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yahyel、Ryu Matsuyama、The Josephs、ごく自然に世界のミュージックシーンと共振するアーティスト/バンドを紹介。

世界のミュージックシーンと共振する若手アーティスト

今や沖縄でアイスランドを思わせる透徹したサウンドスケープを描くアーティストがいてもなんらおかしくない時代である。インディーシーンの“シーン”も瓦解し、個々のバンド/アーティストが心の底から鳴らしたい音楽を鳴らし、同時にクリティも担保された楽曲が、今も刻々とサウンドクラウドやバンドキャンプにアップされていることだろう。それだけに熱心に自分の嗜好に沿って新しい音楽をリサーチし続けるリスナーと、ある一定のフェイバリットがあれば日常に支障をきたさないリスナーの音楽への接触率の差はますます広がっているのかもしれない。そこでコアすぎるものは一旦、横に置いておくとして、ごく自然に世界のミュージックシーンと共振するアーティスト/バンドを生活の中に取り込んでみるための提案をしてみよう。

まずは11月23日(水)にデビュー・アルバム『Flesh and Blood』をリリースし、今年最後の大きなバズを広く音楽ファンに引き起こしているyahyel(ヤイエル)。今夏の<フジロック>のルーキー・ア・ゴーゴーへの出演を契機に、ジェイムス・ブレイクやザ・エックス・エックス、FKAツイッグスらに通じるミニマムに削ぎ落としつつセンシュアルなサウンドが一気に洋楽・邦楽の垣根なく時代性を察知するリスナーにその名が浸透。サンプリング、シーケンス、そして最小限の研ぎ澄まされた生音を融合したライブも内外で高い評価を得て、結成1年以内でイギリス、フランス・ツアーを成功させた。そして、前述の<フジロック>では、前年のD.A.N.が一つのパラダイムシフトを起こしたのと同様、ロックバンドかクラブミュージックかという二元論を飛び越えたのと同質の新しい興奮を体感させてくれたのだ。そして、何と言ってもこれまでサウンドは世界と共振するクオリティにあっても、ヴォーカルに存在感を認められなかったバンド/アーティストに大きく水を開けるのが池貝の甘く危険な匂いすらある自在なヴォーカリゼーションだろう。匿名的なヴィジュアルで記号的にサウンドを侵食していくであろう、彼らの目論見は池貝の声によって存在が見えないまま中毒者を増やしていくはずだ。ちなみにアルバムのマスタリングはエイフェックス・ツインやアルカ、ジェイムス・ブレイク、フォー・テット、FKAツイッグスらを手がけるマット・コルトン。この事実も彼らの音楽性が世界と共振している裏付けの一つと言えるだろう。

yahyel – Once ()

ジャンルの壁も国籍も軽々と超境するアーティストで、さらに紹介したいのがピアノ・スリーピース・バンドのRyu Matsuyama。イタリアで生まれ、育ち、20年過ごしたというキーマンのRyuを中心に奔放に叩き出されるサウンドは、単にピアノロックとは呼べないエクスペリメンタルな側面を持った自由度の高いアンサンブルが魅力的だ。ドラマーはバークレー出身、ベースもジャズやファンクのプロフェッショナリズムに基づくプレイヤーからなるトリオで、しかもそのテクニックをRyuのメロディアスなピアノとどこまでも伸びていく歌のアレンジとして表現している点がインスト・ジャムバンドとは違う個性に結実している。そして彼らもyahyelとは音楽性は異なるものの、英語詞で歌われる高い表現力を持ったヴォーカルが印象に残るのだ。巧拙ではなく、ごく自然に放たれるヴォーカル、そこに昔のような「日本人離れした」という形容ほどお門違いなものはない。楽器やサンプリング、DTMのレベルで言えば、むしろ日本人は高いだろう。しかしここにきてヴォーカルという、その人にしかない個性でも日本人アーティストはハードルを飛び越えつつあるのではないか。

Run boy, run / Ryu Matsuyama

次ページ:The Josephsも抜きん出たヴォーカルが無二の魅力のバンドだ

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石角友香

石角友香

ライター

大阪府出身。関西版ぴあ編集部で音楽コーナーを担当したのち独立。関西発信の今や幻(?)の音楽/カルチャー誌「MaMAマガジン」編集長を経験。現在は東京在住。音楽ポータルを中心に主に日本のバンド/アーティストのインタビュー、ライブレポート、特集記事の編集・ライティングを行う。音楽以外にも著名人の仕事上の失敗談や仕事観を探る週刊企画の編集や、企業誌なども担当。また、「FUJIROCK EXPRESS」の速報レポートや会場レポートを届けるチームに’13年から参加。10数年 観客として参加していたFUJIROCKを違う角度で体験中。

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