1993年の『Thirteen』と(ブレンダン脱退)、翌年の初来日公演を挟んだ1995年の『Grand Prix』(元スープ・ドラゴンズのポール・クイン加入)は、折からのブリットポップ・ムーヴメントの煽りを受けたのか、さらにメロディはポップに、アレンジもザックリとしたシンプルな方向へとシフト。また、この時期からノーマン、ジェラルド、レイモンドがほぼ均等に楽曲を持ち寄るようになる。ビッグ・スターの“September Gurls”をフェイヴァリット・ソングに挙げるノーマンは、フォーキーでルーツ寄りの楽曲、甘い歌声がトレードマークのジェラルドはビートリーでスウィートな楽曲、そしてレイモンドはいつも、サイケでどこか掴みどころのない楽曲と、三者三様の作風が入り混じり、奥深くヴァラエティに富んだ作品へと進化していった。また、そうした楽曲に対する「職人的」とでもいうべき真摯な取り組みには、リアム・ギャラガーやカート・コバーンら同業者からも賞賛の声が上がり、「ミュージシャンズ・ミュージシャン」的な地位も確立していくのである。
Teenage Fanclub – Neil Jung
1997年には『Songs From Northern Britain』をリリース。ルーツ・ミュージックに向き合いレイドバックしたサウンドは、前作や前々作と比べると地味ながら味わい深いものがあり、ファンの間では評価の高いアルバムである。
Teenage Fanclub – Ain’t That Enough
〈Creation〉閉鎖に伴い、親会社の〈Columbia〉から『Howdy!』を2000年にリリースした後、同郷のシンガー・ソングライターであるジャド・フェア(ハーフ・ジャパニーズ)とのコラボレーション・アルバム『Words Of Wisdom And Hope』を経てバンドは自らのレーベル〈PeMa〉を立ち上げる。そこからのリリース第一弾となった2005年の『Man-Made』は、ジョン・マッケンタイア(トータス、ザ・シー・アンド・ケイク)がプロデュースを手がけたことでも話題に。レコーディングはジョンのプライヴェート・スタジオSoma Electronic Music Studiosで5週間にわたっておこなわれた。また、このアルバムから脱退したポールに代わってフランシス・マクドナルドが再加入し、現在の4人体制となる。
teenage fanclub – i need direction
2009年には<サマーソニック>に出演し、翌年には『Shadows』をリリース。またノーマンは、ユーロス・チャイルズ(ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキ)とのデュオ「ジョニー」名義でアルバム『Turnstile, Turnstile』を発表し、日本各地でツアーをおこなった。さらに2014年には「ジャド・フェア、テニスコーツ&ノーマン・ブレイク」名義で、2015年には「ジャド・フェア&ノーマン・ブレイク」名義でも作品を出すなど、課外活動も活発に行なっている。
Jad Fair, Tenniscoats and Norman Blake – I Have A Plan
アズティック・カメラやオレンジ・ジュースら〈Postcard Records〉勢をはじめ、パステルズやヴァセリンズらアノラック周辺、さらにはモグワイ、デルガドスら〈Chemical Underground〉、そしてトラヴィス、ベル・アンド・セバスチャン、フランツ・フェルディナンドなど、良質なバンドを数多く生み出してきたグラスゴー。そんな中でも、30年近く第一線で活躍し続けているTFCは特別な存在といえるだろう。偉ぶることも、着飾ることも一切なく、ただただ音楽を愛し続けてきた「永遠の学生バンド」。そんな姿が、いつまでも人々を魅了してやまないのだ。
Teenage Fanclub – Thin Air
RELEASE INFORMATION
ヒア
2016.09.09(金)
ティーンエイジ・ファンクラブ
¥2,490(+tax)
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