収録直後の松浦俊夫氏にインタビューを実施
––––レコーディングお疲れ様でした。早速なのですが、今まさにBBCスタジオでのレコーディングを終えたところですが、今日の感想を率直にお聞かせ頂けますか？
毎回素晴らしいアーティストが出演するこのような番組で、日本から来た我々をフィーチャーしてもらえるというのは非常に光栄なことだなと思っています。まずはそれが一番ですね。そういった環境の中で、ミュージシャンたちも楽しくプレイできていたことは非常に貴重な経験になったなと感じています。
––––今日の演奏自体はどうでしたか？ いつも通りだったとか、いつもとは違う雰囲気だったとか
こういった形で演奏したこと自体が初めてというか、そもそもレコーディングとライブ以外ではプレイしたことがなかったので、凄く新鮮でしたね。人前で演奏する場合はもう少し「ノッてもらう」ということを意識してやるんですが、今日に関しては「聴いてもらう」というところに重点を置いてやりました。「いかにリスナーに届けられるか」ということに集中して、結果としていいモノに仕上がったと思います。
––––このような歴史のある場所でレコーディングするプレッシャーみたいなモノはありましたか？
個人的には「気負い」みたいなものはなかったですね。前のグループにいた頃にアビーロードスタジオで録音したこともあったんですが、自分がプレーヤーではないということもありますが、「ひとつの歴史のあるスタジオ」という意識で、いつも通り存分に楽しめたかなと思います。
––––レコーディングの雰囲気を見させてもらったのですが、メンバーの皆さんもリラックスされているように感じました。個人的にはバンドの充実感みたいなものが伝わってきたのですが。
そうですね。プレイのときはみんな気合いが入っていましたが、それ以外のところのギャップが大きくて、凄くみんな楽しそうにしていたのが、個人的にも凄く印象的でした。いい状態でここまで来られているなと感じていますね。そういったところも含めて、リスナーの皆さんには楽しみにしていて欲しいかなと。
エストニア Muhu Future Music Festival – Juu Jääb (6/28)
––––それでは次に現在回られているヨーロッパツアーに関してお聞かせください
初めて東京から出てやるということで、凄く意義のあるツアーになっていると思います。残念ながら、ロンドン公演は中止になってしまったんですが、仕切り直して、ロンドンにはまた戻ってきたいですね。あとフランスが1公演残っている（※1）のですが、アルバムを作っていた頃からちょうど今が一年という時期ということもあるので、これまでの集大成として、いい締めくくりにしたいですね。ツアーの最後が一番の勝負所だと思うので、これまでのツアーでやってきたことをおさらいして、微調整して、最後しっかりとアウトプットしたいと思っています。
※1：今回にヨーロッパツアーでは、モンテネグロ、エストニア、フランスで3つのフェスに出演
––––これまでのツアーでのオーディエンスの反応はどんな感じでしたか？
曲を知っている、知らないに関わらず、自分たちが刺激を受けたものに対してストレートに反応するのが海外のオーディエンスという印象ですね。そういった反応っていうのがミュージシャンの醍醐味だったりもするので、自分たちがこれまでやってきたことが、そういった形で返ってきたことはとても嬉しいことでしたね。
南仏Gilles Peterson’s WORLDWIDE Festival (7/3)
––––あと今回のツアーで、色々とトラブルに巻き込まれたとお聞きしたのですが
そうですね。行きのフライトがいきなりキャンセルになって、それから手荷物の遅延があって……災難続きで過酷な日程でしたけど、その中でメンバーが持っている力を最大限に発揮してくれたと思いますし、普段こうやってずっと一緒にいるようなことはないので、このツアーで確実に絆が深まったと言えますね。
––––では最後に、今後のHEXの活動について教えてください。
今後も東京以外で自分たちの音を届けていきたいと思っています。他にも自分たちの作品以外のところで何かに参加するみたいなことにも挑戦してみたいですね。
ジャイルス・ピーターソンもライブに登場！
(Photo by みどりん(SOIL&”PIMP”SESSIONS))
––––他の海外フェスや日本のフェスからもこれから声がかかることも増えると思うのですが
あまりジャンルで括られないところにもっと出ていきたいなと。クラブというジャンル以外のジャズフェスやロックフェスみたいなところで勝負してみたいと思っています。〈ブルーノート〉から出ていることやジャズという括りで紹介されることが多いのですが、ジャンル的なこだわりはメンバーのみんなもあまり考えていなくて、プレイする中でそれぞれができることをやるっていうだけなので。ただそれぞれのミュージシャンが多忙なので、それを調整するのが大変ですね。みんながそれぞれの活動で、同じフェスに出ていたら楽なんですが。でも頑張ってみようと思います。もちろん日本のフェスにもこれからは積極的にアプローチしていきたいと考えているので、楽しみにしていてください。ひとまず今日の音源をお楽しみください。
––––楽しみにしています。本日はありがとうございました
interview ＆ text by Shotaro Tsuda
