タリン・ブラックナイト映画祭最優秀音楽賞受賞！『コントラ』の劇伴担当・香田悠真を紐解く

国内外数々の映画祭で高評価を獲得した、アンシュル・チョウハン監督（A Kowatanda Films Production制作）の映画『コントラ』が2021年3月20日（土）より絶賛公開中となっている。音楽家・香田悠真が手掛けた本作のサウンドトラックが5月6日（木）より、各音楽配信ストアにて配信となった。

本作の劇伴を務めた香田悠真の代表的な作品を振り返りながら、映画の魅力に迫る。また、本作に寄せられた映画界の著名人・スタッフからのコメントもご紹介。

気鋭の音楽家・香田悠真が担当

本作の音楽を担当した香田悠真は映画音楽をはじめ、フジテレビ系列ドラマ『ペンション・恋は桃色』で細野晴臣との共作による音楽担当や、NOT WONKやJulia Shortreed（Black Boboi）らのアルバムへの参加など幅広い活躍をみせる注目の音楽家だ。6月30日（⽔）発売の安部勇磨（never young beach）のソロアルバム『Fantasia』へキーボードでの参加も果たしており、横断的に活動し続けている。

ファッションショーの音楽監督も務め、2017年よりファッションブランドHYKEの作曲を同ブランドのデザイナー・吉原秀明、「bonjour records」のチーフバイヤー・上村 真俊とのユニット・UYK名義で手掛けている。2018年には、「2016F/W～2018S/Sシーズン」のインスタレーションで使用された音源を収録したファーストアルバム『#1』をリリース。ピアノや絃楽器、フィールドレコーディングでの自然音やインダストリアルな音素材などそれぞれを緻密に構成し、ブランドの世界観を拡張する表現を魅せた。

HYKE 2020 S/S Collection | Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S

2019年にはNIKEの広告映像や、舐達麻などのMVを手掛ける木村太一が映像監督を務めた「FEARLESS FACETASM x AIR JORDAN」で音楽担当したことも話題に。KOHHやモデルでありバスケット選手のUTA、太田莉菜らが登場したビデオを重厚な音楽で演出し、ショートビデオながら見応えある表現を披露した。

FEARLESS FACETASM

国内外の映画祭で受賞！『コントラ』のサウンドトラックが配信

香田悠真が音楽を担当した映画『コントラ』は＜ジャパン・カッツ2020＞、＜大阪アジアン映画祭2020＞、など、国内外の映画祭で高く評価された話題のモノクロ映画作品だ。＜タリン・ブラックナイト映画祭＞では、グランプリと最優秀音楽賞をW受賞。映画の重要な役割となった音楽が高く評価され、より一層本作の注目を集めた。今回サウンドトラックの配信スタートと同時に、アンシュルが監督したサウンドトラック用ミュージックビデオ’Reverse Rivers‘も公開。本作の壮大な音楽とモノクロの映像から独特な世界観が感じられる。サウンドトラック特典の“Reverse Rivers – Recomposed”を含む全11曲が収録されたサウンドトラックをぜひご一聴あれ。

Yuma Koda – ‘Reverse Rivers’ from KONTORA 『コントラ』Soundtrack

STORY

高校生のソラ（円井わん）は、父親（山田太一）と二人暮らしだが、その関係は冷え切っている。ある日、ソラは急死した祖父が第二次世界大戦時の日記の中に遺していた、記号化された宝の存在を知ることとなる。彼女が密かに宝の捜索を試み始めたとき、突然無言で後ろ歩きをする男（間瀬英正）と遭遇する。ソラの身に、ほぼ同時に起こった二つの事象。それは果たして何かの啓示なのか？　

行定勲（映画監督）
途轍もなくインパクトのある映画だった。殺気だった少女の不可解な心の移り変わりに翻弄されながら、最後まで見た。息苦しさを緩和し幻惑する音楽に誘われる予測不能な物語。

伊藤沙莉（俳優）
この愛おしさにもあの辛さにも合間に挟まる可笑しさにだって説明がつかない。言葉にならない。日常が一転し、非日常となれば良くも悪くもいつしかそれが日常になる。大切に、大切に、生きようと思った。

マイクニューエル（映画監督「ハリーポッターと炎のゴブレット」）
幾重にも折り重なった素晴らしい物語構成と真の映画体験。

香田悠真（本作作曲）
映画が求めている音は、いろんな所にその兆しがあり脚本の中にも、役者さんの微細な表情にも、鳥の鳴き声にも、世の中の移り変わりにも。そういったイメージの河の中から、映像のほんとうの姿を見つけ出すのが、映画音楽の役目だと思います。僕が二年前、このユニークな映画の中に一生懸命に探した音です。

アンシュル・チョウハン（本作監督）
『コントラ』を監督し、初めて一緒になった作曲家が香田悠真さんだったことは、この上ない喜びでした。他とは違う視点を持つ香田さんは、何か新しい風を吹き込んでくれるはずと当初から確信していました。彼が作曲した音楽はシンプルでいて壮大で、脚本の小さなニュアンスさえも捉えることで作品の魅力を高めてくださいました。完成された音楽を作り上げる香田さんは、貴重な存在であると共に、今後注目するべきアーティストです。

半野喜弘（音楽家・映画監督）
香田悠真さんに会ったのは、彼が10代半ばの頃だったと記憶している。それから長い時間が流れた。今、彼は素晴らしい音楽を携えて、音楽家として僕の前に立っている。その音楽は、爆発しそうな情熱と張り詰めたロマンチシズムに溢れ、その叙情性は世界を包み込もうとしている。香田悠真の音楽はこの映画に新鮮な驚きと深遠さを与えた。

リチャード・ハーヴェイ （タリン・ブラックナイト映画祭 審査員・作曲家）
香田悠真は極めて厳格で現代的なオーケストラ編成の能力を持ち、映画全体に継続的な緊張状態と過去への回帰をもたらした。

アニメーターの経歴を持つインド出身のアンシュル・チョウハン監督が描く世界観、美しいモノクロの映像、そしてそれにリンクする音楽も本作の大きな魅力。壮大な音楽とともに展開していく映画『コントラ』をぜひ劇場でご覧いただきたい。

「コントラ KONTORA」本予告