2.ナマ音回帰の2nd『アザーネス』の世界観にじっくり浸れるのは、単独ライヴだけ
カインドネスの2ndアルバム『アザーネス』(14年)は、エンジニアにブルー・メイ、ミキサーに大御所ジミー・ダグラスを起用。“ポスト・アリーヤ”とも称されるケレラや、故エイミー・ワインハウスのバック・コーラス経験がある男性シンガーのアデ、スウェーデンの歌姫ロビン、ガーナ人ラッパーのマニフェストといった多彩なコラボレーターを招きながら、徹底してリアルなソングライティングとスタジオ・ワークにこだわり、EDMとは逆行するメロウなサウンドで心身ともに解きほぐされるような傑作でした(“I’ll Be Back”は昨年屈指の名曲!)。これはぜひ、夏フェスの短いセットではなく単独ライヴで、じっくりアルバムの世界観に浸りたいところ。
『アザーネス』ジャケット
そして、ブラッド・オレンジことデヴ・ハインズはアダムとマブダチ関係。今作にデヴが参加しているのはもちろん、アダムもブラッド・オレンジの名盤『キューピッド・デラックス』(13年)に客演、さらに昨年の<コーチェラ・フェスティバル>にブラッド・オレンジが出演した際はバック・シンガーも務めるなど相思相愛のようです。常に“ナマ音”と“ライヴ感”に重きを置くアダム=カインドネスのパフォーマンスが、残念な内容になることは99.9%ありえないのです。
Blood Orange – “Uncle ACE”(Kindness remix feat. Robert Owen)
3.台車を超える伝説なるか!? 予測不可能&抱腹絶倒のパフォーマンス
カインドネスが初めて日本の地を踏んだのは、3年前の<サマーソニック2012>でした。午前中の「SONIC STAGE」出演とややハンデのある時間帯ではありましたが、2名の女性コーラスを迎えた熱くソウルフルなコーラス・ワークと、鉄壁のバンド・アンサンブルは言わずもがな、何と言っても衝撃的だったのがアダム本人のキャラクター。パイナップル柄のシャツをラフに着こなしヘンテコなステップを踏んだり、一心不乱にタンバリンを叩いたり、果てはステージ袖にあった台車に乗ってスケボー(!?)してみたり、とにかくやりたい放題。デビュー・アルバム『World, You Need a Change of Mind』(12年)のモノクロのジャケ写からも、ナイーヴで暗い青年……というイメージをほどんどのオーディエンスが持っていたため、その3枚目キャラにフロアは騒然、笑顔と歓声とハンドクラップの絶えない実に楽しいパフォーマンスは、のっけから「今日のベスト・アクト!」との声が数多く挙がったほど。
先述の通り、今回のアルバム『アザーネス』はすごくメロウな作品で、アッパーなパーティー・チューンは皆無です。しかし<サマソニ>でも我々の予想の斜め上を行くトンデモなステージングを見せてくれた彼だけに、油断は禁物。2枚の傑作アルバムと精力的な課外活動を経て、現時点での“ベスト・オブ・カインドネス”とも言うべき最THE高なライヴを見せてくれるに違いありません。
Kindness – “World Restart”(Live at The FADER FORT)
(text by UK)
Event Information
カインドネス 来日公演
2015.03.26(木)@渋谷クラブクアトロ
OPEN 18:30/START 19:30
ADV ¥6,000(1ドリンク別)
TICKET:チケットぴあ(Pコード:254-333)、ローチケ(Lコード:78932)、イープラス
Release Information
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