自らのスタイルを「魔ミュージック」と提唱し、コロナ禍にビートメイカーとしてのキャリアを本格始動させ、META FLOWERやKMCらの話題作に参加するIRONSTONE。今年3月に発表されたファースト・アルバム『LET THE DOG IN THE HOUSE, LET THE HUMAN DIE OUTSIDE』は国産Drillの怪作として瞬く間に話題になり、リリースされたカセットテープはほぼ売り切れた様子。そんな本作が配信リリースされ、BDRが客演する収録曲“WTT”のMVが公開された。MV公開に際して、IRONSTONE、BDRからコメントも到着している。なお、MVの撮影・編集を担当したのはONAN

【MV】IRONSTONE – WTT(ft. BDR)

IRONSTONE コメント

多くのBAD BOYがSHOCKを味わう漆黒のUNIVERSE
闇が闇を呼び底無しに深まり続けるNEW WORLD
完全に視界を絶たれ、ただ闇を浴びる事しか出来ない黒き摩天楼
 

しかし私は知らなかった
 

壁に染み付いた無数のCOLD FACE
隣には狂気のXXX、見上げた先にはSnow and Rain
あのCORNERには気をつけろ
 

Shineの後には更なるHELLがそこにあった
そんなTHE TRUTHがこのビデオには映し出されている
 

I hope
 

忘れてはいけない
我々が闇を見つめる時、闇も魔た我々を見つめているという事を
 

THE KIDRAW FOREVER

BDR コメント

紫のビル、弁天通りを見降ろしながらいつも通り燻らしてると、IRONSTONEが何気なくかけたビートに深い酩酊状態へと誘われ、ふと気がつくと俺らはトンネルの中にいた。ここは日本なのか、はたまた異次元空間にでも迷い込んでしまったのか、外界から遮断されたこの空間の情報は何もない。唯一分かってる事は、想像力の断層を突き抜けるこのトンネルは曰く付きで、科学や数字じゃ解明できない魔が潜んでるって話。面白え、トンネルってゆーと抜け出したいものってイメージをもつ奴も多いけど、俺はもっと奥に入りたくなる。果てしないものの果てについ惹かれちまう性格。そこへ向かう先で出会う奴らってのがまたみんな魔物みたいな奴ばかりで、俺はそんな奴らが大好きだ。そいつらと遊んでたら、その様子が1本のビデオにまとめられてたんだ。
Onan Visual Project, Hoodish Recordings, IRONSTONE, またあのトンネルでBBQでもしたいすね。

IRONSTONE『LET THE DOG IN THE HOUSE ,LET THE HUMAN DIE OUTSIDE』

高田馬場にあるクリエイティブレストラン「九州珠-KUSUDAMA-」が2021年末に始動させた新鋭レーベル〈Hoodish Recordings〉からの2作目となる『LET THE DOG IN THE HOUSE ,LET THE HUMAN DIE OUTSIDE』には、客演にはKMC、RHYDA、東金B¥PASS、BDR、愛染 eyezen、AIWABEATZ、Eclipse Sound Systemといった関東のシーンで活躍するラッパーやビートメイカー達が参加。ミックス・マスタリングとダブワイズはMaL(PART2STYLE)が担当した。

配信リリース後には、収録曲“HYPER BURN(feat. 愛染 eyezen)”が「+81 Connect」に、“WTT(feat.BDR)”が「Dark ╳ Trap ╳ Metal ╳ Phonk」などのプレイリストに選曲されるなど、さまざま広がりも見せている本作。奇怪でときにうつくしい世界観を保ちながら、凶暴な808BASSとムーディーなメロディーが絡み合い、イントロから最後まで情景を想像させるストーリーテリングな展開には言語をも超える普遍的な魅力が宿っている。

IRONSTONE、そして〈Hoodish Recordings〉の今後の動きにもぜひご注目を。

ドリル/トラップをどのように消化してオリジナリティのある楽曲を生み出すか。東京・吉祥寺を拠点に活動するDJ/ビートメイカー/プロデューサーのIRONSTONEのファースト・アルバムは、そうした現代的な課題へのひとつの回答と言えよう。また、複数のラッパーを客演に迎えた本作は、国内のラップ・ミュージックのシーンにも刺激を与え得る作品であろうし、そうした期待を抱かせる新鮮さがある。

 

ハードコア・バンドのギタリストとしてキャリアをスタート、現在も複数のバンドでギターを弾くIRONSTONEは、コロナ禍以降に本格的にビート・メイクに取り組み始めたという。特定の音楽の領域に留まらず活動してきた彼らしい面々と共同制作しているのも重要なポイントだ。

 

例えば、DJ/ビートメイカー、AIWABEATZとの共作“∞”(インフィニティ)はニューエイジ・ミーツ・ドリルとでも形容したくなる。さらに、ベース・ミュージックやトロピカルなサウンドと日本語のラップの混合に挑戦し続けるラッパー、RHYDAとの“anmo”は、パーカッションや打楽器、または“和”のテイストを加え、“お祭り男”の個性を上手く引き出している。もうひとつだけ例を挙げるとすれば、ラッパー、愛染 eyezenとの“HYPER BURN”では、定番リディムの“Sleng Teng”を用いたドリルを展開する。

 

このように、異なる作風の楽曲が並ぶ本作は、高田馬場にあるクリエイティブレストラン「九州珠-KUSUDAMA-」が2021年後半に始動させたばかりの音楽レーベル「HOODISH RECORDINGS」からリリースされる。そして、レーベル第一弾作品を発表したMaLが今回の作品の制作にも携わる。すなわち、IRONSTONEのユニークなデビュー作は、ドリル/トラップ、日本語ラップ、ベース・ミュージックの交点であり、また、場と場、人と人が繋がっていくクラブ・カルチャーやパーティの現場のいまを伝えてもいるのだ。

 

(二木信/音楽ライター)

META FLOWER、KMCへの楽曲提供でも知られるIRONSTONEの1stアルバムから、BDRが客演する「WTT」のMVが公開 music220415-ironstone-1
IRONSTONE(アイアンストーン)
西東京、吉祥寺を拠点とするDJ/BEATMAKER/PRODUCER。
ハードコアバンドのギタリストとして音楽キャリアをスタートし様々なバンドで活動しつつ
2020年のコロナ禍を受けて自分一人で完結できる音楽を追求するべく本格的にビートメイクを活発化。
DRILL/TRAP等を中心に現行の音楽を更に独自の解釈で攻撃力高めに仕上げる。
自らの音楽スタイルを「魔ミュージック」と提唱し、MadでDopeなサウンドにロマンティックな旋律や展開を見せる世界観は唯一無二。

RELEASE INFORMATION

LET THE DOG IN THE HOUSE, LET THE HUMAN DIE OUTSIDE

META FLOWER、KMCへの楽曲提供でも知られるIRONSTONEの1stアルバムから、BDRが客演する「WTT」のMVが公開 music220415-ironstone-2

1. INTRO -Let The Dog In The House, Let The Human Die Outside-
2. WTT(feat. BDR)
3. INSIDE OUT(feat. 東金B¥PASS)
4. ∞(feat. AIWABEATZ)
5. XXX呼んでDRILL -MaL’s Masking Dub-(feat. KMC)
6. HYPER BURN(feat. 愛染 eyezen)
7. Super Shining Stone(feat. Eclipse Sound System)
8. anmo(feat. RHYDA)
9. OUTRO -DOG RUN-
10. CURSE(feat. CHEN THE PHARAOH)

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