転換の際にMCをしたジャイルス・ピーターソンが、このフェスティバルでは恒例だという「出身国チェック」を実施。「スペインから来た人〜?」、「もしかしてオーストラリアから来ている人はいる?」、「アメリカは?」、「スウェーデンからはどう?」と観客に向かって尋ねると、「イエーイ!!」とところどころから歓声が上がった。「日本から来てる人〜?」と言われた際には筆者も元気に「ハーイ!」と返事をしてみたが、周囲に他に日本人は見当たらなかった。実際のところ、今回の<Japan Night>の出演者/関係者以外に、普通に遊びに来ていた日本人は長年の夢をやっと叶えて東京からやって来たという若い男性と、筆者がたまたま知り合いだった名古屋でDJをやっている男性カップルの計3名しか出会わなかった。当然ながらヨーロッパ諸国から集まっていたお客さんが多かったが、年令層もかなり幅広く、人種もいい混ざり具合だった。
ジャイルスにより、「僕個人にとっても最も頻繁に訪れている国のひとつで、常に刺激を与えてくれる大好きな国、日本の才能を紹介できる機会が持ててとても嬉しいです」と紹介され、日付が変わった頃に最初に登場したのがダイスケ・タナベさんとヨシ・ホリカワさんの二人。彼らは前の週の土曜日から現地入りし、フェスティバル開催地セットで行ったフィールド・レコーディング素材を使用して楽曲を制作するという特別任務を担っていた。
この曲はジャイルスの提案で、“Song for Rémy”と名付けられ、今年の5月に他界してしまった<Worldwide Festival>にも頻繁にゲスト出演しフランスのラジオ局Radio Novaで活躍していたDJ RKKことレミー・コルパ・コプール氏に捧げられた。ジャイルスによれば、「このフェスティバルのゴッドファーザーのような存在」という人物。タナベさんとホリカワさんは面識がなかったとのことだが、このフェスティバルのために楽曲が制作されたこと自体が初めてであり、しかも彼の愛したフェスティバル、その開催地の音を使って作られたこの曲はまさに彼を追悼するに相応しいとジャイルスが判断した。その想いを受けて、彼らは丸三日をかけて(フェスティバルの他のプログラムを体験する時間も削って!)現地で曲を完成させていたのだ。
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