80年代から90年代にかけてイギリスで生まれたノイズの効いたギターが特徴的な音楽、シューゲイザー。シューゲイザーの由来は、ライブでステージの床に貼り付けた歌詞カードを見ながら歌唱・演奏していたことからその名前がつけられたと言われている。そのシューゲイザーのプレイリストを作成するにあたり、無視することのできない影響を与えたバンドを紹介する。

シューゲイザーを語る上で外せないバンド5選

To Here Knows When/マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン

シューゲイザーのプレイリストを作成する上で、外すわけにはいかないのがこのバンド。80年代半ばにアイルランドはダブリンにて結成され、何度かのメンバーチェンジを経て男2女2の男女混成バンドになり、のちにオアシスなどを見出したUKインディの代表的なレーベル〈Creation〉に移籍すると、これまでのガレージバンク然としたスタイルから一転、暴力的なギター・ノイズとポップなメロディを融合させた革新的なサウンドを奏でてシーンを激震させる。彼らに影響を受け登場したライドやラッシュらと共に、シューゲイザーと言われたその音楽性は、彼らが91年にリリースしたセカンド・アルバム『Loveless』が一つの到達点となった。

この曲(先行EP『Tremolo』リード曲)は、その中でも典型的なシューゲイズ・サウンド。甘く儚いメロディと、それをかき消すようなノイジーかつアンビエントなギター。全てが絶妙なバランスで成立し、少しでも崩れれば楽曲そのものが破綻してしまうようなサウンドスケープは、バンドの頭脳であるケヴィン・シールズ(Vo、Gt)がほぼ1人で作り上げたもの。その後のギターバンドに計り知れないほどの影響を与え、数々のフォロワーを生み出したのはご存知のとおり。

Star Roving/スロウダイヴ

学校のクラスメートだったニール・ハルステッド(Vo、Gt)とレイチェル・ゴスウェル(Vo、Gt)を中心に、英国はレディングにて結成された4人組。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(以下、マイブラ)と同じく〈Creation〉よりファースト・シングル「Slowdive」をリリースすると、その幻想的なアートワークとサウンドスケープによりたちまち話題となる。バンド名の通り、奈落の底へとゆっくり落ちていくようなギター・サウンドと、レイチェルとニールの男女混成ヴォーカルはまさにシューゲイザーを象徴するもの。マイブラと、オックスフォード出身の若き4人組ライドと共に「シューゲイザー御三家」と呼ばれて人気を博した。

この曲は、彼らが95年に解散し、それから実に19年の歳月を経て再結成を果たし作り上げたアルバム『Slowdive』収録曲。疾走するリズム隊と、うねるように交じり合いながら分厚い壁を作っていくギター&シンセ、そして白昼夢のようなメロディの融合は、まさしくシューゲイザーと呼べるサウンドスケープ。ちなみに、彼らのトリビュート・アルバム『Blue Skied an’ Clear』がドイツのレーベル〈Morr〉から2002年にリリースされ、それが近年の【シューゲイザー再評価】に大きく貢献したことも明記しておきたい。

Horror Head/カーヴ

dヒッツURL:https://selection.music.dmkt-sp.jp/music/1008235813

80年代に「Sweet Dreams」などのヒットを飛ばし人気を博したユニット、ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートを介して知り合った、ディーン・ガルシア(Gt)とトニ・ハリデイ(Vo)により結成されたのがカーヴである。ユーリズミックスのライヴ・サポートも務めていたディーンはマルチ・インスト奏者で、彼の作り出すユーリズミックス譲りのインダストリアルなトラックに、トニのカリスマティックなヴォーカルが乗ったサウンドは、当時隆盛を誇っていたシューゲイザー・シーンの中でも異彩を放っていた。

この曲は、彼らが1992年にリリースしたファースト・アルバム『Doppelgänger』収録曲で、ドスの効いた低音ヴォイスと天使のようなウィスパー・ヴォイスを巧みに使い分けるトニのヴォーカル表現力が全開。本作のプロデュースを務めているのは、マイブラの『Loveless』やライドのセカンド・アルバム『Going Blank Again』などを手がけたアラン・モウルダーだ。なお、カーヴは1996年に一度解散し、1996年に再結成を果たして『Gift』など良質のアルバムを作り上げたが、2005年にトニが脱退し空中分解。ディーンは愛娘のローズ・ベルリンと新ユニット、スペース・エコを結成しマイペースに活動を続けている。

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