笑)」 の 「(笑)」 という表現が気に食わなかったらしい。共通の友人からその話を聞いたあと、飲みの席で会う機会があり、怒られると思ったので正直行きたくなかった。しかし、「(笑)って、笑いごとじゃないんだけど。でも、赤坂のレポートの熱量とスピード感、素晴らしかったと思います」と言ってくれて、良い人なのか怖い人なのか不思議だった。調子に乗った筆者が、AWAでプレイリストを作ってほしいとお願いしたら、意外にも快く引き受けてくれた。良い機会なので、ついでに話も聞いてみた。
DJを始める前はどんな音楽を聴いていたのか。
「小学校はチャゲアス、中学はブルーハーツを聴いていて。高校入ってからは、同じクラスになった友人が洋楽を聴いてるのがきっかけで、自分も洋楽を聴くようになりました。インディーロック、テクノ、ヒップホップの流れで。いまはヒップホップに夢中です。人前でDJするようになる前からOASIS(オアシス)、Radiohead(レディオヘッド)、THE PRODIGY(ザ・プロディジー)のレコードも買ったりしてましたね」
恵比寿BATICAでのDJで、チャゲアスの名曲“LOVE SONG”を必ず流すと言っても過言ではない。DJとして活動している原島“ど真ん中”宙芳が、地元の友達であるPUNPEEのバックDJをするようになったキッカケを聞いてみた。
「PUNPEEが、2012年のSummitの<AVALANCHE 2>っていうイベントでソロライブをやることが決まったときですね。そのとき恵比寿BATICAでDJしてもらってて、酔っ払ったPUNPEEに頼まれました。話半分かと思ってたのですが、後日電話がかかってきて正式に頼まれて、そこからって感じですね。近所で暇してそうだったから、呼び出しやすかったのかなと。友人の頼みごとで断る理由がなかったのでやらせてもらいました。俺のインタビューなので、PUNPEEに聞いてもらっても良いですかね」
失礼しました。今回、AWAで作ったプレイリストはどのように選曲をしたのか。
「自分の好きな曲を、ほかの人にも好きになってほしいなと。昔、カセットやMDに編集して入れてたのと基本は変わらないですね。より良く聴けるように、前後の曲、順番を気にして作りました。一応、DJをやっているので」
現場でDJをする原島“ど真ん中”宙芳なだけあり、多くのジャンルから選曲し、かなり聴きやすいプレリストに仕上がっている。繋げて聴くと、それがよく分かる。最後の曲はもちろん“夢のつづき”。音楽ストリーミングサービスと原島“ど真ん中”宙芳はまったく関わりがなさそうな気がするが、音楽ストリーミングサービスに対して、正直どう思っているのか気になった。
「正直まだ馴染めていないです。クラスに新しい奴が転校して来て、悪い奴ではないっぽいけど、どう接したら良いのかまだ分からないです。自分は物やデータで所有したいので試聴するのには便利だと思います。新譜もたくさんあるし。逆に言うと音楽を聴きたいだけの人は、これで足りると思いますね」
なるほど。良い印象はないと思っていたけど、そうでもなさそう。転校生という例え方はうまい(笑)。現場でDJをしている人と音楽ストリーミングサービスが仲良くなれば、もうすこし変わってくるのかも。今回、原島“ど真ん中”宙芳にAWAの使い方を一切教えずに使ってもらったが、使ってみてどうだったのか。
「操作性が良く、プレイリストをサクサク作ることができました。自分のプレイリストに使用した曲が使われている、他人のプレイリストを聴いて知らない曲を見つけたり。人の好みが見れるのも面白かった。ハイライト再生での曲の移り変わりもスムーズでよかったです」
ハイライト再生での曲の移り変わりに注目するあたりが、DJをしている原島“ど真ん中”宙芳っぽい。今後も気が向いたときにぜひ使ってもらいたい。最後に今後はどういう動きをしていくのかを聞いた。
「情けない話、具体的にはないです。所属しているグループ、Chaos On Parade(カオスオンパレード)でCD出してみたいのですが、なかなか進まずで。個人ではミックスやら、なんやらとプランを持ち寄られるのですが、こちらもなかなか…。あとは表参道のCOMMUNE 2NDというところでコミュニティラジオを企んでるくらいです。うまくいけば3月から毎週やろうかなと」
Text・Photo by Toru Miyamoto
撮影協力:恵比寿BATICA
レコードやMP3など、様々な形で音楽を楽しめるようになった今「DJの人って、ストリーミングサービスのことどう思ってるんだろう?」と、音楽好きの人ならば一度は考えることがあるかもしれない。そんな問いへの答えは非常に痛快だった。転校生って!!
そして「コミュニティラジオを企んでる」と……。クラブで原島宙芳氏のDJ、そしてMCを目撃したことがある人にとっては、遅すぎる報告なのかもしれない。要は、絶対面白い! 「ラジオはどんなタイトルになるんだ!」「ゲストとか来ちゃったりするのか!」「毎回新しいミックスを聴けちゃうのか!」「何時間くらいやってくれるんだ!」などなど、彼はライフスタイルに予想外のエンターテイメントを提供してくれる。
来たるべき垂涎ラジオを復習するにも、このプレイリストは絶対に聴くべき! また原島宙芳氏は都内で多くDJ活動を行なっているので、まだ未経験の方はぜひ足を運んでみよう。予想外と書いたようにきっと頬が緩むようなDJが堪能できるはず。
もちろんのこと、原島宙芳氏のDJがおなじみの人もこのプレイリストは楽しめるものになっている。普段クラブで聴くものとは、全く別の経験となるに違いない。
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