YonYonがAWAにてプレイリスト「THE LINK」を公開。
また、このプレイリスト名は「日韓をつなぐプロジェクト」の名前でもある。プロジェクト「THE LINK」の第一弾として、向井太一とSlomのコラボレーションソング“Period(過程)”が公開されている。
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YonYon
THE LINK
ソウル生まれ、東京育ちのDJ/トラックメイカー/プロモーター/シンガー/ラジオDJ/エディターとして、マルチに活動をしているYonYon(ヨンヨン)が音楽ストリーミングサービスAWAの公式アカウントにプレイリスト「THE LINK」を公開した。
このプレイリストのタイトル「THE LINK」は、YonYonが立ち上げた日韓をつなぐプロジェクト名でもある。
今年の3月末に、プロジェクト「THE LINK」の第一弾として、向井太一と韓国の23歳の実力派プロデューサーSlom(スロム)を起用した楽曲“Period(過程)”が公開され、大きな話題となった。
今後、日韓をつなぐ最重要人物になるであろうYonYonに「THE LINK」についてなどの話を聞いた。
今のマルチな活動をするきっかけはなんだったんだろう。
「小学校2、3年生のときから、『天使にラブソングを』みたいな聖歌隊に入ってて、人前で歌うことが好きだったんです。それをずっとやっていて、中学生のときからソロパートを歌うようになりました。
バックにコーラス隊がいて、一番前に出て重要なパートを歌う立ち位置で。そのときからシンガーを目指したいなって思うようになったんですよ。けど、当時、両親が厳しくて、シンガーになりたいなら学校の成績がTOP5に入ったら良いよって言われて(笑)。
だから、中学生のときは勉強しかしてなかったですね。結果、TOP5に入って、高校生になってからオーディション受けさせてもらいました。いくつかのオーディションを受けて、賞などをもらえるようになってから、わたしって歌っても良いんだって思いました。
そもそも、オーディション受けたのも、自分に納得させたかったって思いがあったんです。それで、いくつか実績を積み上げてから、シンガーとして活動しました。当時は提供してもらった曲を歌ってたんですけど、そういう活動を続けていくなかで、もともと聖歌隊のみんなと歌っていたことから、ひとりで歌うことに違和感があって。そんなときにバンドの魅力に惹かれていきました。
メンバーのみんなで曲を作って、音楽を完成させることに。それで、大学に入ってからバンドを始めました。バンド活動と同時に大学のDJサークルにも通ってて。放課後はバンドやりながら、夜はクラブ活動して。そういう生活を大学4年間して、自由な時間を音楽に使ってたら、音楽で仕事をしたいなって思うようになりました。
それで、周りの人が就活してる時期に休学して韓国に帰ったんですよ。半年から1年くらい韓国でDJ活動をしながら、バンド活動も遠隔ではあったんですけど、自分でトラックを作ってメンバーに送ってっていうのをやっていて。空いた時間を使って、音楽をやってたら、気付いたら全部やってましたね」
韓国でのトラック作りとDJ活動について詳しく聞いてみた。
「韓国に戻ったときに自分の時間ができたのでトラック作りを勉強して、自分でもPCで打ち込むようになりました。
遠隔なので、自分がドラムを打ったものを送って、バンドの相方がギター被せて、受けたものをこっちがピアノ被せてとかするようになりましたね。
DJとして、今はインストアや出張DJとかしてますが、もともとスタートがクラブでした。当時、4つ打ちをやっていて、今はなき代官山AIRやWOMBで下積みしてました。韓国に戻ったタイミングで、向こうでは4つ打ちのシーンがまだなくて、ヒップホップだったんですよ。それが2014年くらい。
韓国で活動したかったから、ヒップホップを勉強しました。日本に帰ってきてからも、ヒップホップDJとして一から活動を始めた経緯があります」
なるほど。その後、YonYonが日韓をつなぐプロジェクト「THE LINK」を始めたきっかけはなんだったのか。
「韓国から日本に帰って、DJだけじゃなくプロモーターとしても活動するようになったんです。
そのきっかけは韓国でDJをするようになってから、クラブ関係者と知り合うようになって。日本に帰ってから韓国のこういうアーティストがアツいよとか、韓国からこういう海外のアーティストを呼ぼうと思ってるから日本でシェアしようとか、そういうお話がちょくちょく来るようになって、自然にプロモーターとして海外アーティストのブッキングをするようになりました。
けど、それを続けていったとき、壁にぶち当たったんですよ。当時は、日本のクラブがアンダーグラウンドのアーティストに対してリスクを負いたくないという動きがあって。予算やリスクを考えたときにフェス級のビッグネームは呼ぶけど、日本では知られてない、クールでかっこいい音楽をやってるアーティストは呼ばないことが多々あって。
かっこいいアーティストをみんなに紹介したいのに、それが当たり前になってきて、アジアツアーって書いてあるけど、日本だけハブかれてるのを目の当たりにして、なんか嫌だなって思いました。その決まりをなくしてしまいたいなって。
