Reiのバトンを受け取ったのは、昨年10月にメジャー・デビューを果たしたSANABAGUN.。彼らの辞書に「肩慣らし」なんて言葉は無く、新曲“板ガムーブメント”で幕を開けたライヴは、笑いと汗とグルーヴにまみれた地上最強のエンターテインメントだ。高岩遼(Vo)と岩間俊樹(MC)が「俺らがレペゼンゆとり教育」「平成生まれのヒップホップチーム」とお馴染みのフレーズを繰り出すと、またも新曲の“BED”を披露。艶のある高岩のヴォーカルには女性客もメロメロで、不穏なピアノ・リフが牽引する“デパ地下”、会場をダンスフロアへと変貌させた“居酒屋JAZZ”など、とにかくステージから放たれるエネルギー量が尋常じゃない。ゴキゲンなホーンが鳴り響くラストの“人間”では、コール&レスポンスもバッチリ決まり大団円。ワンマンかと見紛うフロアの加熱ぶりが、彼らの止まらぬ勢いを物語っていた。
そしてこの夜の大トリを飾ったのは、日本のサイケ/フォーク界の担い手となりつつあるnever young beach。トリとはいえ肩肘張らないスタンスが彼らの魅力だが、鈴木健人(Dr)がフライング気味にカウントを始めると、安部勇磨(Vo・G)が「おいおい、ちょっと待てよー(笑)。」と突っ込んでオーディエンスの爆笑を誘う。気を取り直して1曲目は“夏がそうさせた”。O-nestのフロアは、たちまちヤシの木が揺れる夏のビーチへと姿を変えていく。6月8日には待望の2ndアルバム『fam fam』をリリースするネバヤンだが、この日は新曲も大盤振る舞い。ビートの疾走感がサーフィンにも打って付な“MOTEL”や、リバーブの効いたヴォーカルとポジティヴな歌詞が印象的な“fam fam”など、前作以上にトリプル・ギターの奏でるリフやソロが強力になり、個人的にはストロークスからの影響を色濃く感じたりもした。思えばリハの際にテーム・インパラの楽曲をベースで爪弾いてみたり、入場曲がデヴェンドラ・バンハート(ネバヤンは6月に予定される彼の来日公演で京都公演のオープニング・アクトを務める)の“This is the way”だったりもしたので、音楽ファンのツボを突くメロディー作りが本当に上手いのだ。
アンコールの“お別れの歌”では、阿南智史(Gt)のギターの弦が外れてしまい演奏を2回もやり直すというハプニングが発生するも、「オマエ次できなかったらボウズだかんな!」と安部が茶化すシーンもあり、最後の最後までネバヤンらしい「ユルさ」がなぜか心地よいライヴだった。MCでも明かされたが、今後様々なコラボレーションを実現していくそうなので、引き続き彼らの一挙手一投足から目を離さないでほしい。
なお、このライブの模様は6月30日(木)23時からスペースシャワーTVにてオンエアされる。
SET LIST
Tempalay
1.Band The Flower
2.Oh.My.God!!
3.made in Japan
4.JOE
5.Festival
6.Have a nice days club
Rei
1.my mama
2.Black Cat
3.Long Way to Go
4.JUMP
5.Love Sick
6.OCD
7.BLACK BANANA
SANABAGUN.
1.板ガムーブメント
2.SANABAGUN. Theme(新Ver.)
3.BED
4.デパ地下
5.大渋滞
6.居酒屋JAZZ
7.人間
never young beach
1.夏がそうさせた
2.MOTEL
3.どんなかんじ?
4.あまり行かない喫茶店で
5.fam fam
6.明るい未来
7.どうでもいいけど
En.お別れの歌
Text by Kohei UENO
Photo by MASANORI FUJIKAWA