《何十年この先跨いで石橋叩き続けてきたんだ 1秒も無駄にしないように石橋叩き続けてたんだ》

これは昨年からSurvive Said The Prophet(以下、サバプロ)のライブの際、アンセムのように雄々しく気高く会場全体で大合唱されている“Bridges”という曲のワンフレーズだ。
ライブ時における同曲は、彼らのここまでの道程や積み上げてきた信憑性とどこか重なり、そこに集まった多くの者に更に強く生きていくためのバイタリティを与え、各位の明日へと向かう気概を鼓舞してきた。

 とは言え、彼らのその「積み上げてきた信憑性」は実に多彩だ。例えば、目指している約束の地への宣誓と、その実現に向けてのひた向きさ。国内での認知度のアップやライブハウスキッズのみならず幅広い層へのファンの拡大。アニメとのコラボレーションも含めた海外からのレシーブとアジアでの人気の増加。そしてワールドワイドな活動を視野に入れての全世界照準の音楽性……。それらが今、この1月15日にリリースされるニューアルバム『Inside Your Head』を通し昇華され、その先をも我々に魅せてくれようとしている。

楽曲のクオリティアップと、更なる完璧な歌の可視化に向けての自身の楽器以外への惜しみなき導入。ここ数作で出合い育んできたダイナミズム性や景色感や光景感の更なる明確化。彼らのライブの最も強靭な武器の一つとも言える呼応性たっぷりの雄々しいシンガロング部と気高いアンセム類の強化等々、彼らならではの音楽性への昇華や確立に向けての徹底さにも容赦がない、この『Inside Your Head』。今やサバプロの活動の視野は日本国内はもとより海外へも大きく目を見開いている。
今作の制作陣にしても、ミックスにはGodsmack(USのメタルバンド)やDance Gavin Dance(USのポスト・ハードコアバンド)、Set It Off(USのポップパンクバンド)等々を手掛けてきたエリック・ロンを起用。エモさやハードエッジ、ヘヴィさと歌の両立を成すにはドンピシャなエンジニアを迎え、彼らの楽曲が元々持っていてた深い哀しみや自問自答面をも更に奥行き深く際立っている。またエリックの手腕はミッドやスローなテンポで更に発揮されるのも特徴的。今作での以前に比べ増えたミッドテンポの曲群も、よりドラマティックさやメリハリ、コントラストやストーリー性がフックアップされているのも特筆すべき点だろう。

またその作品群における視野も決してライブハウスレベルに留まらず。アリーナや大会場、青天井や大型フェスのメインステージでのプレイ姿や会場の情景も聴き浮かんでくるものばかりだ。
個人的には前作アルバムや、会場限定シングルからの流れから、もう少し日本語楽曲が増えるとの予想もあったが、結果は2曲どまり。そこからは「日本のみならず海外をも」そして「洋邦問わずの音楽ファンへのコミット」とも察した。また、その日本語歌詞にしても更なる共有感と歌詞や歌に込められた意味や真意、願いや誓い等が尊く響くように感じられた。

楽曲タイアップから世界を跨ぐライブ活動

と、ここまでガーッと書いてきたが、「ところでサバプロってどんなバンド?」と思われた方にも、今一度ここで彼らを簡単に紹介したい。

 昨春『Honda「シャトル」」のテレビCMで頻繁に流れていた“Right and Left”で、耳馴染みの多い方も多いであろう彼らは、2011年結成のツインギターを擁したインターナショナルスクール出身のボーカルを含む5人組ロックバンド。メンバーは、Yosh(Vo)、Ivan(G.)、Tatsuya(G.)、Yudai(B.)、Show(Dr.)からなる。

その音楽性はメタルコアやポスト・ハードコア、スクリーモといったラウドロック類、はたまたエレクトロの要素やメローな音楽性、ソウルフルさやサーフロック等のスローミュージック性も交えたもの。数多の著名なロックフェスやイベント各種にも名を連ね、劇場版アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュⅢ 皇道』主題歌“NE:ONE“、TVアニメ『BANANA FISH』でのOP曲“found & lost”、第二クールED曲“RED”、TVアニメ『ヴィンランド・サガ』のOP曲“MUKANJYO”等にも起用され、ロックファンのみならず幅広い層に支持されている。また、綾野剛が「気になるミュージシャン」としてTVにて彼らの名前を挙げたり、SixTONESの森本慎太郎がラジオでレコメンドしたりと著名人のファンも多い。

 とはいえ、あくまでもライブ至上主義のこのサバプロ。ポスト・ハードコアに留まらず様々な音楽性を取り込む独自性と景色感や情景観溢れるそのサウンドと、まるでアンセムのようにみんなが一緒に声を合わせられるライブにて動員を伸ばし、2019年には3回に渡る全国ツアーを行い、中には超大バコスタンディング会場のZepp DiverCity(TOKYO)、新木場STUDIO COASTをも満杯にしてきた。また日本のみならず結成当初からアジア諸国でもライブを行っており、現在はアジア各国でも大盛況。昨秋には二度のUKツアーも実現させた。

