plan01_recruit_20181113b

水曜日のカンパネラ<未確認ツアー>ファイナル公演
2016.07.18(月)@京都・萬福寺

水曜日のカンパネラの顔であるコムアイというパフォーマー(彼女のことはこう呼ぶのが一番適切だと思う)は、ライブをする場所を選ばない。いや、水曜日のカンパネラとは、どんな場所でもライブができる存在でなければいけないとコムアイは確信している。テレビ露出なども含めて表舞台でパフォーマンスするのはコムアイひとりであり、ライブでは基本的に彼女が自らMacでオケを出す。生バンドではないから、サウンド面でのアドリブは利かない。だからこそ、彼女はコンテンポラリーなモーションを見せるダンスも含めて身体表現の向上に余念がない。あきらかに難解であり多様なビートをリラックスした様相の歌唱とフロウで自在に乗りこなすボーカルのスキルもじつにクオリティが高い(ボーカルに関してはもっと評価されてもいいポイントだと思う)。自由奔放かつ無軌道なようでいて、つねにオーディエンス目線で“突飛だけれどスベらない”エンターテイメント性を意識している演出のアイデアも湯水のごとく湧いてくる。水曜日のカンパネラをJ-POPの俎上に載せ、その構造の細部に目を凝らすと、聴覚的にも視覚的にもアバンギャルドに捉えられる意匠が施されていて、現にメジャーデビュー作となった『ジパング』以前は、トリックスターとしての立ち位置をどこか愉快犯的に満喫していたように思う。しかし、それだけでは飽き足らなかったのは他でもないコムアイであり、彼女は世間の耳目が集まるにつれ、積極的に水曜日のカンパネラをセルフプロデュースするようになった。それと同時に映像、写真、ファッションなどさまざまな分野で先鋭的なセンスを発揮し、同時代に生きるクリエイターたちと交わりながら、自分自身が確信犯的に革新的なポップアイコンになろうと決意した。それは彼女の自己顕示欲や私利私欲というよりも、サブもメインも超越するポップカルチャーの生命力をもって、閉塞し萎縮し続ける現代日本に風穴開けたいという純粋な思いが源泉となっているはずだ。

前段が長くなってしまったが、7月18日に京都・萬福寺にて開催された<未確認ツアー>のファイナル公演は、前述したような水曜日のカンパネラの指針がはっきりと伝わってくる内容だった。このツアーは、メジャー1st EP『UMA』のリリースを記念して行われたものだ。初日となった6月25日の東京・新木場 STUDIO COAST公演をはじめライブハウスを中心に回ったが、ツアー2日目の7月2日の福岡・嘉穂劇場は2000年に椎名林檎が使用して話題となった昭和6年(1931年)開業の歴史ある歌舞伎様式の劇場である。一方、ツアーファイナルに選ばれた萬福寺は、中国出身の隠元隆琦が開基となり寛文元年(1661年)に創建された、京都の寺院群でも珍しい中国様式の仏教寺院である。嘉穂劇場と萬福寺をツアーの会場に組み込んだのは、古き文化に宿る重厚さや異文化が融合した美しさが根付く舞台に立つことで、水曜日のカンパネラの表現性がより際立つという狙いがあったからだろう。

萬福寺の本堂に設置されたT字型の真っ赤なステージ。ステージ装飾もいたるところに中国様式を彷彿させる趣向が凝らされており、カラフルな布や提灯がステージと“フロア”となる境内を囲うように吊るされている。オーディエンスの数は約1500人。若年層を中心に親子連れが多いのも印象的だ。

開演予定時刻を20分ほど過ぎて、太鼓の音に続いて“ラー”のオケが鳴りライブの幕開けを告げたが、ステージにコムアイの姿がない。と、思ったところに境内の下手後方から、太鼓を乗せた可動式の櫓に乗ったコムアイと“カレーメシ2くん”(日清カレーメシ2のキャラクター)が現れる。櫓はコムアイの歌声に引き寄せられたオーディエンスとともにゆっくりとステージへ向かっていく。コムアイはラグジュアリーな白のノースリーブと赤と緑が左右にセパレートした中国柄を思わせるパンツをまとっている。

【ライブレポ】水曜日のカンパネラ、京都・萬福寺で見せた既成概念にとわられないライブパフォーマンス EF7Q1652

【ライブレポ】水曜日のカンパネラ、京都・萬福寺で見せた既成概念にとわられないライブパフォーマンス EF7Q2251-1

次ページ:おそらくコムアイがイメージしているその規模と振り幅は、我々が脳裏に浮かべるそれよりはるかに大きい

Qetic編集部

Qetic編集部

編集部

Published on

Last modified on