以降、萬福寺のロケーションをおおいに活かしたステージを展開していく。“小野妹子”では、萬福寺の8人の僧侶がステージを練り歩き(コムアイ曰く「これも修行の一環です!」)、続く“雪国イエティ”ではドライアイスの入ったバケツを持ったイエティが登場。境内には巨大なピンクとオレンジの風船が投下され、オーディエンスの手によって頭上を舞い踊る。サナギの着包みを脱いで不死鳥に化け、神輿に乗って境内を周遊した“フェニックス”。MCでは「やることが多すぎて頭がパンクしてきた(笑)」と言いつつ、自身が表紙・巻頭を飾っている『ローリングストーン日本版』と、恋人との同棲生活をキャッチされ、そのついでに同誌の記者に中華料理を奢らせた『FRIDAY』をプロモーション。「すべて事実が書いてあります!」というひとことを添え、『FRIDAY』にサインを入れてオーディエンスにプレゼントする一幕はじつに痛快だった。
演出に関してコムアイは「ラストエンペラーのようにしたかった」と語っていた。楽曲の世界を立体的に表現するためにひっきりなしに用意された演出はコミカルなテイストのものも多かったが、本編ラストの“桃太郎”前に披露された“ユニコ”と“ツチノコ”の2曲は神秘的なムードを重んじていた。子守唄のように揺らめくメロディを心地よく広げた“ユニコ”。フューチャーハウスを彷彿させるトラックをバックに色っぽく歌声と身体を躍動させながら、MVの世界と連動して手に持った花束を松明で燃やした“ツチノコ”。クールな美麗さをたたえたコムアイのオーラは“ミューズ”と呼ぶにふさわしいものがあった。この2曲も収録されている最新作『UMA』は、メンバーであるケンモチヒデフミの他にフライング・ロータス主宰の〈ブレインフィーダー〉所属でありLAビートシーンの奇才、マシュー・デイヴィッドをはじめ海外のトラックメイカーが4組参加している。ルーティーンを拒み、破壊と創造を繰り返す水曜日のカンパネラの構造を明示する性格を『UMA』は持っている。水曜日のカンパネラのアートフォームとパブリックイメージはつねに更新されていく。そのダイナミズムこそが、水曜日のカンパネラの比類なきポップネスとなっていく。今後、水曜日のカンパネラは国内外問わずさらに広いフィールドに作品を届け、既成概念にとわられないステージでライブパフォーマンスを行うだろう。おそらくコムアイがイメージしているその規模と振り幅は、我々が脳裏に浮かべるそれよりはるかに大きい。
EVENT INFORMATION
au presents uP!!!NEXT~水曜日のカンパネラ FREE LAGOOOOOON!!!~
2016.09.16(金)
OPEN 18:30/START 19:30
お台場 潮風公園(太陽の広場・野外特設ステージ)
RELEASE INFORMATION
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text by 三宅正一
photo by 横山マサト