最新アルバム『Inside Your Head』の全貌

そんな彼らの最新型を余すところなくパッケージしたのが、今作『Inside Your Head』だ。
“red”(「RED」)、“Mukanjyo”(「MUKANJYO」)のシングル曲に加え、会場限定発売計5曲も全てリアレンジ&リテイク。“3 A.M.”(「3 a.m.」)では彼らと交流の深い劇伴作家・澤野弘之によるストリングスアレンジとピアノが、“Never; Saying Never”では昨年度の47都道府県ツアーを共に回ったNewspeakのReiのコーラスも楽しめる。他、“Heroine”“Bridges”“Last Dance Lullaby”も数々のライブを経て育まれたストロングポイントがより活かされたアレンジにて再集録されている。
ジャケットデザインはIvan(G.)が手がけ、最新のアーティスト写真は写真家アンディ・フォードが撮影。彼らのジャケットは毎度抽象性が高く深読みさせるものばかりなのだが、今作は最も抽象性や現代美術性が高く、これまで以上に聴く楽曲やシチュエーションや姿勢毎に様々な解釈や意味を帯びていきそうだ。

今作は特に「普段洋楽しか聴かない!!」なんて方にも是非とも聴いてもらいたい。たぶん何も予備知識もなく今作に触れたら、まず日本のアーティストだと判別できないだろう。現にHONDAのCMで流れていた際には洋楽ファンも気に入り、調べると日本のバンドであったとの逸話もあるほど。しかも彼らはライヴハウス出自ながらそのテリトリーだけに留まっていない。音楽性的に妥協や迎合していないにも関わらず、その音楽性はけっして難しくは響かず、最新の音楽性を作品毎に取り入れ、進化しつつも逆にその音楽性は分かりやすく伝わりやすいものへと変化していたりもする。

『Inside Your Head』レビュー

ここからはアルバム全曲の私なりの『Inside Your Head』のストーリーテリングへと移ろう。
神秘的な静寂の中から胎動へと誘われるようなエレクトロニカにウィスパー気味の歌声と心音にも似たキックとクラップとグリッチ音、そこから進むに連れ光に誘われ、やがて包まれ、逞しいアップライジングを魅せる「Inside」から、このアルバムへの『脳内放浪』は始まる。それをカットアップするようにヘヴィなギターリフが次の場所へと急き立てる。“Your Head”では、いきなり彼らの真骨頂のダイナミズムと雄々しいコーラスが眺めの良い場所へと引き連れてくれる。

そこを抜けるとメタリックな世界に行き当たる。アルバム中、最も様々な展開が入り乱れ、楽しめる“Calm:Unison”だ。ここではちょっと緊張感とスリリングさ、が故にそこを抜けた先に突如現れる視界良好なフィールドへの到着は格別だ。是非ラストに現れるコーラスと共に謳歌して欲しい。

ここからの2曲は日本語も交えた歌詞が耳を惹く。煌びやかで幻想的なリフと日本語混じりの英語詞が特徴的な“Mukanjyo”では、2コーラス目からいきなりグワッと高みへと引き上げてくれる。ここでは心の声とも言うべき中盤でのグロウルなシャウトのリレーションも耳を惹く。続いては、このアルバムのハイライトの一つとも言える冒頭の“Bridges”が現れる。みながコブシを掲げ、誇らしげに気高く、サビのフレーズを大合唱しているシーンが浮かんでくる同曲。メッセージ性溢れる分かりやすい日本語と共に多くの者の気持ちを軽くし、一緒に歌うことで自身のこれからを信じさせ鼓舞してくれる。

対して、続くは心を軽くしてくれる安堵感のある“Last Dance Lullaby”。ポップ且つグルーヴィーさの中、細かい音の丁寧さやこちらも一緒に合わせられるコーラスも特徴的だ。
ここからは哀愁さ溢れる、どこか映画の別れのシーンと回想録でも浮かんできそうな楽曲が続く。次曲のイントロ的な役割の“Hero”を挟み、“Heroine”ではダイナミズムと遊び心、それでいて切なさ帯びた歌声にどこか男の背中を感じさせ、“red”に於いては、ミディアムバラードにしてドラマティックさと雄々しいコーラス、それを切り裂く激情さ溢れるシャウトも印象深い。

ここまで重厚の曲が多かったが、この“Never; Saying Never”は隙間が少ないナンバー。それを埋めるかのような展開やドラムのスネアさばき、後半に向かうにつれ徐々にエモーショナルさも上がり、ラストはとてつもない広い大地へと着地させてくれる。

