Interview:XXX$$$
ーーまずはXXX$$$の始動までのいきさつと、ユニットのコンセプトを教えて下さい。
SARASA それぞれが個人のアーティストとして確立していたタイミングだったので、お互い何か新しい事をしたいと思い、世界へ発信する日本のグループとして活動を開始しました。XXX$$$では、2人居るからこそ表現できるプレイや、お客さんに旗を振ってもらったり叫んでもらうなど、フロア全体を巻き込んだエンターテイメントを自由に表現しています。
XLII XXX$$$の結成の瞬間ははっきりとは覚えていないのですが、SARASAとは数年前から気付いたら、色んな現場で会って遊ぶようになっていました。その頃からお互いのワークスを交換していて。僕はSARASAのMIX CD『Serchlight』シリーズがめっちゃツボでしたし、SARASAも僕の音楽をめっちゃ気に入って、現場で使ってくれたりしていたんです。2012年の夏、僕がヨーロッパツアーに行っているときにいきなりLINEで電話かかってきて、「シリー! 間違いないアイデアあるよ!」と、2人でユニット結成したらどんなメリットがあるかという話を1時間以上アツく語られて(笑)。それから1年ぐらいお互い忙しくて、結局すぐには始動できなかったんですが、2013年頃、「よし、この夏に向けて、動くか!」と準備や制作をはじめました。ずっとユニット名を考えていたのですが、2人の名前の頭文字である「X」と「S」を合わせて、「XXX$$$」というユニット名に。インパクト、綴りの見た目、意味の3つのちょうどいいバランスをとったんです。「$」は検索エンジンに引っかからないのでグループ名は検索しても出てこないですけど……(泣笑)。
ーーXXX$$$を立ち上げたことによって、個々の活動にはどのような影響がありましたか?
XLII お互いにとって、勉強になることが多いですね。僕の場合は10代の頃から制作にだけ集中していたので、配信やソーシャルネットワークに関しての考え方や、仕事の環境における自分の立場の守り方はすごく勉強になりました。それまでずっと一人で活動してきたので、自分の市場における価値はよく分からなかったのですが、XXX$$$を結成してからは自分の態度にも大事な変化がありました。お互いのファンやコネクションもXXX$$$を通して繋げることができているので、それぞれの世界観がスケールアップしたと思います。
SARASA 個人の活動にXXX$$$の活動が加わったので、スケジュールがさらに忙しくなりました。個人の活動に影響があったというよりは、人間的な影響が大きいと思います。というのも、今まではどんなシーンにおいても「個人プレイ」で、自己中心的な行動が多かったのですが、XLIIと一緒に密な時間を過ごすようになってからは、協調性やチームワークのクオリティーが上がったんです。ありがとう、シリー!
ーーXXX$$$になくてはならない要素はなんですか?
SARASA 3つあります。ひとつは、誰が自分の事をどう思うかとか気にせずに好きな事をすること。もうひとつは、誰がどこの人とか、誰が何をしている人だとか関係なく、皆が平等に楽しめること。そして、音楽に関してもオープンマインドでいること。
XLII 機材や道具も大事ですが、やっぱりXXX$$$には「エクセスマインド」が大事だと思います。XXX$$$を結成した時は、お互いのキャラがあまりにも違って笑うしかない状態でしたが、時間を経るにつれてお互いがうまく馴染んできています。2人ですけど、XXX$$$は1つなんですよね。SARASAの行動力、自分自身へのストイックさ、2人のフットワークの軽さ、そしてアイデアの嵐。楽しくて、新しくて、パワフルに生意気に自由に皆と違う事やることが「エクセーーース」、なんです。ということで、XXX$$$なくてはならない要素はエクセーーース! ですね(笑)。
ーー<ULTRA JAPAN>には2年連続の出演です。本イベントの特徴や長所を出演者の目線から教えて下さい。
SARASA お客さんの反応がとても素直でした。ステージからお客さんとの距離がかなりあったのに、自分たちのテンションがダイレクトに伝わっていたし、お客さんのエネルギーも私たちにガッツリ届いてさらに良いプレイができました。また、3日間で日本全国のさまざまなシーンや、世界中の人たちがぎゅっと集まってきて、みんなで1つになることができたと思います。今まで「音楽」での居場所を探していた人たちも、<ULTRA JAPAN>で新しい出会いを果たし、居場所を見つけた人がたくさんいたことだと思います。
XLII 個人的に強く感じた事は2つあります。1つはお客さんのパッションがすごすぎたということ。笑顔の日本人を見ると、毎年感動します。みんな幸せなんだ、と感じることができるんです。開場は11時なのに、朝9時から会場に来て、ステージの前列で待つ……なんてところもすごいですよね。<ULTRA JAPAN>の中ではお客さんみんなが「ウルトラな状態」なので、本当に気持ちがいいですよ。お互いに優しくてすぐに仲良くなることができるし、楽しみたい気持ちの強さが印象的でした。日常生活でもそのままで居てほしいなと思ったので、最終日には「終わってほしくない」と強く思っていました。
もう1つはフェスとしての完成度の高さです。オーガナイザーの方々を含め、スタッフのみなさんは出演者に対して隅々まで気遣ってくれたし、映像や設営などのプロダクションの完成度も非常に高かった。だから僕たちアーティストはプレイに集中することができたんです。素晴らしいですよ。今回ような大きな規模のフェスではさまざまな問題が発生するはずなんですが、<ULTRA JAPAN>は全てスムーズに進行しましたし、その全てが僕たちの期待をはるかに超えていました。
ーーXXX$$$のこれからの活動の展望を教えて下さい。
SARASA 私達のグループ名はインターネットで検索しても引っかからないので、良いと思ってくれても探すことが難しいアーティストかもしれません。だからこそ、今までずっと口コミを頼りに活動してきました。今後は2人で旅などをして、音楽的にももっといろんな国の要素を取り入れ、「明るい音楽」を発信したいと思ってます。制作とリリースに力を入れていきたいと思いますので、期待していてください。
XLII 今までさまざまな機材で音と遊んで、実験を繰り返してきましたが、数ヶ月前からXXX$$$の音の方向性と、2人がやりたいことがリンクしてきました。これからは「エクセスサウンド」をめいいっぱい出して、世界中をツアーし続けるつもりです。日本と海外、それぞれがもつの面白い音やアイデアをエクセス風に使ってみたい。なので、とりあえず今月はメキシコに行きます……(笑)。まだ言えないですが、面白いアイデアもいっぱいありますので、みなさん是非楽しみにしてください。エクセーーース!
ULTRA JAPAN 2015 – XXX$$$(XLII & DJ SARASA)
text by Kentaro Okumura
photo by Shingo Ajikata