チェコ共和国<ROCK FOR PEOPLE>のパフォーマンスで幸先の良いスタートを切ったtricotは、次なる地ハンガリーのSopron(ショプロン)という町へ。次に出演する<VOLT FESTIVAL>は7月2日から7月6日の間、この町で開催されている。今年の目玉は何といってもArctic Monkeys。その他にもMGMT、Thirty Seconds To Mars、Hurts、Foalsなどと、ドメステックなアーティストや観客の多かった前日のチェコ<ROCK FOR PEOPLE>に比べると、より国際的に活躍しているアーティストが多くなっている印象だ。
Photo by Sandor-Csudai
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ショプロンはオーストリアに隣接する国境沿いの町で、国の首都でいうとハンガリーのブダペストより、オーストリアのウィーンのほうがはるかに近い。澄んだ黄緑色をそこいらにまきちらす丘や草原がこれでもかと続いていて、ランチボックス片手にピクニックしなきゃ何すんの、といわんばかりの立地に<VOLT FESTIVAL>の会場があった。そのような美しい自然があり、ちょうどオーストリアやその他西欧諸国の窓口ともなるハンガリー最西端の町におけるフェスということもあって、より国際色が強くなるのもうなずける。事実、国外から訪れる観客の割合は高いらしく(現地スタッフ曰く、感覚的に半分近くだそう)、隣接していないドイツ、ベルギー、イギリス、フィンランドなどからの参戦者も多いらしい。
会場を歩いてみてまず気づくのは、その彩り。そもそも回りを囲むのが美しい草木のグリーンであるが、加えて会場内にもちりばめられた鮮やかなイエロー、ピンク、ブルー、パープルといった原色たちが気分を高揚させる。チェコ<ROCK FOR PEOPLE>を親しみのある地域の楽しげなお祭り、と言うならば、こちらはリゾート気分に浸る若者たちの、洗練された非日常的パーティーといった感じ。
Photo by Sandor-Csudai
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ただ、やはり先日のレポートでも述べた通り、こちらのフェスでも音楽だけを楽しむために来ているという雰囲気ではないのはチェコと一緒。おまけにアトラクションが一層充実していた。リゾート気分らしく遊園地の本格的な乗り物がいくつもおいてあるわバンジーはあるわ、挙げ句の果てにメインステージのすぐ真っ隣にロッククライミングで上がっていく35メートルのタワーがあって、その頂上からロープで滑るスライダーもあるわで、主催者でさえ、音楽だけを躍起になって楽しむんじゃなくて、もっともっと単純に楽しい時間をこの地で過ごしてくれればいいんだよ、と言わんばかりの作りになっていた。
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Photo by MOHAI-BALAZS
ちなみに、非日常的なパーティーとは言ったが、それは決してダーティーな意味合いの含まれた、ハメを外すアブナイ乱痴気パーティーといった様相では決してなく、もっとクリーンなものだ。今年はグリーン・フェスティバル・プロジェクトという試みを初めて導入したらしい。来場者全員が強制的にゴミ袋を買わなければならず、そのゴミ袋に実際ゴミを入れて、フェス事務局に持って行くと、ゴミ袋購入代金を返してもらえ、加えてTシャツのディスカウント・チケットと優良Festival-Goer(フェスに行く人)の証がもらえるといったプロジェクト。このおかげで、会場はとても清潔に保たれたそうだ。実際、海外のフェスに持つイメージとは違って、クリーンだった。
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