最初に自分ができることは、なんだろうって考えたときに思いついたのが、『THE LINK』というプロジェクトでした。このプロジェクトで韓国のかっこいいアーティストを日本に連れてこれたら良いなって。それで始まりましたね」
第一弾にシンガーの向井太一とプロデューサーのSlomを器用した理由を聞いてみた。
「このプロジェクトをやりたいって考えたときには、なんとなく自分のなかでアーティストは決まっていて。どうやって組み合わせるかってなったとき、Slomくんの楽曲スタイルと向井くんのシンガースタイルは合いそうだなって思いました。
Slomくんは韓国の音楽シーンの中でビックネーム級なトラックをガンガン作ってる若手のプロデューサーなんですよ。向井くんとSlomくんとはお互い認識はないんですけど、わたしがつながっている人たちなので、『THE LINK』として日本と韓国で公演しませんか? ってお誘いしたんですよ。
このプロジェクトはライブすることが最終目的で。日本のアーティストを韓国でライブさせて、韓国のアーティストを日本でライブさせて。それをプロモーションするための楽曲制作なんですよね。そういった趣旨をアーティストさんに説明したら、ぜひやりたいって言ってくれて実現しました。
第一弾の楽曲『Period(過程)』は、曲名も自分で考えたんです。歌ってる内容が男女のカップルがいて、ずっと長い間歩んできてるんですけど、一緒にいるのが疲れ切っていて。でも、やっぱりあなたがいないとダメだよって曲なんです。悩んでる時点が期間。それが必要な過程であるから、タイトルに過程、英語でPeriodってつけました」
今後の「THE LINK」は、どういう展開をしていくのか。
「もう頭の中では10組くらいいます。あとは制作のタイミングが合う人をピックアップって感じですね。シーズン1とシーズン2で分けていて、シーズン1が日本のシンガーと韓国のプロデューサー。
シーズン2が韓国のシンガーと日本のプロデューサーで曲を作るんですけど、シーズン1とシーズン2が、それぞれ終わったタイミングで、イベントを打とうと考えてます。
実は8月末にシーズン1の立ち上げ記念イベント、来年の春あたりにシーズン2の立ち上げ記念イベントができればいいなと思ってます。3組ずつ予定してて。計6曲を出しますね。シーズン1とシーズン2が終わったらコンピみたいなのが出せれば良いなって思ってます。第二弾は6月くらいに出す予定で、初夏の親近感が湧く感じの曲です」
今後のプロジェクト「THE LINK」の動きが楽しみだ。今回、YonYonにはAWAでプレイリスト「THE LINK」を作ってもらったが、どのように選曲したのか。
「基本的に選んだアーティストさんは一回共演してるか友達ですね。今。自分の中で身近で一番しっくり来る、聴いてほしい音楽を選んでます。ほとんど若手ですね。これからもっと大きくなるであろうアーティストさん。
みんなが知りきった音楽は、わたしが伝えなくても良いなと思っていて。DJって文化を作るじゃないけど、新しい情報を誰よりもいち早く伝えるのが仕事なので、そういう感覚で選曲しました。
まだ知らない人がいるかもしれないけど、めちゃくちゃ良いアーティストを選びました。流れもこだわってますね。しっとりしたものはしっとりしたものでまとめてるし、ちょっとエクスペリメンタルなものは後半でまとめたり。その辺もDJ感覚で選びました」
YonYonが作ったプレイリスト「THE LINK」は今後もっと注目されるであろうアーティストの楽曲がセレクトされているので、ぜひチェックしてみてほしい。最後に、YonYonは普段、どんな方法で音楽を聴いているのか聞いてみた。
「ありとあらゆるチャンネルで音楽を聴いてます。一番多いのはSoundCloudですね。音楽ストリーミングに対して、わたしはオープンで。世代的にもCD集めてたのって、小学校や中学校くらいの話で、高校からはCD買わなくなっちゃってました。
韓国ってストリーミングサービス入るのが、めっちゃ早かったんですよ。Melonっていうオリコンサイトみたいのが出来上がっていて、そのサイトですぐにダウンロードできるようになっていました。高校生の頃はチャートを見て曲をMelonやSoribadaで落とすっていうのをやっていたので、自然とCDは買わなくなりましたね。ダウンロードとストリーミングは違うかもしれないけど、盤を持つってことに対してのこだわりはなくなったと思います。
中3のときに、iriver(アイリバー)っていうMP3プレイヤーを持っていたので、それをずっと使ってました。あと、韓国の電子辞書がすごくて。カラーでタッチ式でMP3も入るんですよ。高校生の頃は電子辞書に音楽入れて、聴くのが流行ってました。それもiriverの電子辞書なんですけど(笑)。すごい優秀で、写真も入れられるんですよ。最新型はどうなってるかわからないけど、10年前は使ってました。家にあるかもしれないので、あったら写真送りますね(笑)」
結局、YonYonの家にiriverの電子辞書はもうなかったみたいだ(笑)。今後のYonYonの「THE LINK」などの動きに目が離せない。
Text&Photo by Toru Miyamoto
撮影協力:PIGALLE TOKYO