引き出しの多さを痛感させるデビュー・アルバム

【まとめ】マデオンを手掛け、アダム・ランバートも惚れ込むSSW=ザック・ウォータースってナニモノ?! music131128_zack-waters_jk

ザック本人が「実験的なモノだったんだ」と自負する『New Normal』を、ネクスト・レベルに押し上げた作品が『リップ・サーヴィス』だ。再びジャラッド・Kを共同プロデューサーとして迎え、アルバムの制作自体は2年ほど前からスタートしていたようだが、何しろソングライター/リミキサーとしてすでに引っ張りだこだったため、レコーディングはじっくりと慎重に進められた。基本的なヴィジョンは「ファンキーでソウルフル、かつポップな」音楽を作ることだったらしく、至ってシンプル。そういった意味で、この『リップ・サーヴィス』は見事にそれを具現化していると言えるだろう。アダム・レヴィーン(マルーン5)やブルーノ・マーズも引き合いに出されるザックの歌声は、どこまでもきらびやかでエモーショナル。流行りのEDMマナーでグイグイ盛り上げていくトラックがあれば、しっとり聞かせる内省的なバラードもあり、カーティス・メイフィールドの名曲“Move On Up”に大胆なアレンジを加えてみせるなど、その表現力と引き出しの多さには思わず舌を巻く。

等身大のソングライティングと、
EDMや(インディー)R&Bにも共振するサウンドはまさに最先端!!

【まとめ】マデオンを手掛け、アダム・ランバートも惚れ込むSSW=ザック・ウォータースってナニモノ?! music131128_zack-waters_sub

等身大のソングライティングもリスナーの共感を呼ぶ内容が多く、リード・シングルのM1“Runnin Around”は結婚まで考えたという元カノに対する素直な気持ちを打ち明けているし、M4“Over You”やM5“Dear John”といったナンバーでは楽しげなエレクトロ・サウンドとは対照的に、ほろ苦い感情を吐露してもいる。そんな“Dear John”には、ジュディ・ガーランドを大叔母に持つオクラホマ出身の女性シンガー・ソングライター、オードラ・メイも作詞&ヴォーカルで客演。彼女はLMFAOのレッドフーと共にフロー・ライダーの“Run”にゲスト参加しており、アヴィーチーの1stアルバム『トゥルー』(13年)においては3曲で歌っているので、ダンス・ミュージック界の新たなミューズとなりつつある。また、国内盤ボーナス・トラックとして“The City”のアコースティック・バージョンも収録されているため、マデオンのファンも必聴だ。

Zak Waters “Runnin Around”

アカデミー賞やグラミー賞で数々の栄冠に輝く大御所SSW、ダイアン・ウォーレンもザックの才能を高く評価しているそうで、最近は彼女が書いた曲のプロデュースも任されたのだとか。EDMと(インディー)R&Bの二大潮流にもしっかりと共振してみせながら、純度の高いポップ・ソングを次々と世に送り出しているザック・ウォータース。近い将来、自らの名義で“The City”を超えるアンセムを届けてくれるに違いない。

text by Kohei Ueno

Release Information

2013.12.04 on sale!
Artist:Zak Waters(ザック・ウォータース)
Title:Lip Service [Deluxe Edition](リップ・サーヴィス)
Manhattan Recordings/ Lexington Co., Ltd.
LEXCD13033
¥2,100(tax incl.)