だが、この熱気がここで終わるはずはなく、お待ちかねのアンコールへ突入。目の前で不気味な列車が動き出すかのような“幽霊列車”、既に定番曲となった感のあるド迫力の“地獄の球宴”が立て続けに披露され、観客は狂喜乱舞。ダークで幻想的な歌詞と病みつきになるへヴィネスが同居する人間椅子のサウンドは、今宵も酔い心地抜群だ。
二度目のアンコールに応えて再登場する彼ら。ここで和嶋の口から嬉しいニュースが伝えられる。「5月に我々はロシアに行ってまいります! モスクワで行われる<RAMF 2016>という、アジアのアーティストを呼んで異文化交流をするというイベントです!」人間椅子初の海外公演の報せを聞き、喜びに浸るオーディエンス。さらに、6月末から7月初めにかけて夏のツアーを開催することが発表され、観客は夢心地に。最後の一曲“どっとはらい”のグルーヴを満喫するうちに、時計は午後7時半近くを指していた。人間椅子の奥深い世界を知る、贅沢な追加公演。彼らの今後の活躍が楽しみでならない。
尚、この夜のライヴ中に発表された彼らにとって初の海外公演となるロシアでのイベントおよび夏のワンマンツアー<地獄の道化師>について、終演後、各メンバーに意気込みを語ってもらった。
和嶋慎治「海外にはいつか行ける機会があればと思っていました。洋楽に目覚めて洋楽に日本語を乗せるというスタイルでやってきたので、ようやく夢が実現してきました! 最初にロシアというのも、鈴木君がロシア語を勉強していた縁もあって、運命的な感じがします。ほぼ僕らのことを知らない方々の前でやるので、ベストを尽くします。“日本人がロックをやる”という誇りを持って、元気よくやりたいです! ロシアに行くことによって、僕たちなりの手応えをつかんで帰ってくると思うので、そのお土産という感じで皆さんに夏のツアーを見せられればと思います。今回の夏のツアーはアルバムリリースのツアーではないので、今までの曲の中からやりたい曲を選りすぐってやっていきます。自分たちはトリックスターだと思っているので、そのことを<地獄の道化師>というツアータイトルに表してみました。よろしくお願いします!」
鈴木研一「ロシア語会話の本を買って、MCは全部ロシア語でいきます! 夏のツアータイトルは<地獄の道化師>。その名にふさわしい気持ち悪い曲をガンガンやっていきたいと思います!」
ナカジマノブ「ロシアは人間椅子として初の海外公演ということもあって、“日本”を打ち出してアピールできればと思います! 今年は精力的に動ける人間椅子を見せたいので、ライヴの数でもアピールしたいと思っています。他の50歳には絶対負けないところを見せます! 夏のツアーでは特にお客さんを楽しませたいです!セットリストは絶対に凄くイイはず! お見逃しなく!」
セットリスト
1. 菊花の数え唄
2. 狼の黄昏
3. 狂ひ咲き
4. 地獄の料理人
5. 芋虫
6. 胡蝶蘭
7. 恐怖の大王
8. 芳一受難
9. 泥の雨
10. 黄泉がえりの街
11. 深淵
12. 超能力があったなら
13. 膿物語
14. 雪女
15. 針の山
EN-1
16. 幽霊列車
17. 地獄の球宴
EN-2
18. どっとはらい
EVENT INFORMATION
RAMF 2016
2016.05.12(木)、05.14(土)
State Central Concert Hall Rossiya
人間椅子ワンマンツアー『地獄の道化師』
2016.06.29(水)長野 Club JUNK BOX
2016.07.01(金)新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
2016.07.03(日)高松 Olive Hall
2016.07.05(火)名古屋 Electric Lady Land
2016.07.08(金)大阪 味園ユニバース
2016.07.10(日)新宿 ReNY
edit by Qetic
text by 志村つくね
photo by ほりたよしか