空想の世界、いつかの時代へのタイムトラベル、デジャブはジークムント・フロイトが説く“すでに見た夢”なのか。
この街で過ごした数日間は、様々な角度から”非日常”だった。非日常的な出来事は、その非凡な経験から自分に何かしらの変化を齎す。それまで知らなかった世界、それまで会ったことのなかった人たち、それまで見たことのなかったものたち、それらを通して自分でも気付いていなかった奥の奥に眠る新たな自分を呼び起こすきっかけとなるのだ。

何かに掻き立てられるように旅に出るのはそういった“予期せぬ出会い”があるからなのかもしれない。正体は分からないけれど、“予期せぬ出会い”が待ち構えていることだけは分かる、だから、衝動に駆られて旅に出るのかもしれない。

ポーランドの“斜めに傾いた5つ星ホテル”『The Hotel Warszawa』で行われた非日常なパーティーをレポート! art190919_hotelwarszawa_1

7月、ある光栄な招待を受けて、ポーランドの首都ワルシャワへと向かった。自分の誕生日を迎えた直後だった。

ベルリン、そして、ヨーロッパの片隅から』番外編として、“The Hotel Warszawa”で過ごした3日間とそこで開催された”Polish Thursday Dinners”パーティー、魅力溢れるワルシャワの街を、旅の友であるカメラ『XF10』から写し出した”非日常”とともにお届けする。

時間に追われたビジネストリップでない限り、最近は列車やバスといった陸路で旅することを選んでいる。今まで”移動手段は飛行機”という認識だけで乗っていたのだが、実はあまり好きではないことに気付いた。今回もベルリンから長距離列車に乗り、ドイツとポーランドの田園風景を走り抜け、7時間に渡る陸路の旅を選んだ。

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到着したのは”Warszawa Centralna(ワルシャワ中央駅)。駅から一歩外に出ると斬新な曲線を描いたガラス張りのドームが強烈なインパクトで出迎えてくれる。ここはワルシャワ随一のショッピングセンター”ZłoteTarasy(ズウォテ・タラスィ)”、2007年に建てられたとは思えないほど近未来な風貌をしている。反して、徒歩圏内には”スターリン・ゴシック”を象徴する超高層建築が旧ソ連の面影を色濃く残している。

第二次世界大戦中に跡形もなく壊滅したこの街の旧市街地は、市民の強い意志により見事な復興を遂げ、ユネスコの世界文化遺産に登録された。長い歴史と戦争の痕跡は、バロック様式の宮殿、旧ソ連時代のブロック建築、近未来な高層ビルといった多種多様な建築が入り混じり、一体いつの時代にいるのか分からない不思議な感覚に襲われる。

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ワルシャワ中央駅からタクシーで7分という中心地に位置する”The Hotel Warszawa”は、1934年に建てられた66メートルという圧巻の高さを誇るポーランド一の高層ビル”The Prudential building”を改装したホテル。戦時中に爆撃を受けた影響でわずかに傾斜しており、斜めに傾いた5つ星ホテルという世界でも珍しく、ユニークなエピソードが付いている。そんな同ホテルの内装と142の客室は、落ち着きのあるウッド、独特な大理石、銅とオリジナルコンクリートから成るミニマルな天井、ゴージャスなシャンデリアと、いろんな要素がミックスされており、それでいて絶妙なバランスを保ち、退廃的でありながら気品に溢れている。あまりにラグジュアリーな空間は居心地が悪くなってしまうが、ここはラウンジから部屋、廊下、スパに至るまで全て解放的で無駄がなく、一切のストレスを感じなかった。

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