『ポストJ-POP』っていう言い方は、僕は嫌い
——以前取材をさせてもらったときにも話してくれましたが、そもそもポップ・ミュージックというのは、誰かのパーソナルなものが多くの人に聴かれる可能性のある音楽ですしね。
僕らは新しいところに行かなきゃいけない。そのときに「ポストJ-POP」っていう言い方は、僕は嫌いで。でも、どうしたらいいのかはまだ分からなくて――。今回は、そういう「分からない」にちゃんと向き合おう、想像してみようというのが最大のテーマだったんですよ。僕らが今作ってるものって、たぶんもうJ-POPではないと思うんですよね。じゃあ、自分はどう消化するかを考えたときに、まずは「分からない」ことを真剣に考えようって。
——つまり『FANTASY CLUB』に詰まっている想像は、未来に向けての想像だと?
そうですね。だからこそ、今回のアルバムは、結局「わからない」アルバムなんですよ。もちろん、音楽を作るからには「わからない」を形にする必要があるわけですけど、そういう感情をそのまま出すのって、実はめちゃくちゃポジティブなことなんじゃないかなって。少なくとも、「この分からない時代を残す」というのは、きっと意味があることだと思うんです。だから今回は、「うーん、どうかなぁ!」という感じのアルバムになったというか(笑)。
——(笑)。今の時代に「分からない」と言うのは、すごく勇気がいることだと思います。
だから今回、“YUUKI”という曲が入っているというのもありますね。「勇気がないとできないぞ」って自分を鼓舞する部分もあったというか。でも、次にまた『POSITIVE』のようなことをやるためにも、僕にはこれが必要だったんですよ。やっぱり、ずっと音楽を続けるためにやっているんで。それに、メジャーでこういうアルバムを出す人って、今はなかなかいないですよね。でも、そういう人がいなくなってしまったら、自分としては聴いていてつまらない。自分が音楽を聴いてて「いいな」と思うのはやっぱりそういうものなんで、「その選択肢を作りたいなぁ」「『おっ、やってんな!』みたいな人が増えてほしいなぁ」って。今回は、(NHKの)『クラシカロイド』や『プレイステーション4』の仕事みたいに、思い切りJ-POPを書く仕事もあったんで、それもあって自分の作品に肩の力を抜いて取り組むことができたのかもしれないですね。それがすごくよかったと思いますし、こんな作品をメジャーで出せるということには、本当に感謝しかないです。これまでもそうでしたけど、今回も「これをやったらどうなるかな?」というテストでもあるんです。それでめちゃくちゃいいアルバムを、30歳や40歳になった頃に作れたら、それでいいなと思うんですよね。
tofubeats –“BABY”
tofubeats –“WHAT YOU GOT”
tofubeats『FANTASY CLUB』を構成する要素は何か?
インタビュー終わりに、本作を構成している要素を改めて円グラフで表現してもらいました!
今回の作品作りをした時に楽曲制作中の休み方を覚えたというtofuさん。曲を作ってからパンを買いに出かけて、曲を作ってからレンタカーに乗って、曲をつくってから散歩して……といった、今回の制作で行った息抜き方法で構成されているのが本作品とのこと。tofuさんの今がつまった新作『FANTASY CLUB』、めちゃくちゃ最高なので是非聴いてみてくださいね!
★現在Qeticで連動公開しているYAMAHA 音楽配信アプリ「mysound」にて、後日「FANTASY CLUBなプレイリスト」が公開予定! そちらもお楽しみに!!
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text & interview by杉山仁
photo by なかむらしんたろう