そして最終地点は安堵感を交えたアコースティックナンバー“3 A.M.”が。つま弾かれるアコースティックギターに絡みゆく感動的なストリングス。そこに感情移入たっぷりに乗るブルージーな歌声。ラストに向け生命力を多分に擁したバンドサウンドとストリングスとシンセが絡み会い、そこにコーラスも合わさり昇華を魅せてくれる。そして同曲のリプレイでノンサウンドで歌われる“03:01”が最後を締める。まさに脳内放浪感たっぷりな「いい旅」をしたかのような1枚であった。

そんなサバプロだが今作を携えた全国ツアーも決定している。<Inside Your Head Tour>と題され2月から23公演行われ、動員数的にはキャリア最大規模となる同ツアー。そこでは今作がどのような育まれ方をし、会場にどんな呼応やシンガロング、アンセムが起こるのか?今からとても楽しみだ。

この10年、石橋を叩いて渡り、ここまで至ったサバプロ。渡り切ったその向こうで待っている、その見たことのない景色は、きっとこの『脳内放浪』の終着地点であり、あなたにまた先程までとは違う軽い足取りや、明日へと立ち向かうバイタリティを与えてくれることだろう。

その最終地点に広がる、きっと素敵であろうその光景を、彼らの歌を一緒に大合唱しながら、是非ともあなたと共有したい。

RELEASE INFORMATION

New Album「Inside Your Head」

世界を虜にするSurvive Said The Prophetの最新アルバム『Inside Your Head』の全貌 music200114_survivesaidtheprophet_02-1920x1708

発売日:2020年1月15日(水)
初回生産限定盤:CD+DVD
SRCL-11380~11381 / \4,000+tax


■CD
1. Inside
2. Your Head
3. Calm:Unison
4. Mukanjyo
5. Bridges
6. Last Dance Lullaby
7. Hero
8. Heroine
9. red
10. Never; Saying Never
11. 3 A.M.
12. 03:01

■DVD ※初回生産限定盤のみ
s p a c e [ s ] TOUR 2019 at Mynavi BLITZ AKASAKA 2019.2.3
1.s p a c e [ s ]
2.T R A N S l a t e d
3.Fool’s gold
4.Right and Left
5.found & lost
6.NE:ONE
7.Follow
8.Ashes, Ashes
9.3 a.m.
10.s t i l l b e l i e v e
11.Network System
12.[ ]


CD購入者ライブ先行応募券封入
抽選受付期間:2020年1月14日(火) 12:00~2020年1月19日(日) 23:59

世界を虜にするSurvive Said The Prophetの最新アルバム『Inside Your Head』の全貌 music200114_survivesaidtheprophet_03

初回仕様限定/通常盤:CD only
SRCL-11382 / ¥2,500+tax


■CD
1. Inside
2. Your Head
3. Calm:Unison
4. Mukanjyo
5. Bridges
6. Last Dance Lullaby
7. Hero
8. Heroine
9. red
10. Never; Saying Never
11. 3 A.M.
12. 03:01

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EVENT INFORMATION

2月21日(金) 東京 恵比寿LIQUIDROOM
2月24日(月/祝) 北海道 釧路NAVANA STUDIO
2月26日(水) 北海道 札幌PENNY LANE24
2月28日(金) 北海道 旭川CASINO DRIVE
2月29日(土) 北海道 苫小牧ELLCUBE
3月01日(日) 北海道 函館 club COCOA
3月13日(金) 島根 出雲アポロ
3月15日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
3月21日(土) 新潟 新潟LOTS
3月22日(日) 富山 MAIRO
3月28日(土) 大阪 なんばHatch
3月29日(日) 香川 高松OLIVE HALL
4月11日(土) 山口 周南RISING HALL
4月12日(日) 広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
4月16日(木) 青森 Quarter
4月18日(土) 福島 郡山#9
4月19日(日) 宮城 仙台GIGS
5月10日(日) 鹿児島 SR-HALL
5月11日(月) 福岡 BEAT STATION
5月13日(水) 愛知 名古屋DIAMONDHALL
5月22日(金) 東京 新木場STUDIO COAST
5月23日(土) 東京 新木場STUDIO COAST
5月31日(日) 沖縄 桜坂セントラル
アルバム購入者チケット先行応募:2020年1月14日(火) 12:00~2020年1月19日(日) 23:59

EVENT

1月25日(土) NO MATTER LIVE@SENDAI PIT
2月02日(日) BLARE FEST.2020 @PORT MESSE NAGOYA
3月20日(土)KNOTFEST JAPAN 2020 DAY1 ROADSHOW @幕張メッセ
いつ解禁の記事かによってここからは変わります。
3月11日(水)MASTER PEACE’20 @仙台MACANA ※1月25日19時解禁
5月5日 (火) VIVA LA ROCK 2020 @さいたまスーパーアリーナ ※日割り1月17日12時解禁
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