昨年は、ライドとスロウダイヴが揃ってニューアルバムをリリースしたり、シューゲイザーの元祖と言われるジーザス&メリーチェインが新作発表&来日公演を行なったり、久しぶりに「シューゲイザーの当たり年」といえる1年でした。
年が明けてからも、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが旧作をアナログ・リマスターで再発させたかと思いきや、<ソニックマニア>への出演も発表。待望の新作リリースも控えているというのだから、この何度目かのシューゲイザー旋風は、まだまだ続きそうです。
そこで今回、シューゲイザーをテーマにプレイリストを作成。海外のバンドから5曲、日本のバンドから5曲。「オススメのシチュエーション」も考えてみたので、それぞれ気分に合わせて聴いてみてください。
黒田隆憲:シチュエーション別のお勧めシューゲイザー10選
#1. My Bloody Valentine – You Made Me Realise(Remastered Version)
「シューゲイザー」がテーマということで、トップバッターはやはりこのバンド。今年の<ソニックマニア>も決まった、アイルランドはダブリン出身の男女4人組によるCreation移籍第一弾シングル。つんのめるようなギターリフと、機関銃のようなドラム、そして美しくも気だるい男女混成ヴォーカル。「シューゲイザー」の雛形となった曲の一つですが、何と言っても中盤のブレイクが圧巻。ライヴではここを、20分くらい引き伸ばし怒涛のカオスへと聴き手を誘います。何かモヤモヤした気分を抱えているときは、この曲を爆音で聴いて頭の中をリセットしましょう。
My Bloody Valentine – You Made Me Realise(Remastered Version)
#2. Ride – Leave Them All Behind
のちにオアシス〜ビーディ・アイのメンバーとなるアンディ・ベルと、マーク・ガードナー率いる4人組バンドによる、傑作セカンド・アルバム『Going Blank Again』の冒頭を飾るヘヴィサイケ・ナンバー。ザ・フーの“Baba O’Riley”を彷彿とさせるシンセ・フレーズに導かれ、うねるようなベースラインをかき消すようにディストーション・ギターが雪崩れ込んだ瞬間、アタマのネジが吹っ飛ぶこと間違いなし。曲が始まって2分を過ぎるまでメロディが登場しないという焦らしプレイもたまりません。『知覚の扉』を開けて“向こうの世界”を覗きたい時は、この曲をお供に。
#3. Slowdive – Alison
マイブラ、ライドときたら、このバンドを挙げないわけにはいきません。上記のバンドとともに「シューゲイザー御三家」と言われたスロウダイヴは、その名の通りゆっくりと奈落の底へ落ちていくような、耽美なギターサウンドが特徴です。この曲は、ブライアン・イーノがキーボードで参加し話題となったセカンド・アルバム『Souvlaki』の冒頭曲。バンドの頭脳ニール・ハルステッドと、紅一点レイチェル・ゴスウェルの歌声が、轟音の中で溶け合う音像はまるで桃源郷。小春日和の日曜の午後、カモミールティーを飲みながらまったりと聴きたい曲です。
#4. For Tracy Hyde – Echo Park
シューゲイザー・アイドル………に楽曲を提供するなど、活動の幅を広げる夏bot(ギター)率いる男女5人組。シューゲイザーのみならず、ギターポップやネオアコ、チルウェイブ、さらにはJポップ的な要素も取り入れたサウンドが特徴で、eurekaのキュートなヴォーカルがほろ苦い青春時代を思い出させて胸キュンが止まりません! この曲は、彼らがアー写でもオマージュしたプリファブ・スプラウトを彷彿させるところもあって、個人的にフェイヴァリット。たまには過去を振り返って感傷的な気分になりたい、そんな時にうってつけの曲です。
#5. RINGO DEATHSTARR – Guilt
テキサス州オースティン出身の3人組。2000年以降の新世代シューゲイザーの中でも特に人気が高い彼ら。その理由はもちろん、アレックス嬢(ベース)のモデルばりの美しさによるところも大きいのですが、シューゲイザーやヒップホップ、パンクに影響を受けたエリオットの書くとびきりポップなメロディと、メンバー3人の天真爛漫で愛すべきキャラクターも欠かすことのできない魅力です。この曲は、コクトー・ツインズやラッシュを思わせる耽美系ギターと疾走感溢れるリズムが特徴で、彼らにとっても新機軸といえるでしょう。ドライブしながら聴きたい一曲。